- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492046173
感想・レビュー・書評
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ナイキの伝記です。日本と関係が深いことを初めて知りました。
あのナイキでもこれほど波瀾万丈な歴史があり、いうならばつい最近まで資金繰りに困窮していたのは意外でした。
ナイトはとにかく勝ちにこだわっていました。勝ちの概念も人それぞれなのでナイトがいう勝つとはお金ではありません。スポーツを通してより良い世界を作る、という意味であり、おそらくは戦っているのは自分自身だと思いました。
成長を止めたら人生は終わり、との一文もありました。
この自伝においてはナイトは普通の人に描かれているので、あのナイキのスタートもこのような普通のスタート?という風に解釈すると、どんな人にもチャンスはあるし、いくらでも挑戦はできると思いました。
そのような熱い想いを学びました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ナイキの創業者フィル・ナイトの自伝。面白くて引き込まれる。
世界旅行を思い立ち、後にその販売代理店としてビジネスを始めるオニツカ(現アシックス)に立ち寄った1962年から始まる。そこから株式を公開する1980年までの濃密な一年一年をそのときの心情を再現するようにさらに濃密に語る。伝説の経営者ではあるが、そこにはほとんど泥臭い物語しかない。危機は次から次へと訪れる。彼は悩む。そうすべきではなかったという後悔があふれている。決断をするということは、後悔をするということでもある。あのナイキでさえ成長企業としての在庫と資金調達の問題に振り回されている。ナイキへの印象が変わった。
1962年に「ここがすべての始まりだ」と言ったアテネのアクロポリスの丘でパルテノン神殿の横に立つアテナ・ニケ(Nike)神殿。勝利を意味するこの言葉が後にナイキ(NIKE)という彼の会社の名前となる。ただしナイキという名前については彼は気に入っていなかったようで、当初はディメンション・シックスという名前を押していたという。
あの有名なロゴが決まる場面についても合議を重ねた様が描かれている。35ドルでデザインされたナイキのロゴ。こちらもフィル・ナイトは最初は気に入っていなかったようだ。「とりあえず時間がないから、これにしよう」と言ったらしい。ナイキの成功は、決してフィル・ナイトの独断とセンスで決まってきたものではなかった。シューズに対する愛と、成功するという強い信念によってなされたものだった。
「ナイキはシューズ以上の存在だ。私はもはやナイキを作った人間ではない。ナイキが私を作っているのだ」とフィル・ナイトはいう。
「臆病者が何かを始めたためしはなく、弱者は途中で息絶え、残ったのは私たちだけ。私たちだけだ」
と書かれた文を読むとき、歩まれた道のりの長さを感じ取ることができる。
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それにしても日商岩井のスメラギとイトーは恰好良すぎる。日商岩井がナイキを救ったのだ。
「スメラギは、イトーの前で今にも土下座しそうな勢いで、自分が単独でやったことで、会社をだましていたと断言してくれた。「なぜそんなことをしたんだ」とイトーは聞いた。「ブルーリボンが大成功すると思ったからです」...フィル・ナイト氏とは何度もトレイル・ブレイザーズの試合に行きました。倉庫で荷造りも手伝いました。ナイキは私にとって我が子のようなものです。我が子の成長を見るのはいつだってうれしいものです。
「それでは君がインボイスを隠したのは……つまり……彼らのことが好きだからというわけか」
非常にバツが悪そうにスメラギは頭を下げた。「はい」と言った。「はい」と。」
そしてイトーはナイキを苦しめていた地場の銀行に対して次のように告げる。この本の山場のひとつだ。
「彼は直ちに本題に入った。忌々しい本題に。彼はホランドしか相手にしていなかったが「みなさん」と前置きした。「私の理解では、ブルーリボンとの取引を今後は拒否するそうですが」
ホランドはうなずいた。「そのとおりです。ミスター・イトー」
「それならば日商がブルーリボンの借金を返済します。全額」
最後に「20代半ばの若者に言いたいのは、仕事や志す道を決めつけるなということだ。天職を追い求めてほしい。天職とはどういうものかわからずとも、探すのだ。天職を追い求めることによって、疲労にも耐えられ、失意をも燃料とし、これまで感じられなかった高揚感をえられる」と言う。そう言われたときに、自分の子供たちはどうだろうか、と思う歳になった。そして、自分は天職を探そうとしていただろうか、と。
筆者や他の仲間の不器用な熱い思いが伝わり面白いが、それだけに自らに振り返って胸に刺さるものもある。 -
ナイキの創始者フィル・ナイトの自伝。日本とのつながり、NIKEの始まり、靴LOVEの人たち。面白く、読みやすかった。「競争のコツは忘れることだ」、「負け犬だけれど、力を合わせて勝つことができる」とか教訓にもなったな。「他人がより充実した人生を送る手助け」をするために前に前に進んで行った人なんだなあ。大きなことをする人はやはり止まらず熱い思いとともに進んでいくんだな、何があっても。
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NIKEのイメージはAPPLEなどと同じような多くのイノベーションを産んだ特別なブランド価値を持つ企業だと思っていた。
まさか会社の起源が日本企業の代理販売だとは思ってもみなかった。
会社を0から立ち上げることは困難の連続でそれを一つひとつ愚直に乗り越えてきた著者は本当にすごい信念を持っているのだろう。
そしてその信念はスポーツへの愛情と自分の会社への愛情と使命感によって形成させているからこそ判断基準をぶらさずに事業を拡大できたのだと思う。
自分の好きなブランドの起源と成立ちを知れたことがすごく興味深く読みやすかった。 -
NIKEはどうできたのか。
時代は違えど起業家精神は今も昔も変わらない。
日本とも非常に縁が深い。 -
ナイキの創業者の自叙伝。ナイキの誕生から、世界最高のスポーツメーカーになるまでの苦労や紆余曲折が描かれている。
自分的にはあまりハマらなかったかな。
著者の仕事のやり方が、納得できない部分が多く、正直読み進めるのが辛かった。
まるで実態もないのに、日本のオニツカとビジネスの話を進めて「後付け」で準備したり、会社のために一生懸命働くジョンソンへの扱いがひどかったり、行き当たりばったりで決めたり、と。
それが結果として企業が大きくなったので、成功なんだろうけど。
日経新聞の「私の履歴書」をずーっと読んでる感じ。
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【感想】
ナイキ誕生の物語を、創業者であるフィル・ナイトが語る。
会社設立のトップランナーから語られるストーリーは、起伏に富み(特に金のやりくりについて)、情緒たっぷりで、時間を忘れてスルスルと読めてしまった。
ナイキは「挑戦」を理念として掲げている。
フィル・ナイトは「靴」でアディダスとプーマに挑戦したわけだが、その過程はなかなか泥臭いものであった。
新商品のアイデアは、陸上コーチがDIYで作った試作品から得た。スポンサーを得るために、各地の競技会に何度も足を運んで売り込みをかけた。新しい社員は、「こいつだ!」とビビッときた人間を一本釣りしてゲットした。
「天下のナイキは、設立当時から独創性に富んだスマートな戦略を掲げていたのだろう」と想像していた自分は、現実とのギャップにびっくりし、思わず笑ってしまった。
フィル・ナイトを延々と苦しめていたのが「キャッシュフロー管理」という会計上の問題であったことも、なんとも卑近な感じがして面白い。ベンチャー企業の経営はいつだって銀行や投資家との闘いであり、天才であっても無い袖は振れない。なんとも親近感が湧くエピソードだ。
思うに、本書が面白い理由は、そうした「どんな困難でも、泥臭い情熱にはかなわない」という真理が根底に宿っているからであり、その真理が時代を超越するものだからだろう。
現代の世の中は、フィル・ナイトが活躍した1960,70年代よりも、ずっと複雑になった。
両者の単純比較は難しいが、時代を超えて人々を魅了するのは、やはり「情熱」の姿勢だろう。リモートではなく対面で。スマートではなく一歩ずつ。ビジネスの場がグローバルに移ろうとも、地に足をつけた歩みはいつの時代も変わらない。
やはり情熱は何ものをも凌駕する力を持つ。
この本が名作たるゆえんは、きっとそれを教えてくれるからかもしれない。 -
ナイキの創業者フィル・ナイトの自伝。経営者の自伝はとかく堅苦しかったり、英雄伝説っぽかったりするが、本書はとても親しみやすい。何といても彼は文章が上手い(翻訳がよいのもあるだろうが)。平易な語り口でありつつ、次々とドラマを用意し、飽きさせない。60年代に青春時代を送り、バックパッカーとして世界を旅したこともある彼からは、優等生的な経営者の香りはしない。当時、市場を制していたアディダスに、仲間とともに挑んでいく姿はすがすがしい。また、彼自身も陸上競技をやっていて、ランニングがいろんなエピソードの合間で重要な精神安定剤の役割を果たしていることにも親近感を覚える。
ランニングシューズはナイキを履くことがこれまでも多かったのだが、これからは一層、自分の中でナイキ愛が高まりそうな気がします。 -
ナイキ創業者フィル・ナイトによる自伝。
自伝なので、客観性については多少の問題はあると思いますが、フィル・ナイトがどういうつもりでナイキを創業し、そして、どの様に育ててきたのかが良く分かります。
不勉強だったのが、日本との関係。具体的には、オニツカと日商岩井との関係です。その意味では、日本はナイキの第二の故郷と言っても良いんじゃないんですかね?
結構なボリュームがありますが、まぁ、色々と紆余曲折あり、「池井戸潤かっ!」と言う内容ですので、あっと言う間に読み終えてしまいました。