世界がわかる宗教社会学入門 (ちくま文庫 は 34-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422279

感想・レビュー・書評

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  • 宗教を、深遠な境地への道とみなすのでもなく、怪しげなオカルトとみなすのでもなく、社会の中で宗教がどのような役割を果たしているのかという観点から、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教について、分かりやすく解説しています。

    「文庫版あとがき」に、著者は次のように言います。「本書について、「簡単すぎる」「知っていることが多い」という評を目にする。/それでよいのである。/本文を繰り返し声に出して読んでほしい。そして、まるごと暗記してほしい。そういう目的で書いたのだから」。宗教を敬して遠ざけるのではなく、セキュラーな立場から位置づけ正しく対処するための基礎的な知識を整理した本と言ってよいのではないかと思います。

  • [ 内容 ]
    宗教なんてうさんくさい。
    うっかりハマったら怖い。
    だから近づかない。
    多くの日本人はそう思っている。
    だけど、どんな国でも地域でも、宗教はすっかり日常に溶け込んでいる。
    文化や価値観の骨格であり、それゆえ紛争のタネにもなる。
    宗教を知らなければ、世界の人びとを理解することはできないのだ。
    この本では、世界の宗教を理解するための基礎中の基礎を紹介。
    「人類の叡智としての宗教」のエッセンスが詰まった、小さいながら充実の入門書。

    [ 目次 ]
    宗教とはなにか
    宗教社会学とはなにか
    ユダヤ教とはなにか―契約と律法
    キリスト教とはなにか―福音と愛の思想
    宗教改革とはなにか―ルターとカルヴァン
    イスラム教とはなにか―ウンマとイスラム法
    初期仏教とはなにか―サンガの思想
    大乗仏教とはなにか―菩薩・般若・極楽浄土
    中国と日本の仏教―仏教の伝播と変容
    儒教とはなにか―孔孟の思想・朱子学
    尊皇攘夷とはなにか―山崎闇斎学派と水戸学
    再び宗教を考える

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 宗教は社会構造である。(しかももっとも重要な)

    マックス・ウェーバー
    プロテスタントに特有の「禁欲」の考え方が資本主義経済の成立にとって不可欠。
    ー禁欲を掲げたはずが、反対に利潤追求を目的とする資本主義が生まれたという驚き。

    「宗教」とは何か?
    橋爪さんの定義「ある自明でない事柄を前提として振る舞うこと。」
    神道は宗教でない、と定義する事でキリスト教徒にも仏教徒にも天皇崇拝を強要できる。(東大、井上哲次郎が思いついた。)→国家全体が宗教化・兵営化する可能性がととのった。

    神道は日本人の生活・風俗・宗教にとけ込んでいて特別にそれを信じるまでもないから。(知らないうちに勝手に宗教を信じていることになる!ここが無自覚な信仰の原因か。)日本が戦争に負けて、GHQが命令したため、神道が宗教になった。(政教分離がうたわれる)

    ・日本人が宗教を軽蔑する理由
    江戸幕府、明治政府の宗教禁止政策の名残。信仰の単位は個人ではなく、家。神道の強要と天皇の絶対化。

    にもかかわらず宗教に関して無知。
    stewardship: 神が世界を創造した後、その管理を人間に任せた。(だから責任もある)ーここから品種改良、捕鯨禁止、生物の多様性保護といった考え方も生まれる。

    キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の神は同一人物。

    「死んだらどうなるか」の見解。
    日本人:死んだら仏になる
    インド人(正当な仏教):死んだらもう一度生まれ変わる
    大衆的なキリスト教徒:死んだら天国に行く
    正当なキリスト教:死んだ人間はわざわざ復活して、最後の審判を受け、神の許しを受けた者だけが神の国に入る。

    日本の神は死者(八百万の神々)。Godとはかなりちがう。

    一神教の神は、この宇宙と人間を「創った」。神の命令で、人間は死ぬ。神自身は生きていて永遠に生き続ける。

    儒教?:江戸時代に奨励。特に武士。中国では官僚、家族、習慣は儒教にのっとっていた。

    当時の序列は中国=父、朝鮮=兄、日本=弟。日本人は論語のような精神訓話が好きなだけで、儒教の儀式・制度に従って冠婚葬祭も政治も何もしなかった。(だからこそ宗教争いを人ごとのように眺められる冷静さはある)儒教に取って一番大事なのは制度(政治制度)、それを受け入れなかった日本は儒教国家ではない。

    日本は儒教を思想だと受け取ったけれど、儒教は社会を実際に運営するためのマニュアル。(であれば日本の制度は何をもとに動いているのか?結局神道?というわけでもなく、なにかひどく分裂的な国だ。)

    宗教音痴な日本人が宗教社会学を学ぶには?
    偉い宗教学者が言った知識を詰め込むことではない。【日本社会はどうして宗教を拒否するのか、この社会の構造はなぜ宗教によって与えられないかを、他の民族、他の社会と比較することで解明すること】自分たちの社会を自己理解するために。(でもやっぱり、宗教とは認定されていない”宗教らしきもの”(思想)が根底にあって社会構造が出来上がっていないか?)


    おもしろかった!宗教やその歴史を知れば納得いかない出来事も少しは納得できるのかもしれない。苦しいからこそ何かにすがらざるをえない、という状況や、秩序形成のためのルールとして。しかしそう思うと、というかずっと思っていたけど日本人は器用だ。明文化された何かを信じずに、その場の空気にしたがってなんとなく生きていけるのだから。なぜそれで大丈夫なのかは未だによくわからない。

  • ちょっと難しいかなあ。。

    辛口コメント、たとえば、「もし日本が儒教国家だったら、万葉集も源氏物語も発禁です」が章の最初によく有る。

    で、ええ、どういうことかなー、とワクワクしながら読むんだけど、その章を、読み終わってもそれに対する答えがモヤモヤしたまま。といことが何度かありました。

    しっかり読み込んで考えないと納得する感じに入ってこない、でした。

  • この作者については、キリスト者から、事実誤認が多すぎるとの指摘がなされていることに留意。
    http://togetter.com/li/150577

    読まないと批判もできないので、まずは読む。

  • 【推薦文】
    以前行われていた「宗教社会学」という講義の教科書です。実際に講義で先生がお話しされた内容を基に構成されており、世界を舞台に活躍するためには必ず知っていなければならない、でも他ではなかなか教わることのできない、様々な宗教の知識が得られます。高校の倫理の時間が好きだった人、宗教にほんの少しでも興味がある人には是非ともおすすめです。
    (推薦者:金属工学科 B4)

    【配架場所】
    大岡山: 本館B1F-「東工大先生の本」文庫 161.3/H

  •  宗教なに?ってアメリカに来てからよく聞かれるようになったので読んでみようと思った。宗教関係の本は初めて読んだから、一回では理解できなくて2回目読み進めてようやく分かった気がした。
     一神教の人たちがどうしてそこまで深く神を信じれるのかその答えは分からなかったけど、だいたいの宗教の成り立ちや社会的な意味をおおまかに捉えるのにいい本だった。地ならしをした感じだから、次はそれぞれの宗教について細かく書いてある本が読みたい。これで、Atheistの主張も読んで、自分の宗教的な立場がどの辺なのか話せるようになりたい。

  • 世界の宗教がわかり易く書いてある。
    戒名の歴史は浅いのですね。檀家が少なくなった
    のが始まりのようです。江戸時代、中国に生まれなかったことを悔やむ儒学者がいたそうだ。
    日本に資本主義が浸透したのは宗教がなかったから
    という。営利を禁止する概念から離れていたのも
    その一つという。

  • 東洋宗教がすっ飛びすぎてカオス

  • 宗教を教えてくれる授業って、基本的にはないからこそ、どこかで補わないといけない。なんとなくそのままにして過ごすこともできるけど、知ってたほうがいいと思う。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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