そういうものだろ、仕事っていうのは

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171049

作品紹介・あらすじ

人気作家がワンテーマで短篇競作!働くことは生きること。世界とつながること。日経新聞「電子版」小説シリーズ、第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • そうです。そういうものなんです。仕事は。という短編集でした。
    仕事に縛られる人生もあれば、仕事をすることで失恋も忘れられるし、あくせく働かなくても株で一儲け出来れば、お金も稼げるし、仕事以上に家庭で大変なことがあれば、仕事の辛さも緩和されるし、そして、職場にはいろんな人がいるんです。
    明日から仕事頑張るぞーとは思わなかったし、かと言って、仕事辞めたいなーとも思わず、やっぱり、仕事ってそういうもんなんだよね、と思ったのでした。

  • 仕事がテーマのアンソロジー。9月で仕事を辞めた私が、今これを読むか?って感じだけど、仕事に対する姿勢や思いって、人それぞれなんだなと思いました。「ホームにて、蕎麦。」は、重松清さんらしくてよかった。大崎善生さんの「バルセロナの窓」は、50代男性が主人公なんだけど、一番感情移入し、うるっときた。やっぱり私の中には、おっさんが住んでるのかも(^^;;

  • 仕事がテーマのアンソロジー。

    いずれも2010年に書かれたものなので、リーマンショック後の状況を匂わせるものが多いですが、仕事、会社については普遍的な問題もあり、今の時代に読む価値もあると思いました。

    普段読まない作家さん、あまり好きではないと思っていた作家さんも含まれていましたが、異なる雰囲気の作品はどれも読みやすく、まさに世の中にはいろいろな仕事があるものだ、と思いました。

    いわゆる「就職氷河期」世代の私は会社員らしい仕事の経験は少ないので、石田衣良さんの『ハート・オブ・ゴールド』のぐなぁさんの

    「ぼくには先輩も後輩もいない。入社式も、新歓コンパも、研修も受けたことがない。ぼくは思うんだけど、富はただの金だけじゃなくて、社会のなかで積んでいく経験でもあるんだよ。人といっしょに働ける。たくさんの人と関係を続けられる。そういう社会的な富っていうのがあるんだ」

    という言葉が心に響きました。

    津村記久子さんの『職場の作法』の中の『小規模なパンデミック』は、2010年の作品とは思えず、2020年3月ごろを思い出しました。

    その他気になった言葉―

    重松清さんの『ホームにて、蕎麦。』の
    「休む元気」

    盛田隆二さんの作品のタイトル
    『きみがつらいのは、まだあきらめていないから』

    そして、津村記久子さんの『職場の作法』の中の

     ・どんな扱いを受けても自尊心は失わないこと。
      またそれを保ってると自分が納得できるように
      振る舞うこと。
     ・不誠実さには適度な不誠実さで応えてもいいけ
      れど、誠実さに対しては全力を尽くすこと。

  • 津村記久子『職場の作法』は、クセになる文章で引き込まれた。
    残念ながら、他の作品はどうやら私とは合わず。
    本のタイトル的に展開が絞られてしまったのかなぁ。

  • 津村さんが読みたくて手にとったのだが、どの作品も良かった。仕事がテーマでありつつ、野中柊さんの「あの日。この日。そして。」が収められてるのが、楽しい。アンソロジーの良さを感じる。仕事と自分の関係性、仕事は単純に人生に占める時間の割合では測れない存在。濃淡とでも言うのか、仕事は常にそこにありながら、自分にとって近くに感じたり遠くに感じたりもするし、時には完全なる支配者でもあったりして、その関わりの度合いは自分が選んだ結果であったり、有無を言わさずそうなってしまった結果だったりする。

    自分は、主婦時代がありブランクがあって仕事復帰したのだが(ついでにリストラからの必死の転職活動まで経験)、今では大黒柱として今後も定年まで(或いはそれより長く)働き続ける事前提の身。
    主婦時代は、会社仕事をしてないことへの引け目も若干ありつつ、仕事するって大変だよね、の価値観が見え隠れしてたようで、そんな私に学生時代からの友達が、呼吸と一緒だよ、と言って(慰めて?)くれたのを思い出す。呼吸と一緒かぁ…呼吸に関して文学することはあまり想像できないけど、人生について文学することは無限に可能だと感じる。仕事って人生と重なったり、重ならなかったりしながら、そこにあるものなのかもしれない。仕事と自分(の人生)の関係性に着目すると、より仕事を(言ってしまえば)愛せるようになるのかもしれない。だって、自分や自分の人生、自分が愛さなくて誰が愛してくれんねん!笑
    愛するが言い過ぎなら、大切にする、とか、自分の一部と思うって言い方だろうか。

    働くって悪くないな、と思える一冊。オススメ。

    ところで、最後にある津村さんの「小規模なパンデミック」は、コロナ前に書かれたものなのだが、今読むと、(津村さんの他作品のいくつかで感じる)ありそうでない、現実に根差したフィクションを小気味よく楽しむという感じにならず、この話にはリアリティを感じるし(現実の職場状況は作品よりも更に変化が大きく大規模なパンデミックなのだが)ソワソワしちゃった。コロナ禍の職場を舞台にした津村さんの作品プリーズ!!って思っちゃう。あるのかな?

  • 短編集。どれも読み応えがあり読みやすかった。

    自分の状況によってどの話が刺さるか違うだろうな。

    自分は盛田隆二著。

    うつ病になりかけたところ妻の体調不良が発覚し、妻の世話をする中でうつ病をふき飛ばし、妻との関係性を再構築していくという感じの話。

    うつ病の私からすると、妻の世話を自分がすると言い出すところで非常に危険だと思ったけど、それがきっかけで妻とのふれあいが戻りうつ病(まだうつ病じゃなくその手前なんだろうな)を脱していくという展開。

    確かに、最近、私自身も妻とのふれあいが薄れつつあり、その状態だとうつも悪化していく傾向にある。自分からは怖くて言い出せない。うつだから避けられているのか。もう魅力はないんだろうな、とか、考えてしまう。

    本著はあくまで自分がやらなきゃということが大事なのではなく、その中で関係性が再構築されたということがうつを脱するきっかけとなったということ。安易にうつ病の人が一人で抱え込むという決断は危険なので避けた方がいい、とは思う。

  • 大崎善生さんの バルセロナの窓 が好き

  • これを読んで「仕事また頑張ろ」とは思えなかったな…重松清の話が好きだった。お蕎麦やさんに転職した60歳間近の父

  • それぞれの世界観が面白かった。
    仕事って理不尽なことも多いけど、後から笑い話になる、第三者から見たら?と思うとやり過ごせるかも。

  • 「仕事」をテーマに6名の著者による短編。好きな作家も少しいたのに、あまり印象に残らなかったな。でも盛田隆二氏の短編は主人公の年に近いせいか、考えさせられたな。年をとる毎に少しずつ変化する夫婦関係。色々有るけど、このまま穏やかな良い関係を続けて行きたいな。何て思ったり。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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