プレミアム戦略

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492532409

感想・レビュー・書評

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  • 本書は「プレミアム戦略」との書名となっているが、内容は「プレミアムとは何か」についての解説といった色彩が強い。
    「戦略」という名詞が書名に使われているのだから、戦略面についての解説や「HOW」を内容に盛り込んでほしかった。騙された気分。
    内容については、よく言われるようなことつらつら書いていて、特に心に残るようなものはなかった。趣味教養レベル読んどけばいい印象。

  • なぜ日本でプレミアムブランドがうまく成長しないのか。現状の規模を追い求める生産スタイルでは、なかなか難しい。日本には中産階級が多いことにも起因するだろうが、日本にも成功している老舗等を参考に、今後の成長に期待したい。おもしろかった。

  • プレミアムという言葉は自分も大好きでついつい買ってしまう。
    プレミアムは「機能的価値」と「情緒的価値」から生まれるもので、この目に見えない「情緒的価値」が非常に重要。(この本では「機能的価値」だけのことをラグジュアリーとしていた)
    この「情緒的価値」になるのがストーリーであり、これらは作り手のこだわりで生まれる。
    そのため、大量生産大量消費を目指してきた日本でプレミアムが少ないのは当然で、今後はいかに成熟した日本市場で日本発のプレミアムを生み出すかが課題となる。
    最近は景気も悪いしこんなこと言ってる場合ではないのかもしれませんが、もっとレクサスみたいな世界的高級ブランドが日本から出るようになれば経済も活性化するような気がした。

  • プレミアムは、まず機能的価値があり、さらに情緒的価値があるもの
    尖りが必要

  • 読みやすかった。1〜2年前に読みたかったなー。
    プレミアムとは惚れることっていうのが印象的でした。

  • 仕事に役立つかも!?と、藁をもすがる思いで・・・笑
    高級品のブランディングの基礎が学べる良書。

  • 08028


    「プレミアム」とは何か?
    「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いは何か?
    感覚的には分かる人は多いと思う。


    現在の日本は、消費が二極化され、格差社会となっている。
    これまでは、「中」を求める消費者が多かったのに対し、
    100円ショップなどで「下(やや下)」を求める消費者と
    「上」を求める消費者が増え、「中」を求める消費者が
    減っている。消費者は「上」だけを求めるわけではなく、
    モノによって、「上」だったり、「下」だったり使い分ける。
    要は、「縦の広がり」が増しているのだ。
    その中で、「上」のニーズを満たすもの、それが「プレミアム」で
    ある。

    「上」=高級品(「ラグジュアリー」)ではない
    「欲望の質」を満たすもの、「手に入れる」のではなく、
    「使いこなす」こと、これが「上」つまり、「プレミアム」なのだ。

    「欲望の質」とは言い換えると「自分探し」のための消費とも言える。
    作り手との「こだわり」への共感こそがアイデンティティとなるのだろう。


    ここが、特に素晴らしいと思ったのが、
    プレミアム=「機能的価値」×「情緒的価値」という図式だ。
    さらに、ここに「ストーリー」が付加される。



    戦略とタイトルにあるとおり、後半はプレミアム戦略の話だ。
    ・フラッグシップ
    ・価格と収益
    ・プレミアムは「差別化集中戦略」
    ・日本発のプレミアムがなぜ育ちにくいのか

    などが書かれている。


    ここで全てを書くわけにはいかないので、知りたい人はぜひ読んで欲しい。

  • 日本が世界でもまれなプレミアム大国となっているのは、欲望の質が高い中産階級が厚いから。
    プレミアムという言葉に消費者が反応するのは、ブランドを超える何かを求めているから。プレミアムには、格ともいうべきおり限定したニュアンスが込められている。

  • 『プレミアム戦略』 遠藤功(2007)
    読みやすかった~~
    ・プレミアムこそ成熟消費社会のキーワードp.3
    ・大量生産・大量消費から、本当に良いものを選び、大切に使いながら生活を豊かにするという「スマート」な生産・消費社会へ
    ・消費性向の変化は、多くの日本企業の戦略に重大な変化p.5
    ・マスを対象とした「中」「中の上」の市場は、BRICshへ
    ・問題意識・・・・日本における「上」の市場は、海外ブランドに侵食されている。日本の消費者は比較的豊かで「うるさい」。しかも日本企業は世界に誇る技術とものづくり力を有している。にもかかわらず、なぜ日本発のブランドが「豊かさの象徴」として街に彩を与えることができないのだろうか。p.6~
    ・「なぜ日本企業は、プレミアム市場で存在感を示せないのか」・・・それはプレミアムが、これまでの日本企業の主戦場だった「中」「中の上」とはまったく次元の異なる、別物のビジネスだからである。p.9
    ・日本は過去の成功体験から脱却し、マインドや発想を根底から変えない限り、日本企業のプレミアムにおける成功はありえない
    ・JMR生活総合研究所の消費意識調査『消費社会白書』
    ・バブル消費は、「他人のものさし」に依存した高級志向→現在は、「自分のものさし」で高級や本物を求めようとする特徴があるp.31・・・成熟社会のひとつの大きな特徴
    ・高いものが売れる一方で、低価格志向の消費も拡大→中価格帯の苦戦→市場の二極化、消費の二極化p.33~
    ・なぜ日本の「欲望の質」は高いのか・・・日本がはるか昔から一般庶民が商品やサービスの質にこだわる消費文化を継承してきたことに一因があるp.47
    ・プレミアム市場を形成する2つの要素
     ①消費者の経済的豊かさ
     ②消費者の欲望の質→日本は欲望の質が比較的高い中産階級の層が厚いから、プレミアム大国となっているp.54
    ・日本の強み・・・安定した品質と値ごろ感を備えた商品p.60
    ・アイデンティティ・プレミアムp.70・・・非日常に購入するものは、自分らしさを表現するアイコンとしての商品を選択したい
    ・一切妥協しない、作り手のこだわりに魅了され、自分の価値観と同一化するコアなファンが現れるp.72
    ・「プレミアム」・・・ブランドを超える「何か」。ほかの人と同じではない、自分ならではの上質さや本物を手にしたいという消費者の欲求からくる
    ・「高価」「希少」「選別」p.74
    ・「ラグジュアリー」は身分に関係なく、お金さえあれば手に入れられるものと消費者は解釈する。「プレミアム」は商品やサービスそのものの上質感もさることながら、一部の限定した人にしか手に入らない、もしくはそうした特別のものを楽しめる人になりたいという格への憧憬や願望を満たす言葉である。p.87
    ・プレミアムは「機能的価値」と「情緒的価値」の融合から生まれるp.87
    ・作り手が自分の主観にこだわり続けた結果生み出される「尖り」を持った「レベルの違う上質感」は、ある特定の消費者を魅了する→プレミアムの重要な要素
    ・プレミアムには、それぞれの作り手の歴史や伝統、愛用する顧客の逸話や神話といった要素が不可欠である。「レベルの違う上質感」の裏にある「ストーリー」をつむぎだし、消費者に投げかけ続けることが、ファン作りのプロセスである。p.94
    ・プレミアムとは、「究極のモノづくり」と「究極のストーリーづくり」が融合して作り出される
    ・卓越した技術や技能を持ちながら、日本発のプレミアムがなかなか生まれないのも、「ストーリーテラー」がいないことが大きな要因であるp.96
    ・ポルシェの例
    ・プレミアムには必ず「顔」となる最上級モデルが不可欠である・・・フラッグシップp.104
    ・フラッグシップは、そのブランドを代表する旗印であり、「レベルの違う上質感」や作り手のこだわりを体現するものである。そして、消費者は「フラッグシップ」が生まれてくるその裏に潜む「ストーリー」を欲しているp.105
     例 エルメス→ケリー、ベンツ→Sクラス
    ・プレミアムにとっては、価格設定が何よりも重要p.110
    ・プレミアム戦略の本質→「量ではなく収益」p.116
    ・「中」以下の商品は日本メーカーのもので済ませ、「上」を手に入れるときは舶来物のブランドにこだわる消費傾向が定着p.126
    ・市場の「欲望の質」が高いにもかかわらず、その欲望を満たす作り手が育っていない。・・・多くの日本企業に共通する大きな課題
    ・プレミアムを阻む4つの壁p.137・・・二次的なものに過ぎない
     ①舶来信仰
     ②「御用達」制度の廃止
     ③大量生産・大量販売という産業政策
     ④デザイン性より機能性重視の思想
    ・日本からプレミアムが生まれない最大の要因は、「作り手の『欲望の質』が低い」という供給サイドにこそあるp.142
    ・3つのパラダイムシフトp.153
     ①「マス思想」の否定
     ②「カスタマー」ではなく「ファン」をつくる
     ③「マーケティング」ではなく「ストーリーテリング」
    ・プレミアムにおける8つの原則p.159
     ①「作り手の主観」こそがプレミアムの命
     ②常に「モダン」であり続けること
     ③派手な広告・宣伝はしない
     ④飢餓感・枯渇感を醸成する
     ⑤安易な拡張は行わない
     ⑥販路を絞り込む
     ⑦細部にこだわる
     ⑧グローバルを目指す
    ・日本企業がすべきこと・・・大量生産・大量販売の発想を捨て去ること
     ①本物の「職人」を育てる
     ②「ストーリーテラー」を育てる
     ③上場にこだわらない
     ④仕事に「ゆとり」を
     ⑤「できる」と信じる 最後発のルイヴィトンp.181
    ・日本におけるプレミアムに挑戦する企業
     ・千疋屋p.188
     ・大塚製靴p.194
     ・セイコーウォッチp.200
     ・ミキモトp.205
     ・タケダワイナリーp.210
     ・レクサスp.217
     ・星のや 軽井沢p.223

  • ローランドベルガー会長による著作。<br />ブランド論としては、特に新しいものはなくアーカーなどによって提示された理論を、わかりやすく書き直したものという感じ。日本企業がプレミアム市場において存在感が無いという指摘とともに、そんな中で挑戦する日本企業の事例を巻末にいくつか挙げている。<br /><br /><br />・プレムアムかどうかは作り手が決めるものではなく、あくまで顧客が決めるものである。<br />・プレミアムに必要なものはロゴではなくストーリーである。<br />・伝統とは革新の連続である。by虎屋17代目<br />・プレミアムは消費者の「経済的豊かさ」に「欲望の質」が加わることによって形成されていく。<br />・バブル期にもブランド市場が大きく拡大したが、今との違いは、商品選択の基準が他人の尺度ではなく自分に合うかどうか、自分がどう使うかということにシフトしていることである。

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著者プロフィール

遠藤 功(エンドウ イサオ)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。2020年6月末にローランド・ベルガー会長を退任。同年7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『現場論』『生きている会社 死んでいる会社』(いずれも東洋経済新報社)『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)『ガリガリ君の秘密』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー書籍多数。

「2022年 『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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