ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ

  • CCCメディアハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484111049

作品紹介・あらすじ

アップルが成功しているのは、iPodやiPhoneが革新的だからではない。製品やサービスでなく、ビジネスモデルそのもののイノベーションを成し遂げたことこそが、アップルが勝者たる所以なのだ。本書は豊富な事例を基に、ビジネスモデルの構成要素を割り出し、企業が市場環境の変化に対応して、飛躍的な成長を遂げるための戦略を明らかにする。企業が成功を収めるためには、中核となる事業領域「コアスペース」の外側にある「ホワイトスペース(空白)」に進出しなければならない。そしてそれは、非凡な経営者のひらめきや運ではなく、秩序だったプロセスを通じて実行できることなのだ。

感想・レビュー・書評

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  • 「Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers」
    http://www.amazon.co.jp/dp/0470876417
    を読む中で、様々なビジネスモデルをみておく必要があると思って手にしました。これは、BMG本の前もしくは、並行して読む本ですね。ビジネスモデルの「四つの箱」、というツールは使えます。BMG CANVSやEmpathyMapなどど、どのように繋げれれるのか?そこを、また読みなおして、理解したいなと思います。

    • とんびあぶらげさん
      同感。BMGのVP、R$、C$、KA、KR相当部分の具体的な解説として参考にした。
      同感。BMGのVP、R$、C$、KA、KR相当部分の具体的な解説として参考にした。
      2013/02/17
  • こちらを読了。

    うーん、どうでしょう。
    シンプルで本質をついたフレームワークだとは思いますが、これだけで「ホワイトスペース」への進出戦略に実務的に使うにはどこまで実践的かというと…。
    ただ、著者も終章でそのようなニュアンスのことを書かれているが、既存のビジネスの中に身をおいていると、そのビジネスかそもそもどのようなビジネスモデルに従っているのかを理解せずに、無意識に動いていることが多い、というのはまさにその通り。
    その意味でこのフレームワークは多くの場合まず「自分たちの既存のビジネスはどのようなビジネスモデルに従っているのか」を検証するのに有効であり、それと「環境認識」あるいはもっと広く「3C分析」を組み合わせることで、ホワイトスペースへの進出の可能性をモデル(フレームワーク)とともに(既存ビジネスのモデルとの比較において)検討出来る、というメリットがあるように思う。

  • いわゆる古い大企業に勤めつつ新規事業を考えないといけない身としては、よく聞く愚痴「上は分かってない」の原因理解と対処に役立ちそうだと思った。

    ホワイトスペース
    = 「既存組織のインフラに適合しない」かつ
    「ニーズを既存と根本的に異なる方法で満たす」もの。
    ホワイトスペースに踏み出すには、ビジネスモデル(どう儲けられるか)から刷新しなければならない。
    特に既存企業の場合、自社の現在のビジネスモデルをまず理解する。その上でやろうとしていることがホワイトスペースへの進出か否かを経営者が理解する(させる)のが、第一段階として必要。
    そしてホワイトスペースに進出するなら、既存とは全く異なるシステム(ルール、評価方法)が原則必要。

  • 成功するビジネスモデルには互いに関連した「4つの箱」が不可欠。

    ①顧客価値提案
    ②利益方程式
    ③主要経営資源
    ④主要業務プロセス

    顧客のジョブを解決する価値とそれを生み出す仕組みは必ずセットで考える

  •  私たちも新しい顧客価値提案をしても既存のルールに妨げられて利益方程式や主要経営資源、業務プロセスを変更できずにいる。
     新しいビジネスモデルにとって特に有害なのは既存のビジネスモデルで適用されているルール。既存のルールにとらわれると未知のものを避ける事を合理的な判断だと思い込む。
     新規事業に取り組む私たちだが、実際は上記のような大企業病的な足枷に苦しんでいる。
     改革のリーダーシップがルールを変え、何度反対されてもやり抜くという粘り強いボトムのエネルギーが欠かせないと感じた。

  • 既読でしたがブクログに登録してなかったので、ざっと再読。
    本質的な内容は、クリステンセンの『ジョブ理論』に通ずるところがあると改めて感じました。

  • ポーターの競争戦略論に近いが,
    ・顧客価値提案
    ・利益方程式
    ・主要経営資源
    ・主要業務プロセス
    という4つのより平易なフレームワークで新規ビジネス立ち上げを語っている.
    やっぱり特徴あるビジネスモデルと,それを実現するために最適化した業務プロセスが重要.

  • 「企業が成功を収めるためには、中核となる事業領域『コアスペース』の外側にある『ホワイトスペース』に進出しなければならない。そしてそれは、非凡な経営者のひらめきや運ではなく、秩序だったプロセスを通じて実行できることなのだ。」(表紙カバーより)
    このような主張に基づいて、ビジネスモデルのイノベーションを起こす方法論について説いた本。経営者であれば誰もが知っていそうで実は知らないことが多い事実が解説されている。実例も数多く紹介されている。
    今、個人的に新しいプロジェクトを始めようとしており(自分にとってのホワイトスペースへ進出しようとしており)、戦略を考える上で参考になる部分が多かった。

  • <p><br /> <br /> ある企業の中核となる事業領域を「コアスペース」とした場合、その外側にある領域を「ホワイトスペース」と呼んでいます。<br /> <br /> 企業がビジネスモデルにイノベーションを起こし、ホワイトスペースに進出しようとする契機には、以下のようなパターンがある。<br /> <br /> 【1】内なるホワイトスペース<br />  ・競争の基準が変わって市場に新たな未解決なジョブが登場する。<br />   競争の基準の変化:機能性→信頼性→利便性→価格(=コモディティ化)<br />  ・未解決のジョブが見落とされ続けてきた。<br />  ⇒既存企業にとって、飛躍的な成長と企業革新を実現する有望なチャンス<br /> 【2】かなたのホワイトスペース<br />  ・今、顧客でない層(=非消費者)を市場に取り込む。<br />  ・非消費者が消費者になることを妨げている障壁を打ち破る。<br />   資金の障壁、技能の障壁、アクセスの障壁、時間の障壁<br />  ⇒自社の商品・サービスを「民主化」し、新しい市場を手にするチャンス<br /> 【3】はざまのホワイトスペース<br />  ・市場の需要に予測不能な、或いは劇的な変化が生じる。<br />  ・テクノロジーに予測不能な変化が生じる。<br />  ・ビジネス環境に関する政府の政策に劇的な変化が生じる。<br />  ⇒変化の前の世界と後の世界の間に、フロンティアが生まれるチャンス<br /> <br /> そして、企業がこういったホワイトスペースに進むためには、ビジネスモデルの変革が必要になるわけですが、まず従来の自社におけるビジネスモデルとはどのようなものであったのか、そのことについて明確に理解している企業は多くないと著者は述べます。<br /> 「ビジネスモデル」とは一体何であるのか、その点について意識的でない限り、何をどう変えようとしているのかを理解することもできません。<br /> その点が本著の肝であります。<br /> <br /> 著者は、「ビジネスモデル」という概念を4つの構成要素に分解します。<br /> <br /> (1)顧客価値提案<br />  顧客が抱えている未解決のジョブを見出し、それを解決するための商品・サービスを提供する。<br /> (2)利益方程式<br />  企業が如何に自社と株主のために価値を創り出すか。<br />  4つの変数で構成される。<br />  ・収益モデル:価格×販売数量<br />  ・コスト構造:直接費と間接費(規模の経済を考慮)<br />  ・1単位当たりの目標利益率<br />  ・経営資源の回転率<br /> (3)主要経営資源<br />  顧客価値提案を実現するための資源<br />  人材、テクノロジー、商品、設備、納入業者、流通経路、資金、ブランド…<br /> (4)主要業務プロセス<br />  持続・再現・拡張・管理可能な形で顧客価値提案を実現するための手段<br /> <br /> こうしてまとめられると当たり前のように感じるわけですが、これらのうちのどの要素をどのように変えようとしているのかが分かってないと、ビジネスモデルの変革は的外れなものになる。<br /> そして既存の企業にとって、長年培ってきた利益方程式や経営資源・業務プロセスにメスを入れることは極めて難しいことも指摘されます。<br /> この点は実感としてよく分かります。<br /> 「これってうちの会社がやるべきビジネスじゃない」なんてセリフ、よく聴こえてきます。<br /> そうなると最早現場だけではどうにもならず、経営の問題になってきます。<br /> <br /> なるほどと思ったのはM&Aに触れた部分。</p>
    <p style="padding-left: 30px;">現実には、買収したビジネスを無理やり既存事業に組み込もうとして、そのビジネスの独自性を壊してしまう企業が非常に多い(そもそも、独自性に魅力を感じたからこそ、その企業を買収したはずなのだが)。</p>
    <p>うーん、まったくその通りですなあ。</p>

  • ・ 言語の構造は、人間の思考だけでなく、物事の現実も左右する
    ・ 形を作ることにより、インスピレーションの扉が開かれる場合もある
    ・ 顧客価値提案:一定の金銭的対価と引き換えに、顧客がそれまでより有効に、あるいは確実に、便利に、安価に、重要な懸案を解決したり、それを成し遂げたりするのを助ける商品やサービスの提供
    ・ 成功する価値提案の特徴は、シンプルでエレガントであること。顧客価値提案を絞り込めば、対応するジョブの数を限定できる。それにより、新しい試みに対して過度に意欲的になることに歯止めがかかり、顧客がお金を払いたいと思わない(あるいはお金を払わされることに不満を感じる)ような要素を商品やサービスに盛り込みすぎる事態を防げる
    ・ ビジネスを行う際に目指すべきは、一定レベルの利益率を確保することではなく、目標とする利益を得る為に必要な水準の利益率を確保することなのである
    ・ 競争の基準の変化:機能性→信頼性→利便性→価格(コモディティ化)
    ・ 顧客の未解決のジョブを見いだそうとする際に忘れてはならないのは、機能面のジョブだけでなく、情緒的・社会的な面のジョブも考慮に入れることだ。ヒンドゥスタンユニリーバでは、シャクティ・アマの社会的立場を意識した。環境保護の重要性を理解している人でもマイカーに対する情緒面でのこだわりを捨てられない
    ・ 顧客価値をどうやって最大化するか
    1) 現状では十分に解決されていない顧客の重要なジョブを見いだす
    2) 最も安い妥当な価格で市場にある他の選択肢より好ましい形でそのジョブを解決する提案を考案・開発する
    ・ 商品・サービス「それの最も重要な要素は私にとっての合格レベルに達しているか」
    ・ アクセス「だれから、どのくらいの頻度で、どうやってそれを入手すれば良いか」
    ・ 支払いスキーム「何を基準に払うのか、数量単位か、利用回数単位か、生まれた価値の大きさに対してか」
    ・ 新しいものを想像する際に大切なことのひとつは、コントロールしすぎないことだ
    ・ 現実には、新事業を既存事業と一元化しようという条件反射的な判断が幅を利かせ、新しいビジネスの独特な正確が無視されるケースが多い。下記の場合は分離した方がよい
    1) 既存事業と大幅に異なるビジネスルール、評価基準、行動規範が求められる場合
    2) 明確に区別されたブランドが必要な場合
    3) 既存事業に破壊的な影響を及ぼすことが予想され、しかも、既存事業より固定費をはるかに低く抑えること及び経営資源の回転率を大幅に高めることの一方または両方が求められる場合
    ・企業買収を行う場合、注意すべきなのは、既存のビジネスモデルの要素を新事業に押し付けず、むしろ必要な要素を既存事業から引き出せるようにすることだ

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著者プロフィール

【著者】 マーク・ジョンソン(Mark Johnson)
アメリカのジャーナリスト。2000年から『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』紙で健康・科学関連の記事を担当。
本書の主題に関する一連の報道で、2011年に「ピューリッツァー賞・解説報道部門」を受賞した同紙チーム5人のうちのひとり。

「2018年 『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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