ラピスラズリ (ちくま文庫 や 43-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.65
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本棚登録 : 1625
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429018

感想・レビュー・書評

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  • 感覚で読む本だと思う。理解しようとするとけっこうわかり辛い
    。私は今まで推理小説読んでも人物がごっちゃになることは滅多に無かったのに、「竃の秋」あたりで人物相関図が必要だと切実に思った。
    寒い日、お布団の中で読みたい一冊。

  • 「冬眠者」達の話。
    ゆるやかに死に向かいそしてそこからまた生まれてくる。生と死のサイクル。
    鉱物のように硬くて、どこかはぐらかされるような抽象的な文章。
    しかしだからこそ何とも言えない位美しい。
    時系列や人物関係が入り組んで迷路のようになった『竈の秋』よりもむしろ『トビアス』『青金石』が好きだった。

  • 冬の間眠り続ける冬眠者たちを描いた連作幻想小説。
    “静謐”という言葉がピッタリきそうな世界観。
    分類はよくわからないけれど、ゴシック小説っていうのはこういう感じなのかなぁ?
    読み始めてすぐに、これは萩尾望都『ポーの一族』の世界だ、って思ってからはすっかりそのイメージで読んでしまいました。

  • 幻想小説。

    「冬眠者」が登場する連作短編集。
    第一編では連作の銅版画が登場する。タイトルは分かっているものの、順序や描かれている詳細・背景についてはもはや本来の文脈を離れてしまっていて想像するほかない。

    その謎解きともいえるのが第二、第三編。
    ここまでは独特の世界観に、一応の流れに乗って読んでいたが、案外場面と時間が交錯し、しかも登場人物が今一つずば抜けた個性の持ち主がいないとあって、案外読むのに力がいる。

    さて、先を進むと第四編、第五編は、日本・そして明確な時代設定を持った中世ヨーロッパへと飛ぶ。

    落ち葉・枯葉の時期に始まり、冬を耐え、そして春を待つ。
    そんな一連の流れはぼんやり掴めたものの、著者の意図している効果を完全にくみ取れたとはとても言えない。

    久々に読む小説にしては、少し骨がありすぎた。
    通勤電車で読むには勿体ない、静かにじっくり集中して読む繊細な本だったようだ。

  • 2012年5月3日読み始め 2012年5月7日読了
    読み始めはよく世界観がわからず戸惑いましたが、この本に収録されている作品は独立しつつも「冬眠者」という不思議な人たちの話…という一貫性があります。「冬眠者」は冬になると冬眠し、眠ってる間は年をとらないという特性があります。ちょっとうらやましい。
    「トビアス」は日本を舞台にした話で気に入りました。背景の説明はあまりないのですが、滅亡を予感させる世紀末感みたいな感じがとてもよかったです。

  •  冬眠者をめぐるお話。連作。
     導入から続くほのめかしで茫洋とした世界に立たされてふわふわしてしまったのだけれど、読み進めると頭の奥のほうでちりちりと物事が繋がっていって、それがとても気持ちよかった。
     描写がどれも丁寧で、読みながら呼吸を整えたくなる感じだった。音の連ね方が魅力的で、読んでいて心地よかった。

     ラウダーテとゴーストの関わり方が好きだなぁ。ゴーストが何かとか、定めが何かとか、全然わからないんだけど、それでも面白い本だったなと思う。奥行きを感じるお話だった。

  • 深夜に見るような、取りとめのない悪夢を人の言葉に落とし込んで昼間にもうとうとできるような、ひたすらぼんやりと時間のあるときに静かな場所で読みたい小説

  • 物語は古びた3枚の銅版画から始まります。
    冬の間ながい眠りにつく冬眠者と、その世話をする数多くの召使や庭師たち、そして冬のある日、人形の傍らでひとり目覚めてしまった少女に語りかけるゴーストなどなど、尖塔のある大きな館で繰り広げられる、めくるめく物語。
    あるいはまた、従姉妹たちの首に掛けられたメダイ、お気に入りのラバー人形を抱きかかえるようにして冷たくなっていた犬のトビ。アッシジの聖フランチェスコと人形職人などが、時も場所も判然としないまま、曖昧な繋がりを見せ始めます。
    耽美で退廃的、甘くて儚げ、滅びゆくものの醸しだす官能と寂しさ。この独特の世界観を持つ連作を読みすすむうちに、何度も迷子になってしまいました。まるで、微熱にうなされながら見ている夢のような物語でした。

  • 2012.03.12

  • 買ってしまった
    これはもう、熟成積読本コーナーに奉納する。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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