「Gゼロ」後の世界: 主導国なき時代の勝者はだれか
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2012年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532355227
感想・レビュー・書評
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世界情勢のサーベイだと思えば良いかと。あるいは世界超近代史。筆者は現役の政策コンサルとして世界中で引っ張りだこなので、内容の信頼性は高いと思われる。要はこれからしばらくはリーダー国の居ない混沌とした時代が続くよ、というお話なのだけれども、実感である。いっそパックスアメリカーナよ再び、とか考えてしまった。
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【政治】イアン・ブレマー
【関連】FOREIGN AFFAIRS REPORT 2011 NO.3 -
前は・・・
唯一の超大国アメリカが衰退し始め、世界は多極化していく、なんて話をよく耳にしたのですが・・・
最近は、いやいや多極化なんかじゃなくて無極化・・・
つまり、『Gゼロ』だ、なんて話になっています・・・
Gゼロ・・・
世界を主導する国、リーダーシップをとる国がなくなってしまった・・・
世界大戦後、約70年間世界を引っ張ってきた超大国アメリカは・・・
もう一方の超大国、ソ連を下したけれども・・・
一人勝ちの状況は続かず・・・
不況や財政問題に手足を縛られ・・・
世界の様々な問題に向き合う力とやる気を失い・・・
最近は久しぶりに超内向きになってきた・・・
G7、先進国もかつての輝きを失い、世界の経済を動かす力はもう無く、現状維持のためにもがいているだけ・・・
中国をはじめとする新興国は、自分のところの経済成長にばかりに目がいって、主導権をとるつもりも力もまだない・・・
一時もてはやされたG20なんて、数が多すぎる上に、対立事項も多く、リーマンショックのようなG20共通の抜き差しならない危機が発生しない限りは、ほとんど機能しない・・・
かと言って、IMFなどの国際機関も構造的な問題を抱えていて、力不足は否めない・・・
世界経済、気候変動、サイバー攻撃、テロなどなどなど、世界にはマジでヤベー問題が山積みなのに!
それを解決していく力と意志がある国が不在だよね!
みんな自分の国のことばっか!
みんな余裕が無くて身動きがとれない!
Gゼロだね!ヤバイね!ってー本・・・
Gゼロってことは各地域の大国のその地域のへの影響力が強まるってことだから、それぞれ独自のルールでその地域のゲームを行えるようになる・・・
めっちゃ複雑な世界になりますね・・・
まさに、マジで混迷・・・
Gゼロ世界で一番紛争が起こる可能性があるのは、アジアと中東・・・
アジアが一番武力衝突が起こる可能性が高いでしょう、と・・・
まー、実際既にヤバイしね・・・
アメリカの衰退の影響を一番受ける地域だね・・・
世界経済も今までのグローバル化の流れから保護主義が急増するだろね、と・・・
保護主義が強まると貿易が拡大しにくくなるから・・・
経済成長の速度がガクンと落ちちゃうよね・・・
環境問題なんて、話し合い進まないだろうね、と・・・
その他いろいろ影響が出てきそうな項目がいくつも書いております・・・
Gゼロは何年続くか分からんけども・・・
あくまで次にできるであろう世界体制の過程の状況なので・・・
Gゼロ時代にもいつか終わりがくる・・・
Gゼロという混沌を抜け出て現れるその後の世界は?
もし米中が協力し、米中以外の国が弱いならば・・・米中のG2時代
もし米中が対立し、米中以外の国が弱いならば・・・冷戦2.0
もし米中が協力し、米中以外の国が強いならば・・・協調的な真のG20
もし米中が対立し、米中以外の国が強いならば・・・地域分裂世界
そして最悪・・・
・・・
と、まぁ、若くてキレッキレのイアン・ブレマーによる本でございます・・・
や、マジでキレッキレらしいので、今後の世界を見通す上で読んでおいて損はないかと・・・
いや、当たるかしらんけどさ・・・
Gゼロって言葉は知っといた方がイイよね・・・
仕事がらみで言うと・・・
Gゼロ世界は長期投資に向いてない・・・
安心して長期投資するってーのは難しいね・・・ -
論文を書いてたら、たまたま日経新聞で紹介されていた。
筆者はサイバースペースが新たな戦場になるように書いているが、そうではないだろう。現在もいまだに核兵器の抑止は利いている。それがあるからサイバー攻撃も抑制される。筆者の考え方と私は違う。 -
日本経済新聞社エコノミストが選ぶ2012年経済図書ベスト10 第七位
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アメリカの相対的国力が衰退する現代を絶対的な覇権国が存在しない不安定な移行期と位置づけ、移行過程で起こりうる「何も決められない世界機関」等の様々なケースを列挙。次の時代は絶対的な国力を持った覇権国家は出ない。経済合理性に依拠した「フラット化する世界」とは正反対の国家統治・国際政治に依拠した「ブロック化・保護主義化する世界」。移行は火力ではなく経済戦争で起こるという文脈でTPPやFTAを考えると現代政治を理解しやすい。本自体は「フラット化する世界」と同様にタイトルが中身をほとんど物語るタイプ。
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Gゼロとは、主要先進国と新興国の間に犠牲を強いてでも成立させたい共通基盤がなく、解決策の受け入れを強いる影響力のある国や機関が存在しないことをさしている。つまりこれからの世界がどうなっていくかを予想した本だ。
これによると、影響力低下により、政治的に不安定な地域での衝突は増えていくだろうと言っている。
この世界の勝者となるのは、どの国にも過度に依存せず、多数の国家と利益となる関係を構築できる国だと言っている。
簡単に言うと、ジャイアンがいなくなって、スネ夫が悪さをはじめる反面、後ろ盾がなくなって、ジャイアンに恨みのある人から排除されたり、周りの人も、ジャイアンという共通の敵がいなくなったことで自分勝手な行動に走って喧嘩が耐えなくなる。そんな中での勝者は、出来杉くんのような、色々な人に良い影響を与えることで一定の距離を保ちつつ、良好な関係を維持している人かな?と思いながら読んだ。
残念ながら、この本を読んでいると現在のままの考え方で国家運営が行われると、確実に敗者の道を進んでいくと危機感を感じた。
今後の世界情勢を理解するうえで大変勉強になる本だった。 -
昨年のブレマーの「自由主義の終焉」は2011年のベスト本の一つだったので、同じ編集者が担当したというこの新刊も直ぐに手にとった。
筆者が「自由主義の終焉」で国家資本主義の重要性を訴えたことを、自ら「珍しく間に合った」と評したように、前作はタイミングも内容も素晴らしかったが、この本も重要ではあるものの、正直ちょっと中だるみしてしまった。
本の内容というよりも、中に散りばめられている多くの事実や事象、傾向の紹介の方が参考になったが、それは本のコンセプトが要素に負けているということを意味するので、それ程評価には結びつかない。
しかし、内容はしごく全うに感じたので、こうした世界観を共有しつつ、様々な物事をみていくことになると思う。