ちくま日本文学002 芥川龍之介 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425027

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとした手紙を書くのにもPCで下書きをするくらい、カット&ペーストなしには文章が書けない。構成できない。恐らく、道具が紙とペンしかなかったであろう時代の文章を読みたくて、全集を1冊ずつ制覇中。文章に何とも言えない湿り気がある。作家が文机に向かってガリガリ書いたであろう体温や匂いが伝わってくる。収録作で一番は「枯野抄」。文章の流麗さに参りました。

  • 感想をメモ程度に。

    「トロッコ」  
    なんだろうこの徒労感。

    「蜜柑」
    少女の優しさと無垢さ、蜜柑の温かな暖色が鮮やかで、その瞬間が絵画のように美しく脳裏に浮かぶ。
    好き。

    「お時儀」
    駆け引きめいた独り相撲めいた、若気の至りめいたなにか。
    灰色は目立つのかな。

    「鼻」
    自意識と自尊心。
    それ自体よりも、それに劣等感を抱いている様が滑稽なんだ。
    気にしすぎは傍から見ていても不快なもの。

    「芋粥」
    乾いていることへの満足、満たされることへの恐怖。
    遠足は準備が一番楽しい。
    あるあるーって言いたくなる。

    「地獄変」
    良秀よりも大殿様の方がおぞましく感じた。
    なんて信用ならない語り手だと思いながら読んだけれど。

    「藪の中」  
    登場人物の語った物語はそれぞれ彼らにとっての「真実」である。
    それが「真実」であるから、お縄になった後自分の命がないものと思っても堂々としていられるし、清水で懺悔してしまうし、成仏できずに苦しんでしまうし。
    「真実はいつもひとつ」なんて嘘っぱちかもしれない。

    「杜子春」  
    こうして杜子春は、「人間らしい正直な生活」をする決意をしましたとさ。
    happy end  

    「奉教人の死」
    本当に清らかな人は何も言わずに死んでいく。
    凡人は勝手にバタバタするしかない。

    「開化の殺人」
    どうして「開化」なんだろう?
    決定的な行動をとることで、かえってその理由に気付き、後戻りできなくなってしまった。

    「魔術」  
    こうして私は、自分の中の「欲」を自覚しましたとさ。
    happy end  

    「ひょっとこ」
    平吉らしさはどこにあったのだろう。
    生きるのに面は必要だがそれで息苦しくなってしまうのは辛いなあ。

    「玄鶴山房」
    他人の不幸は蜜の味。
    結局甲野さんに限りなく近い気持ちで読んでいることに気が付いてしまった。

    「枯野抄」
    高校の教科書ぶりに読んだけど、やっぱいいなあ。
    師匠の死に際してもみな自分のことしか考えていない、死と遭遇して生が浮き彫りになる。

    「河童」
    河童のコミカルな描写が単純に面白い。
    深刻なことは突き詰めていくと滑稽であるというのは誰が言ったんだっけか。


    「或阿呆の一生」
    三人称と過去形。 

  • 上手く言葉にできないけれど心に渦巻く感情を、まさにぴったりな表現で言葉に織りなしてしまう凄さがもう……

  • 「河童」が好き

  • どれもこれも、本当に面白い。取り分け地獄変、魔術、蜜柑がお気に入り。
    ただ、いずれも人の業を突きつけられている様で、読後ふと我に返ったとき、暗い穴の中を覗き込んだ様な心持ちがする。

    あと、鼻を顎に読み変えると、完全に「俺のことかーッ!?」状態になる。
    茹でても縮みませんので、悪しからず。

  • 「鼻」というのはやっぱりペニスのことだろうと思う。禅智内供が「湯屋」に通う僧侶たちの「鼻」を観察しながら、思わず自分の「鼻」を触って「年甲斐もなく顔を赤らめ」るところとか、茹でた「鼻」を若い坊主に足で踏まれて「気もちのいい」と感じちゃうところとか、同性愛の匂いがぷんぷんする。『河童』にも男色を嗜む河童が登場して「男色は超人的行為である」とのたまうところがあるし、どうも芥川はソノケがある文学だと思う。ドノンケの谷崎なんかと比べると、なおさらそう感じる。

  • 『手袋』収録。素晴らしく美しい詩。

  • サウンド文学館・パルナス「トロッコ 蜜柑」 朗読:米倉斉加年

  • 蜜柑が久しぶりに読みたくなったので。
    或る阿呆の一生も好きです。

    12.07.25 再読


    地獄変ってこんなにも美しい文体だったでしょうか…!
    語彙の豊富さに圧倒されます。

    11.01.15

  • トロッコ(1922年2月)
    蜜柑(1919年5月)
    お辞儀(1923年9月)
    鼻(1916年1月)
    芋粥(1916年8月)
    地獄変(1918年4月)
    藪の中(1922年1月)
    杜子春(1920年6月)
    奉教人の死(1918年8月)
    開化の殺人(1918年6月)
    魔術
    ひょっとこ
    玄鶴山房
    枯野抄
    河童
    或阿呆の一生
    発句

    ・山吹
    ・相聞一〜三
    ・手袋
    ・「となりのいもじ」より酒をたまはる
    ・船乗りのざれ歌
    ・夏
    ・戯れに(1)(2)

    解説 安野光雅

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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