吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) (創元推理文庫 502-1)
- 東京創元社 (1971年4月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488502010
感想・レビュー・書評
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吸血鬼ものって、小説映画漫画と人気多作のジャンルなのに、大元の小説を読んだことない人は意外と多い、と思う。
かくいう私も「吸血鬼と結婚したい」とか言ってるわりには、長い間未読でした。
(ちなみに、一番結婚したい吸血鬼は『ヘルシング』のアーカードです)
この『吸血鬼ドラキュラ』を読んでまず思ったことは、
弱ッ!ドラキュラ伯爵弱ッ!!!
弱点とか行動制限が多くて、後年の他作品で出てきた吸血鬼より、明らかに戦えない……。
(ちょっとネタバレ?最終的な犠牲者の少なさにびっくりしますよ)
まあ、勝負を挑んだ相手が悪かった。
ドラキュラ伯爵に立ち向かうヘルシング教授以下の人間が皆、人並み外れた知力体力精神力財力(ついでに美貌)いずれか、または全部持ったスーパー超人。
こんな人間にいきなりぶち当たるなんて、すごい確率。
運悪過ぎ。
ただでさえ弱点多いのに、運まで悪い。
そんな不憫なドラキュラ伯爵がキュートに思えて、ちょっと萌えちゃいます。
もちろん小説の全体に漂うゴシック感とか、
ぐいぐい進ませる物語の推進力とかも素晴らしい小説です。
種村季弘『吸血鬼幻想』と合わせて読むと、より楽しい。
やっぱり、結婚するなら吸血鬼!
私の血を差し上げますので、素敵な吸血鬼男性は、ぜひ私の家にいらしてください。
(吸血鬼は、初めて訪れる家には、家人から招かれないと入れないのです)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今年の夏に読んだ本。
日本の四谷怪談に並ぶ名作だと聞いたので、読んでみました。あと、ヘルシングの影響。
伯爵が思いの外間抜けだったけれど、ロンドンに壊れた船で入ってくるところは格好良かった。
最初から最後まで、誰かの記述を元にした文体が面白いと感じました。
有名な作品なので、自分では知っていたつもりでしたが、本当は全然知らなかった。きちんと読めて良かったです。
ただ、四谷怪談の方が怖かった。 -
誰もが知る吸血鬼小説の古典だが、今読んでも充分面白いエンターテイメントに仕上がっている。
人里離れ闇深く閉ざされたトランシルバニアの古城で人の生き血を吸い、生きる屍として永遠に呪われ続けるドラキュラ伯爵。この作品以前にも伝説を題材にした吸血鬼小説は発表されているが、以後の影響力からみれば、やはり本作が原点であり、決定版といえよう。
特に冒頭で弁理士のジョナサン・ハーカーがドラキュラの招きによって古城を訪れるくだりは、恐怖感を煽る緊密で重厚な描写が続き、ゴシックホラーの真髄が味わえる。映画などで馴染みのヴァン・ヘルシング教授を始めとする討伐隊の追走と活劇は控え目ながらも緊張感に満ち、パイオニアとしてのストーカーの偉大さをあらためて感じさせる。古い作品などと読まずにいるのは勿体無い。 -
20数年ぶりに再読。いやーやっぱり面白い。
吸血鬼退治チームの資料として、登場人物たちの日記や書簡、新聞記事だけで構成されてるのもすごいし、実際にドラキュラと対決する場面はほんの少しであるにも関わらず、全編にみなぎるこの緊迫感。
これを越える吸血鬼小説はまだないんじゃないでしょうか。 -
ただの下手物ゴシック小説じゃないんですよね。時代背景、ストーカーの生い立ち、考えれば考えるほど、色んな要素を詰め込んだ作品だなあ、と感心。他作品も一通り読みたい。
あと、これはいわゆる名人芸系の訳かなあ。これはこれでとても読みやすいし、口調の使い分けなんかもおお、ってなるんやけど、訳としては…。そこらへん気にする方は水声社のほうをお勧めします。高いけど。というかそういうの気にするような人は原文でも充分読めるんじゃないだろうか。そんなに難解な文ではないし、むしろ登場人物たちの英語の乱れが見れて楽しいと思う。 -
言わずと知れた吸血鬼話の総本家。500ページ超と重量感はあるが、割とさくさく読める。冒頭ジョナサンのドラキュラ城監禁のくだりのシーンは、かなり恐かった。大まかなあらすじは知っていたが、白黒映画版とはだいぶ展開も違っていて驚いた。読んで損はない。
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あまりにも有名なドラキュラですが、オリジナルを読むのは始めてです。
いやぁ~、無茶苦茶面白かったです!
冒頭のジョナサンの日記で、ドラキュラ城の不穏さに惹き込まれ、その後も一気読みしてしまいました。
絶大な魔力を持つドラキュラに、智恵と勇気で一致団結し挑む仲間達。
ホラーというよりも、ハラハラドキドキの活劇を読んでいるような感じ。
全篇が各人の日記で構成されているのもイイです。
感情移入がしやすく、個々人の不安や怒りなどの感情がダイレクトに伝わってくるし、キャラクターもそれぞれ魅力的でした。
個人的には、精神病患者のレンフィールドの存在がなかなか面白かったです。
最後にドラキュラの風貌ですが、ドボチョン一家のドラキュラがかなり近いかなと思いましたw
(でも性格は全然違いますけどw 名古屋弁で喋ったりもしないしw) -
借りたもの。
現代の吸血鬼像を確立させた本家。金字塔。
それは“記録”(関係者の日記、手紙、レコードの音声を文字に起こしたものなど)の体裁を取り、読者は事件を追従する形だった。そこから発生する臨場感。
細かく登場人物の一挙一動、心理描写が書かれているので、現代の映画で何度も制作されるのは、映像化し易いためかもしれないと思った。
対比――善悪、美醜、理性と蛮行が存在する。それが人を魅了してやまない。
濃厚な闇の恐怖と、世界の辺境(異界)を起源とする情景は、人の心を惹きつける。
現代の吸血鬼にある孤高の不死者、愛/哀のイメージはない。それがいかに斬新だったかよく分かる。 -
レポートのためにAmazonで購入
課題のために読むといつもと違う視点から読めるので多くの新しい点に気付くことができた
書記の形式で書いてあることが本作品を傑作としているのだろうと推察
ラストをもう少しどうこうしてほしかったが、現実感を出すためか
それとも伯爵がチート過ぎるからやむを得ない処置か