こちらあみ子

著者 :
  • 筑摩書房
3.57
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本棚登録 : 1649
感想 : 333
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804303

感想・レビュー・書評

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  • あみ子と他の人とのすれ違い。
    それが痛いほどわかるように描かれている。
    あみ子からしてみれば、周囲の人がわかってくれないだけなのかもしれない。

    あみ子と同じような人を理解するには良い本だい思います。

  • 「あひる」→「星の子」→本作と今村さん全読。この人の作品は日常のとりどめのないことを書いているだけなのだが、独特のなんともいえない読後感が残る(個人的には会話の部分が好き)。本作では、表題のあみ子よりも「ピクニック」の方が面白かった、七瀬さんのげんきの関係は早い段階でわかってたのだが、七瀬の周りの人が”それ”に気づいていくうちに、どう変わっていくかが最後まで気になって読み進めた。

  • 今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」に偶然出会い、同作家の本をもう一冊読んでみたくなった。読んでみて良かった。胸がざわつきつつ何故だか引き込まれる。

  • 2020.3.5

  • 身内に発達障害や知的障害がいると、この本は読んでいてつらくなってくる。文章が読みやすいのでグイグイ読めるけれど、主人公の周りが報われないのが悲しくて後味が悪いのだ。この状況を放置している大人が悪いという面はあるとしても、トラウマになるほど傷つけられた人がいればやはりそっちに同情してしまう。人の心に訴えるというか心に波風をたてるようなリアリティがあるものが文学だとするならこれは文学だと思う。単純に好き嫌いだけを問われるならば嫌いとまではいかないが好きじゃないと答える。

    同時収録の『ピクニック』は仲良くしている同僚たちの方が悪意があるように見えて気持ち悪い。彼女を追いつめたのは同僚たちだ。『こちらあみ子』と同様、無邪気さが怖い。

  • あみ子の気持ちに共感して読めればよかったのですが、どうしても周りの「ふりまわされて、どんどん不幸になって行く人達」の気持ちの方に共感してしまいました。

    あみ子のために作った料理を残される義理の母は、子供の死産に立ち直れそうだったのに死んだ子の庭に墓を作られ、妹のせいで周りにバカにされ、でもなんとか面倒も見ている小学生の兄は結局不良になってしまい、愛情を持って接しようとする父もあみ子のせいで家族が壊れて行くのを見て、別れて生活する事を選んでしまう。

    初恋の男の子は、関わりたくないと思っているのに、舐めたクッキーを食べさせられ・・・となると「もう仕方ないか、これは・・」と思ってしまい・・、ダメでした。

    でも文章や表現は結構好きでした。

  • あみ子は気付いてしまったんだな。世界には他人がいるということに。そしてその他人は、自分とは違う人間だということに。自分だけで完結していた世界は幸も不幸もなかったのに、その世界がなくなった途端、幸と不幸が現れる。それが幸せなことなのか私はわからないが、人は生まれた後に少なくとも一度は死んでから生きるのだと知った。

  • 周りの人が関わろうと頑張って疲れていくところがつらい。教えてもらえないからどんどんずれていく。
    霊の音は分かってしまった。昔の一軒家ありがち。

  • 今村さん独特の切り口で、ほんと面白い作家さんだと思う。
    テーマは重いが、馬鹿馬鹿しいところもあり、チグハグになっていないバランス感覚は流石だと思った。

  • あみ子も七瀬さんも、とてもチャーミング。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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