ラピスラズリ (ちくま文庫 や 43-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429018

感想・レビュー・書評

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  • あらすじを書くのが難しい作品。ストーリーを追うと言うより、物語が1つの絵のように広がっていて、その絵の細部を順々に見ているような感覚を受けました。
    舞台となる洋館と広大な庭は、まるでフレスコ画のような古びた美しい景色を思い起こさせます。
    一転、登場人物たちはどことなく醜い。優美なドレスに身を包み、美酒美食にふけってぶくぶくと太る館の住人たち。高慢な女主人。優雅な生活の影で仕事に押し潰され、苛立ちを募らせていくめしつかいたち。彼らの姿はとても生々しく人間らしい。宗教画の人物のような、よく見るとぞっとする表情に似ていました。
    冬の花火、人形の部屋、そしてラピスラズリと、雰囲気あるモチーフが次々と登場して世界観にのめり込みました。読了後もぼおっと物語の世界にふけってしまう、そんな精密な言葉で構築された作品です。

  • 芸術作品としての小説とはこういうものなのだ、と思いました。わたしの浅い読み方では内容を理解するところまで至っていないのだけれど、美しく、複雑な模様の織物を見せていただいた気持ちになりました。

  • 2012年1月10日、初版、並、カバスレ、帯無。
    2014年7月1日、津BF。

  • 初読。初山尾作品。タイトルだけで買ったけど、思っていたよりきらいじゃない。でも苦手かもしれない。全部は理解していない。「トビアス」と「青金石」が特に。漠然と、完全な異世界の物語と思ってたら違ったのが意外だった。繰り返し読むと、あの一言はこう言う意味だったのかって分かる瞬間がある。繰り返し読まないと自分にはあらすじすらなかなか追えなかったし、今でもよく分からないんだけど。個人的には「閑日」がすきかな。

  • 難しいというより、不思議な本だった。
    好き嫌いははっきりと分かれるので、好きという人だけ読めばいいと思う。

    「銅板」
    画廊で3枚の銅板を見ているというシーン。
    絵の画題は右から<人形狂いの奥方への使い><冬寝室><使用人の反乱>
    そのうち昔、母とここに来たことに気付く。
    その時も3枚の絵を見た。
    教えられた画題は右から<痘瘡神><冬の花火><幼いラウダーテと姉>
    覚えているのは<痘瘡神>の絵のみ。

    「閑日」(かんじつ)
    屋敷の使用人の少年の話と屋敷の主一家の少女とゴーストの話。
    本来、冬は眠っているはずの少女が目を覚まし、現れたゴーストに助けを借りて塔から逃げ出す。
    逃げるための助言とともに少女はメダイを手に入れる。
    『雪は真白に降り積もる(中略)満開の雪の花火は。』

    「竈の秋」
    主一家が眠るため準備を進める使用人たちとそれらが崩壊していく話。

    「トビアス」
    日本らしき場所で一人残された少女の話。
    祖母が亡くなり、葬儀のために親族が祖母の持ち家に集まる。従姉妹はみなメダイを持っている。家には祖母のものであった人形が大量に飾られている。古本屋から手に入れた版画を<冬の花火>と名付けたのは「たまきさん」。トビアスは飼っていた犬の名前。

    「青金石」
    聖フランチェスコの話。
    ラピスラズリの青はキリスト教では「聖なる色」とされており、宗教画ではキリストや聖母マリアの衣服が青で彩色されている・・のはたぶん有名ですね。

    「銅板」で出てくる絵の物語が「閑日」と「竈の秋」であり、屋敷の主一族の末裔が「トビアス」に出てくる子たちかな?と。
    もう一度読み直して、人物相関と時系列を整理したい。

  • 寒々しい雰囲気に冬の夜に読むのがいいかと。
    ただ、独特の世界観のせいか、集中するのに時間がかかってしまった。

  • 幻想文学というカテゴリ。画廊に飾られた絵画の話から、世界は一転し、冬眠する謎の一族の興亡へ。軽く重く、緩く早く、つかみどころがなくて随分読むのに苦労した。
    解説で千野帽子氏が絶賛しているのを読んで、こういう風に感動すればよいのか、と思うのも変な話だが。浅薄な読み手としては、冬のイメージではイタロ=カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」、冬眠のイメージではムーミンの一族を参考に、こういうのを書く才能にドキドキした。

  • 好きなタイプの話かと思ったけど、読みづらくて話も入ってこなかった。
    残念ながら合わなかったみたいだ・・・。

  • 文章の美しさはわかるけど本としてはどこにも引っかからなかった…幻想小説ダメなんだなあとほん。残念。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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