- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017224
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
2007/5/12購入・2010/4/26読了。
本のない世界での物語。
現在のパラレルワールドのような感じでした。
少年検閲官は、ガジェットというミステリを封印したものを、抹消する役目を持つ。
主人公のクリスは、ミステリを探す少年。
いやはや、焚書が、結末の伏線だとは思わなかったです。
300ページくらいあるので、一気に読むのはちょっときついかも。 -
“「行ってみましょう、先生」
「わかった」キリイ先生はゆっくりと立ち上がると、僕の頭の上に手を置いた。「もしかしたら危険な目に遭う可能性もないとは云いきれない。死に関わるようなこともあるかもしれない。それでも平気かい?」
「そんな、おおげさですよ」
「いいや、相手は『ミステリ』を知る者だ。それは凶器の振るい方を知っているということでもある。こうして君を冒険に誘った以上、私が君の保護者にならなければならないんだ」
「平気です。僕はもう子供じゃありません」
「まだまだ子供さ」キリイ先生は靴を履き直すと、窓枠に足をかけて、ひらりと外へ出て行ってしまった。「さあ、ついておいで」
「先生、窓は出入り口ではありません」”
あらゆる書物が処分され、『ミステリ』を知る者がほぼ皆無となってしまった世界。
主人公は、とある町でおこっている事件に遭遇する。
その事件の犯人は『探偵』と呼ばれているという。
書物を失った世界で起こった事件の真相と犯人とは?
書物がない世界だからこその動機というかなんというか。
すぐに読めてしまうのだけど、あまりに実感がなさすぎてちょっとふわふわとしたような、少し怖いようなそんな世界観。
“「君は『ミステリ』に何を期待しているんだ?」
「期待……?」
期待か。そうか、僕は『ミステリ』に何かを期待しているのかもしれない。けれど一体何を期待しているのだろう。『ミステリ』はただの殺人物語だ。この世から排除されて然るべき物語だ。暴力、犯罪、流血、殺人……僕はどうして『ミステリ』に憧れに似た感情を抱いているのだろう。僕は何のために『ミステリ』を追い求めているのだろう。もはや失われたはずの『ミステリ』を……
「私は『ミステリ』に関わる様々な人間を見てきた」エノは僕に背を向けて歩き出す。「みんな、ろくな死に方をしなかった。『ミステリ』と無関係な世界で生きていれば、無残な殺され方をせずに済んだ人間もいただろう。その世界を知るということは、君もまたその世界に知られるということでもある」
「うん」
「あまり深入りしないことだ」
「……もう遅いよ」
「……そうだな」エノは立ち止まって振り返る。「行こう」” -
正直言うと期待していたよりがっかりだった。
設定も登場人物も魅力的だったけど、真相が「うーん」という感じでいまいち物足りなかった。というか、アレで本当にいいのだろうか^^;意外といえば意外・・・?
エノはもっといじわるなのかと思ったら、ぺらぺらしゃべっておいおいそれでも公務員か!と思ってしまった。 -
内容
何人も書物の類を所有してはならない。
もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。
僕は書物というものがどんな形をしているのかさえ、よく知らない。
旅を続ける英国人少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。
町中の家々に赤い十字架のような印が残され、首なし屍体の目撃情報がもたらされるなか、
クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが……。
書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。 -
物語の舞台は一応、日本(のパラレルワールドなのかな?)のようなのですが、主人公が外国人のためか、はたまた登場人物たちの名前が全てカタカナで表記されているためか、外国を舞台にしているような何とも不思議な雰囲気です。この世界の住人たちはずっとそこで生きているから慣れているのでしょうが、書物が無いって本好きには辛い世界ですね…。
タイトルにもなっている「少年検閲官」のエノが(冒頭のチラッとを除く)物語後半までその姿を現さず、ビックリしました。まぁ、主人公はクリスだから良いんですけれど。エノの「一人では外に出られない」という設定や、感情が欠落してるような感じは好きです。
しかし、思わず「…バカミス?」と言ってしまいそうな、お粗末なトリックが、何とも残念でした。この不思議な世界にどっぷりと浸れるのなら、事件のトリックにも納得出来るでしょうし、楽しめる作品かとは思いますが、やはり設定をしっかりと作り込めていない感じがします。私はもっとどっしりとした重厚な雰囲気の世界が好きなので、どうしても色々と気になるところが出て来てしまって、純粋には楽しめませんでした。 -
-何人も書物の類を所有してはならない-
書物を所持することが禁じられ、見つかれば直ちに燃やされてしまう世界。英国少年の『クリス』は、失われた『ミステリ』を探して旅を続けていた。
森に囲まれた閉鎖的な村を訪れたクリスは、古い家に描かれた奇妙な印を見る。そして、連続して起きていた首切り殺人。事件にかかわったクリスは、検閲官として育てられた、不思議な雰囲気をもつ少年、『エノ』に出会う。
話の中で降り続く雨のように、全体的に、静かでどことなく厭世的な雰囲気の漂う話でした。
私的には、事件の解明よりも、摩訶不思議な少年『エノ』の背景などをもっと書いてほしかったなぁ。主人公である『クリス』の魅力も生きてこなかったのが残念。 -
表紙が片山若子さんなので購入。
独特の世界観(本がない、だったか)に暗示的な十字架の血文字。
そして意外なトリック。
続編とかあるなら読みたいが値段の割には合わなかったのでこんな評価。 -
トリックあれこれが実現できるか、この世界観がありえるかどうかは大した問題じゃない、と言いたくなってしまうような話。
この雰囲気とキャラ設定がかなり好き。ミステリというよりボーイ・ミーツ・ボーイな青春物として読んでしまいました。 -
メタミステリの世界のお話。
ミステリ好きじゃないと面白くないんじゃないかなぁ・・・…。