- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804778
感想・レビュー・書評
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器量も感性も様々な悩める女性たち。そんな彼女らが主人公ではあるけれど、彼女らに救いの「おまじない」をかけるのは素朴で朴訥な男たちだ。用務員のおじさん、いちご農家の浮きちゃん、ママのパパのおじいちゃま、みすぼらしい芸人のモリさん、アラスカの老人トラッカー、かつてのスターサッカー選手から覚醒剤で落ちるところまで落ちた若鷺、フィンランドのバーで映画のチケットを売りつけてきた初老の男、そして博識ながら老母のすねかじりおっさん。悩める女性たちに深く介入するわけではなく、自らも決して生き上手ではないけれど、彼らの意表を突くひと言が彼女らを救う。弱った人の心を癒すのは、ときに弱い心の持ち主だったりする。
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いつも驚くような人物を数々見せてくれる
でもその人はごく普通の人
それがいいのかな
ところどころにちりばめられた言葉たち
すごい
自分が自分であること
あー
でもちょっと遠いのです
≪ このあたし これでいいんだと 空がいう ≫ -
うれしいことも、悲しいことも、辛いことも、なんにもないよりはあったほうがいい。それがきっと彩りになるから。
そうでも思わないと、あまりにも悲しいことがあると何もかも嫌になってしまうもんなぁ。 -
いわゆる日本の世間的な「普通」とはズレた人たちが主人公の、「家族」がテーマ?の短編集。心に残るような言葉がたくさんあり、勇気をもらえた。
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短編集。
「孫係」と「あねご」がよかった。
自分は何係だろう?そしてそれをうまくこなせているんだろうか? -
「孫係」がおもしろかった。
でも西加奈子さんはつくづく私には合わないなぁと痛感。なにがだめなんだろう……。 -
なんて素敵な物語なのだろう。
どの短編も、心の中にしっかりと留めておきたい言葉で溢れていました。
あの時の自分にも、こんな風に声をかけてくれる人がいたら良かったのにと思うけれど、
それはやっぱり物語の世界だから起きたこと。
心が折れそうな時に、『あなたはあなたでいいんだよ』と声をかけてくれる人がいなかったとしても
私たちにはこの物語がある。
ページをめくれば勇気をくれる言葉があふれている。
たくさんの人がこの本を手に取ることを願っています。 -
短編集。
要所要所に来るよ、来るよ、
西加奈子節、来るよ~っていう感じがした。
それが私は割と好き。
完璧なおじいちゃんを演じるおじいちゃんが好き。
「孫係」がお気に入り。 -
様々な女性を主人公にした8つの物語を集めた短編集です。
通して流れるのは西さんのテーマである”自己肯定”です。”こうでなければいけない”、”自分のこんな所が駄目だ”と思い悩む女性たちが、おじさんの一言をきっかけに”自己肯定”に向かいます。特に良い子を演じる少女と素敵な紳士を演じる祖父の交流を描く「孫係」は微笑ましく。
実は最近、西さんの極端なキャラ設定、大阪の泥臭さなどが少し鼻に付いてきた感じでした。私の中で西さんの評価は大きく割れるのですが、どうも私の許容範囲を超える”だらしない”とか”自己中心”だったりする主人公が自己肯定をする作品には共感できず評価が悪くなってしまうみたいです。その点、この作品の主人公たちは、そこいらにも居そうな人達で、楽しく読むことができました。
この作品について西さんは”全ての女性を肯定したい”と語っています。西さん、どうもすごく許容範囲の広い人の様です。