こちらあみ子

著者 : 今村夏子

• 筑摩書房 (2011年1月10日発売)

感想・レビュー・書評

[HIさんの感想 · 2019年8月30日]

いわゆる「変な子」として周りから距離を置かれているあみ子。彼女が周りから置いてけぼりになる様を見るのが辛く思える時も、周りと同じ視点で彼女の理解できない言動に困惑する時もあった。しかし、彼女は何も感じない。相手から向けられる憐憫も、哀しみも、怒りも、認知できない、気づくことのないあみ子は幸せなのだろうか。
はっきりとはしない、もやがかかったような、なんとなく気味が悪く、居心地が悪いような世界に引き込まれる。

[ykuroさんの感想 · 2019年8月29日]

芥川賞 受賞作家で太宰治賞受賞作ということで読んでみた。
陰湿なイメージの小説で私には合わなかった。

[facecollaboさんの感想 · 2019年8月26日]

作品こちらあみ子
正直心が揺さぶられました。｢あみ子｣が頭の中に残る。

[ri-co511さんの感想 · 2019年8月6日]

重かった。
あみ子は統合失調なのか？と思ったら違ったみたい。鳥だった。

[takecchiさんの感想 · 2019年7月31日]

「こちらあみ子」
残酷なまでの現実を突きつけられた感のある作品だった。
あと、謎がほんと多い。

「ピクニック」
こちらあみ子で残酷なまでの現実を突きつけられたあとだったので、ほのぼのっていう感じが率直に伝わってきた。

[くたおさんの感想 · 2019年7月28日]

「星の子」に続いて今村夏子。
これもまた、純真無垢で周りにどう見えているかがわかっていない少女話。
しかも、あみ子は知的障害を持っている。

家族が壊れ、兄がグレて出て行くあたりは「星の子」とよく似ている。原因が主人公の少女にあるところも。いまはただただぼんやりとしあわせな日常に見えるあみ子の今後を思うと不安でザワザワする。

書き下ろしの「ピクニック」もまた、周りにどうみられているかわかっていない純真な女性の話。思い込みで芸能人と恋仲になり、作り話をまわりの女たちにしているのだけれど、不思議と女たちはそれを優しく受け止めて応援している。

嘘をつくことって、思えば別に実害なければ悪ではないよなぁ… とぼんやり思う。今村夏子の小説って、「善悪」とか「正しいのは何か」とかをぼんやりとさせる。そして幸せなのに悲しい。

つい数ヶ月前まで知らなかった作家さん。
芥川賞受賞して、最新作は図書館でだいぶ待たされることになりました。

[nkmrさんの感想 · 2019年6月3日]

知的、かつ発達障害であろう、あみ子の15歳までの出来事が、第3者目線で語られている。

あみ子は何も変わらない。何も変わらないのに、彼女が成長していくにつれて、その天真爛漫さが家族や周りにとって、残酷なふるまいとして変化していく様子が悲しかった。
しかも当の本人は何が起きても自分の心の悲しさや苦しささえも理解できないんだなあ。。
胸がキリキリと苦しくなるような話なはずなのに、今村夏子マジック？どこか笑えたりあみ子の愛おしさに思わず友達のように突っ込みたくなったりしました。
あみ子、チョコクッキー、舐めとったんかい！そりゃ、殴られるわ…笑
 そんな風に、あみ子のそばにいてくれる友達がいますようにと願わずに入られません。

ラストの場面、あみ子が助けを求めた時、出て行ったはずのお兄ちゃんと繋がれたときは思わず涙しそうでした。

竹馬の女の子って誰なんだろう。想像すると胸が熱くなりますね。

今村夏子さん。「星の子」の時もでしたが、とにかく読みやすくて、純粋無垢な主人公を描くのが魅力だと思います。

[ruokaさんの感想 · 2019年2月10日]

こう、読み手側にはどうしようもない破滅みたいな小説は、本当に読みながらドキドキはらはらしてしまう。
クライマックスには号泣してしまった。
私にも歳が近い兄がいるから。

サキちゃんは、亡くなった妹なのだろうか。
「ミサキ信仰」が思い浮かんだ。
あみ子の元に辿りついたとき、彼女はあみ子を連れて行くような気がしてならない。

[ごはんさんの感想 · 2019年1月22日]

「あひる」「星の子」に続いて。今村さんの作品はまるでだまし絵か、間違い探しの絵をポンと提示されている感覚。大好き。何が正しく、間違いか、或いは偽物かは一切を読み手に委ねられている。善悪、正義等がいかに危うく、脆いものかは様々なレビューが自明にしている。登場人物の感情が殆ど交差しない、人間同士距離を近づけず、誰も誰かに踏み込まない違和感。怒るところで怒らない。求める部分で求めない。大人が子どもの心の中を覗くことを拒んでいるのに、今村さんはそれを浮きだたせない。人間は表面・表層的なことで理解しがちだ。

[sazanamiさんの感想 · 2018年12月30日]

文学

著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。