秘密 上

  • 東京創元社
4.04
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本棚登録 : 469
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010089

感想・レビュー・書評

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  • とにかく面白かった!!

    人間の哀しさ、脆さ、強さ、さまざまな要素が描かれ、読み終わったあとに、いろいろな気持ちがこみあげてきた。
    そして、驚きの結末!!
    「え、そうだったの?」という感じ。
    救いがあるところに、読者も救われる。

  • のどかな田園地帯に構えた一軒家で、少女は母親が見知らぬ男を刺殺するのを目撃する。正当防衛と認められて罪には問われなかったが、少女は確かに聞いていた、男が母に「ドロシー、久しぶりだね」と呼ぶ声を…
    映像的な家と家を取り巻く風景の描写から、その殺人事件へと場面は繋がっていきます。まるで映画の導入部のようでミステリで王道でもあるプロローグは、全編を貫く今回の謎でもあります。
    長じて一角の女優となったかつての少女=ローレルの視点と、母=ドロシーの視点を交互に描いて過去と現在を行き来しながら、その謎にまつわる不可思議な物事をいくつも描き出していくという、興味を惹かせる展開。ちりばめらえた象徴的なアイテムやエピソードが、なにを物語るのか。抒情的な雰囲気に浸りつつ、するりと読めた上巻だったのでした。

  • これこそ小説の王道! 興奮し、堪能した。
    七十年の時を駆ける、親子二代の大ロマン。
    娘が母親の人生に秘められた秘密をさぐるミステリでもあるし、
    第二次大戦下のロンドンを描いた時代小説でもあり、
    後半になるとなんとも微妙な三角関係を描いた恋愛小説にもなってくる。
    文章は平易で読みやすい。

    物語はまず1961年のある夏の日、イギリスの田園地帯からはじまる。
    16才の少女ローレルはツリーハウスの上でうとうとしていた。
    手に持っているのはハロルド・ピンター(後にノーベル文学賞を受賞)
    の新作戯曲『バースデー・パーティ』。
    初恋のビリーに誘われて見に行き、感銘を受けたばかりなのだ。
    ビリーのことは家族にも話していない。
    まして、将来は演劇の道に進みたい、ロンドンに行きたいなどと言ったら
    両親は卒倒してしまうだろう……。
    目をさますと、玄関に見知らぬ男が立っているのが見えた。
    最近噂になっている変質者だろうか?
    男は、二歳の弟をあやしている母親に近づくと、こう言った。
    「やあドロシー、久しぶりだね」
    すると母は、ケーキ用のナイフで男を刺し殺した――。

    えっ、それからどうなるの?
    この第一章だけで続きが気になってくる。
    しかし作者はじらし上手で、第二章は五十年後の2011年に飛んでいる。

    大女優になったローレルは九十を越えた母がもう長くはもたないことを医師から知らされる。
    古いアルバムをめくっていると、一枚写真が落ちてきた。
    若い頃の母と謎の女のツーショットだ。ヴィヴィアンという名らしい。
    その名を聞いたとたん、母に苦悶の表情が浮かんだ。
    ヴィヴィアンとは何者なのか? それは五十年前の殺人と関係があるのか?

    そして第三章ではついに1941年5月のロンドンに舞台が移る。
    ところが作者はまたも読者をじらせる。
    ドリー(ドロシーの愛称)の元に謎の女ヴィヴィアンが訪ねてくるのだが、
    二人の会話を聞いていても、「何か」が起ったことは分るが、
    それが何なのか、二人はどんな関係なのか、詳しくは分らない。
    読者がやきもきしているうちに、ドリーの下宿に空爆が迫る。
    はたして二人の運命は?

    ああ、これ、これだ! これこそが小説なんだ!
    続きが気になって気になってしかたがない。
    このあとは1941年のドリーの物語と、
    その謎を追う2011年のローレルの物語が交互に展開する。
    正確に言えばドリーの物語は1938年までさかのぼり、’
    41年5月の空爆に向ってつき進むのだ。

    上巻ではこんな文章が気に入った。
    知ったような口をきく医者にいらだったローレルの心の叫び。
    「だが、シャツのポケットに、景品と思しきゴルフクラブの形をしたボールペンをさしているような男と人生哲学を論じ合うのは時間の無駄、そのくらいの頭はある」(39ページ)
    ゴルフクラブのボールペンのどこがいけないんや、と言いたい気もするけど、
    妙な説得力があり、ニヤリとさせられた。

  •  16才の時に、母親ドロシーが見知らぬ男をナイフで殺すのを目撃したローレルはショックを受ける。警察には言わなかったが、男は親しげに母親を名前で呼びかけていたのだ。死期の近い母親を介護しながら、古い台本にはさまっていた写真とヴィヴィアンという女性の名前を手がかりに、ローレルは長い時を経てその謎を調べ始める。
     戦時中のロンドンと現代のロンドンが交互に描かれ、若い頃のドロシーとボーイフレンド、そしてまもなく知り合いになるヴィヴィアンとその夫の生活が徐々に、ローレルの前に姿を現す。若い野心的なドロシーが困窮の生活の中で、友情と愛情を求めながら叶わず失意に沈むところで上巻は終了。

     ストーリーとは関係ないが、木造の家がないせいか、毎晩のようにドイツ軍の爆撃を受けて街が破壊されても、普通に暮らしているロンドン市民の生活ぶりが珍しかった。

  • 母親の秘密は何だろう?
    とドキドキしつつ下巻へ。

  • 感想は下巻で

  • KL 2014.2.8-2014.2.14

  • 『忘れられた花園』 も そうだったけど母親の若い時代がと現代が交錯して 解りにくい。それが、ねらいなのかな。

  • ケイト・モートンの新作。
    現在と過去の事件が平行して語られるのは、他作品にもある特徴。今回は第二次大戦中の出来事が重要になってくるようだ。
    下巻を読むのが楽しみ。

  • 面白い。
    若い頃のドロシーは嫌な奴だな〜

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著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

ケイト・モートンの作品

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