花野に眠る (秋葉図書館の四季)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027438

感想・レビュー・書評

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  • 「れんげ野原のまんなかで」続編。秋葉図書館を舞台に繰り広げられる、さまざまなミステリ。白骨死体なども登場して事件っぽい部分もありますが、始終穏やかな読み心地でした。
    さまざまな本に関する物語が登場するのも魅力的。たしかに子供のころに読んだ本って、妙に心に残っていたりするものです。そしてそんな本に関する知られざる逸話が登場するのも面白く。懐かしい本を探してみたくなります。

  • 前作を読んだのがもう10年前になるなんて信じがたい。
    十年一日の秋庭図書館の日々が、のどかにくり返されています。しかし今回の事件は白骨死体の露見という、大事件。ただ白骨死体が出てきても、おどろおどろしくない展開なので大丈夫。
    白骨事件に対して図書館の面々に何ができるの?と思ったらできるんですね、いろいろ。
    市井の人が戦時に自国の政治から自分たちのコミュニティを守った知恵は、悲しくそして強かでした。
    この地域を率いたリーダーと懐刀は半世紀も過ぎてからその偉大さを現わすけれど、それぞれがただのお父さんだったことが素晴らしい。
    ラストが出来過ぎな気もしますが、物語だからいいんです。

    しかし著者は、「花野」が秋の季語で、花の野原の意味ではないことを知っているかしら??

  • 【最終レビュー】

    図書館ミステリーシリーズ・続編。予約著書・1ヶ月半待ち。図書館貸出。

    ※第1弾著書『れんげ野原のまんなかで』(=文庫本有)

    読了日…14・2・9

    評価…☆☆☆☆☆ 最終レビュー有。

    カテゴリ…「2014年~」

    『物語の磨き』への『エネルギー』を存分に、前作の流れをそのままに至ってブレることなく、メインの登場人物はほぼそのまま。

    図書館の奥行きある世界

    絵本に隠された深みある謎

    絵画(画集)

    戦争直前の『複雑に入り組んだ家族間の縮図』で起こった物語

    の中で描かれている

    〈深い情緒に包まれながら、切なさ、人間味ある『図書館スタッフを含めた、老若男女達』〉

    ちょうど前作から一年。自然に囲まれた空気のいい『秋葉図書館』での出来事。

    第一話…穀雨(こくう)~

    二十四気のタイトル=自然なエピソードと共に。

    舞台の雰囲気としては、朝ドラ『マッサン』

    現在の[余市編]の雰囲気を彷彿させてるかのような印象です。

    全五話ですが、人物同士のリンクでつながってるので『一つの物語』といった展開。

    前作で特に印象的だった

    〈老女・深雪さん(週一で病院帰りに図書館でリフレッシュする習慣)〉

    〈その後の続き〉+〈彼女の新たな一面〉を通じて

    〈『趣味を、自分の中で明確に持つこと』=年を重ねていこうとも、思い入れが深く残っていて『活き続けるもの』だということ〉

    を、深雪さん・もう一人、新しく登場する深雪さんとほぼ同世代の女性。2人の姿を通して

    『地に足を踏みつけてる』かのように、上手く、丁寧に、ありのままに

    〈大人世代の女性の想い〉

    をしっかり反映しつつ、品の高い描写を踏まえ描かれていた点。

    《絶品の一言》に尽きます。

    ・名残ある実在の絵本の作品の数々

    ・自身、学生時、暗記させられた記憶が今でも忘れられない

    宮沢賢治作『雨ニモ負ケズ』

    ・名作揃いの絵画の作品の作家達(ゴッホ、フェルメール、ミレー)



    《実り詰まった図書館を取り巻く世界》

    自分もこうして、図書館が大好きですし、深雪さん同様

    『日常の習慣=楽しみの「一つ」』だということを…

  • +++
    れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館は、いつでものんびりのどか。新人司書の文子の仕事ぶりも、どうにか板についてきた。そんななか、図書館のお向かいの日向山から突然、白骨死体が…。誰が、どうして、こんなところに埋められていたのか?文子は、図書館の利用者が持ち込む、ふとした謎を解決しつつ、頼もしい先輩司書たちの助けを借りて、事件の真相究明に挑むが―。本を愛してやまない人の心をくすぐる、やさしい図書館ミステリ!
    +++

    『れんげ野原のまんなかで』に続く、秋葉図書館シリーズ二作目である。大賑わいとは言えない秋葉図書館ではあるが、いつでも来館者に向けるまなざしは暖かく、訪れた人がいま何を求めているかを親身に考えてくれ、寄り添ってくれるのは、都会の大規模図書館にはなかなかない良さである。新人の文子もだいぶ慣れてきて、保育園の親子に向けたブックトークを任されたり、訳あり気な少年の疑問に親身になったりと、立派な司書ぶりを見せているのも嬉しくなる。本作でも、人の気持ちに寄り添うからこそ解決できた事件の数々が、めぐりめぐり繋がり合って、人の心を解きほぐすことにもなったのではないだろうか。長く続いてほしいシリーズである。

  • 秋葉図書館の新人図書のブックトークの準備の話から馬の本についての話からぐりとぐらの話やある小馬裁判の紀、旅の絵本についてもいろいろな本がその人とつながっていくのはとても興味深い話でした。

  • 読みたくなった本が沢山あったよ
    ほんと、パラレルワールドですね。

  • 何十年も前のことそんなに詮索してどうすんのという感もなきにしもあらず。
    謎解きそのものはおもしろい。

  • 図書館ミステリ。連作短編集かと思いきや、各章に散りばめられた細かな伏線が1つの謎につながっているという長編小説。物語に漂う静かで穏やかな空気がいい。それにしても曖昧な情報で本を探し出してしまう、こちらの司書さんはすごい!登場した本も気になります。読んでみたいです。

  • 秋庭市の図書館員たちがめぐる歴史とその土地の人々の話。

    両親の離婚でどちらについていくか悩む左由留少年が
    偶然出会った絵画教室の咲子先生との交流とお別れにもらったハンコ。

    幼稚園経由で図書館にやってきた名物の落雁に紛れていたハンコ。

    秋庭の町の地主的な存在の秋葉宅の敷地から見つかった白骨化された誰かの遺体。

    昔秋葉宅に住み込んでいた今でいう障害の名がついた青年が
    思いを寄せた人と徴兵から逃れていたことを隠すために
    ひっそりと生き抜く手助けをした
    神社を守っていた山の先生と養女。

    落雁って飾ってるイメージで食べたことない。

    最初はこの話は図書館の人が、
    やってくる人々の求めている本を当てていく話なのかと
    早くも息切れ状態だったのだけど
    意外なプチミステリ的な人情あふれる感じの話だったよ。

    戦争に翻弄され、それでも生き抜いた人たちの姿は
    強くたくましく、頭が下がる思い。

    絵本(?)の馬の本も図書館で探してみたい。

    最後は面白かった。

  • これ2巻だったのか…。
    ですが、ここからでも充分楽しめました。
    事件性のちゃんとある人の死なない日常系ミステリ…って、こういう穏やかな気風のものは最近読んでなかったのですが、良かったな…。
    ほろ苦くも切ない、誰にも言えない秘密を抱える多くの人々の物語。

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著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森谷明子の作品

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