ハムレット (白水Uブックス (23))

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070239

感想・レビュー・書評

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  • 戯曲を初めて読んだ。
    ジョン・エヴァレット・ミレーのオフィーリア を模写するので、読んだ方がいいかなと。

    戯曲はセリフだけなので、入り込みにくいかと思ったけど、大丈夫だった。
    でも、小説の方が情景描写もあり、好きだな。

    これは、演劇、ミュージカル、映画で観た方が入り込みやすいのかな。

    バタバタ死んでいってしまうけど、それぞれの悲しみがあっさりしている。

    とりあえず、オフィーリアがどのように死んだかわかった。

  • ひっさびさに沙翁読んだけど、(ていうか戯曲も久々)なんてーかこの前時代的思想・・・みんながみんな仲悪い雰囲気・・・飛び交うハイセンスすぎる罵詈雑言・・・思い込みの強い登場人物たち・・・シェイクスピアだなあ・・・

  • シェイクスピア4大悲劇のひとつ。
    名言が多いらしいが、
    普通に読み進めるだけでは名言っぽさはない。
    たぶん「劇」ではまた印象が大きく違うんだろう。

    初めてシェイクスピアの悲劇を読んだが、
    登場人物の致死率の高さに驚いた...

  • "To be, or not to be, that is the question."(「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」<本書訳、以下同>)、"Get thee to a nunnery." (「尼寺へ行くがいい」)、"Frailty, thy name is woman."(「心弱きもの、おまえの名は女!」)など、数々の名台詞で知られるシェイクスピア悲劇。

    デンマーク王子、ハムレットは憂えていた。偉大なる父王が突然の死を遂げ、次に王位に就いたのは王の弟でハムレットの叔父であるクローディアス。高潔な兄に比べ、(ハムレットの目から見ると)卑小な弟。王と呼ばねばならぬことさえ苛立たしいのに、あろうことか、前王の死後、二月足らずで母王妃は現王に嫁した。悲嘆と憤怒の只中にあるハムレットの前に、父王の「亡霊」が姿を見せる。亡霊は弟に謀殺されたと告発し、ハムレットに敵を討つよう命じる。ハムレットの深い煩悶は、周囲を引きずり込みながら、破滅へと雪崩れ込む。

    結末では、主要登場人物のほぼすべてが死んでしまうという一大悲劇である。
    ハムレットの人物像に関しては、古来、議論があるようだが、読み返してみても、すっとは呑み込めない「わかりにくさ」がある。
    叔父が父を本当に殺したのであれば、さっさと皆に疑いを明らかにして、裁きの場に引きずり出せばよいではないか。気狂いの真似をするのが有効な手段とはあまり思えない。
    「生きるべきか、死ぬべきか」とも訳された"To be or not to be."の"be"は何を指しているのか。
    ハムレットの逡巡は、確かな証拠がないことによるのか。叔父の自白を待っているのか。
    八つ当たりのようにかつての恋人オフィーリアに冷たく当たり、彼女の父を(過失とはいえ)殺してしまってもあまり後悔の色もない。
    とはいえ、父王を殺され、母が邪悪な男の手に落ち、恋人も失い、ついには絶望のうちに自らの命も失うのだから、悲劇の中心人物であることには違いはない。

    この話、周囲の人々もそれぞれに悲劇を抱える。
    兄の死後、王位に就いたクローディアス。
    自ら兄殺しに触れるのは、中盤を過ぎたあたりの傍白部分が初めてである。前半だけだと、気難しいうえ、おかしな想念に取り憑かれた義理の息子を扱いかねているようにも見える。
    一応、前王殺しの犯人ではあろうけれども、何だかこの人も謎が多い。美しい兄嫁が好きだったのならば、なぜもっと早く手を下さなかったのか(それこそハムレットが生まれる前に!)、面倒くさい義理の息子を早いうちに片付けなかったのか、いろいろすっきりしない。穿った解釈をすれば、「兄殺し」は、例えば兄が倒れていたのを見つけたのに適切に助けなかったといったような消極的な意味と受け取れなくもない。そうなると、亡霊の告発を聞いているのはハムレットだけなので、すべては難しい年頃の青年の妄想だったという可能性もなくはない。クローディアスは最終的には汚い手でハムレットを陥れるわけだし、さすがにそれはないかとは思うのだが。
    となると、息子を愛する王妃を慮るばかりに、冷酷非情に徹しきれなかったところが、この人の「悲劇」といったところか。
    極悪非道というよりは、小人物の趣である。

    王妃ガートルード。
    前王を愛していたとはいうが、死を悼む涙も乾かぬうちに、弟と結婚する。
    この人が兄王、弟王をそれぞれどう思っていたのかもすっきりしない。王が突然死に、外国との間も平穏無事というわけではない。そうであれば、年若い王子よりも、それなりに分別のある年頃の王弟を王に迎え、王国の安泰を図るのも1つの手だろう。弟王が狡猾で邪悪だと知っていたのならともかく、そうではないとすると、「事件」の様相はがらりと変わる。息子が再婚相手を嫌い、わけのわからぬ因縁をつけてくる。気がおかしくなってしまったと悲嘆にくれても無理はない。

    恋人オフィーリア。
    この人こそ、罪科がないのに巻き込まれてしまった悲劇の人だろう。
    前王殺しにもまったく関係がなく、邪淫に堕ちたわけでもない。ハムレットが何に悩んでいるかも明かしてもらえぬまま、一方的に冷たい言葉を浴びせられ、父親も殺されてしまう。ショックのあまり、本当に気が触れ、最後は命を落としてしまう。気が触れてからのオフィーリアが発する、辻褄は合わないながらも断片的に鋭い洞察を秘めた台詞は味わい深い。
    ジョン・エヴァレット・ミレーも描いた、悲しい美しいオフィーリア。
    「尼寺に行け!」と言われたときに、本当に尼寺に行ってしまえばよかったのに、と思わぬでもない。神はハムレットのようにひどい仕打ちはしなかったろう。

    その他、ハムレットの忠実な友人であるが、ともに死ぬことを許されず、語り部となることを強いられたホレイショー、阿諛追従の徒ではあるが、悪意のないポローニアス(オフィーリアの父)など、いずれも幸せにはならない登場人物たちも、鮮やかに描き出される。

    シェイクスピア作品は、概して、堅牢にがっちり作られているというより、どこかいびつであったり、「隙間」が残っているような印象も受ける。
    ただそれはすべてシェイクスピアが意図したというよりも、成立の事情も絡んでいそうだ。ハムレットには、Q1、F1、Q2(Qは四折本、Fは二折本の意)という3つの版が知られており、各版間で、台詞の有無、場面の移動・カットなどがある。一般的には、F1版を元本とすることが多い(本書も含む)。*光文社古典新訳版はQ1を元にしているので、読み比べるのもおもしろいかもしれない。
    どれがオリジナルに近いかは議論があるようだ。戯曲というものの性質上、演出者や出演者の判断で元の脚本に手を加えられることもあったろう。
    いずれにしても、さまざまなエピソードに「穴」や「引っかかり」があることで、読み手・観客の想像をかき立て、物語の中に引き入れ、何度鑑賞しても飽きさせない、そんなマジックが効いているようにも思う。

    恐るべし、シェイクスピア・ラビリンス。

    • ぽんきちさん
      淳水堂さん

      コメントありがとうございます。

      そ、そうか、優柔不断(^^;)。理由はそれかよっ!とハムレットの胸ぐらを掴みたくなり...
      淳水堂さん

      コメントありがとうございます。

      そ、そうか、優柔不断(^^;)。理由はそれかよっ!とハムレットの胸ぐらを掴みたくなりますねw
      王妃様が無邪気、というのもなるほど、最強の理由かもw

      いろんな解釈が出来るのがおもしろいところなんでしょうね。オリビエ版もギブソン版も機会があったら見てみたいです。

      個人的にはぜーんぶハムレットの妄想だったバージョンも、それなりにおもしろそう&見てみたい気がしますw
      2016/10/03
    • 淳水堂さん
      >ぜーんぶハムレットの妄想だった
      そう考えるとすっきりするところが困ったところ(笑)

      ・ハムレット王子は推定30歳(23年前に死んだ...
      >ぜーんぶハムレットの妄想だった
      そう考えるとすっきりするところが困ったところ(笑)

      ・ハムレット王子は推定30歳(23年前に死んだ道化の事をはっきり覚えているぞ発言、職歴を聞かれた墓堀人が「ハムレット王子が生まれた30年前から」と答えていること)。
      とっくに成人してるんだから父王が死ねば王位継承したっていいはず。
      それをわざわざ王の弟が継いだのはハムレット王子になにか問題が?

      ・ボローニアスはハムレット王子から見れば老獪で悪党の手先だけれど、よくよく読んでみれば国と家族思いの忠臣。
      息子と娘への助言「金の貸し借りはするな。友情を壊す」「服装は立派に。でもけばけばしいのはダメ」「ハムレット様は王子、おまえ(オフィーリア)は臣下なんだから近づきすぎるな」。うん納得。クローディアスが悪人と知らなければハムレット王子の方ががおかしいと思うだろうなあ。

      ・ハムレット演出の劇をみて動揺するボローニアスをみて、ハムレットは「やっぱり叔父が父を殺したんだ!」と確信するんだけど、
      あれって観客から見れば「甥(ハムレット)が叔父(クローディアス)を殺すという強迫」にしか見えないんじゃないの?そりゃーガートルードやボローニアスがハムレットを危険人物扱いするよ。

      そういえば、志賀直哉の短編『クローディアスの日記』が、クローディアス目線で「義理の息子になった甥が自分を狙ってる!こいつヤバい!」という内容らしいですよ。読んだことないけど。

      まあ妄想でなくクローディアスが本当に王位を簒奪した状況を推測するとしたら、
      ハムレット王が死ねば普通はハムレット王子が王位継承するところを王子が海外留学中(ハムレットが「ここにいても日陰者だからナントカ大学に戻りたい」とか言ってる)にクローディアスが兄を殺害。
      デンマークは内乱外圧の危機も多いので、「経験のないハムレット王子よりこの私を王に!」とアピール、さらに兄の妃を娶ることにより自分の王位継承の正当性をアピール…と言うところでしょうかね。

      映画版ではメル・ギブソンのハムレットが男の葛藤というかんじでなかなかすっきりしたので機会がありましたら是非!(^^)! 
      2016/10/03
    • ぽんきちさん
      淳水堂さん

      ぶっw まさかのハムレットやばい順当説w
      ちょっとマザコンぽいというか、こじらせちゃった感がありますよね(^^;)。
      ...
      淳水堂さん

      ぶっw まさかのハムレットやばい順当説w
      ちょっとマザコンぽいというか、こじらせちゃった感がありますよね(^^;)。
      「クローディアスの日記」、リストに入れておこうと思いますw

      でもまぁ、叔父もやっぱ善人ではなさそうで・・・。

      メル・ギブソン版、見てみたいです。
      いずれにしても役者もやりがいがありそうな役ですよね。
      2016/10/03
  • 2016/06読了。先日読んだマクベスに続いて挑戦。マクベスに比べると長いが、ストーリーに起伏があって面白く読めた。しかし、最後には主要な登場人物ほとんど死んでしまうし、あまりにあっけなく殺したり殺されたり。。。一番あわれなのはやはりオフィーリア。オフィーリアだけでも幸せになればよかったのに。

  • シェイクスピアで最も有名な戯曲。学生時代に読んで以来、久し振りに読み返してみた。
    ハムレットのストーリーはよく知られていて、映画やオペラにもなっており、この戯曲について書かれた本も多い。初めて読んだ時は新鮮で面白かったが、改めて読んでみると話の展開にスピード感がなくて、イライラするような独白や会話が延々と続く感じがした。おそらくストーリーが判っているので、そう感じたのかもしれない。ハムレットは優柔不断で悩み多き王子で、様々な言葉でその時の気持ちを表現する。それが多くの箴言となり、欧米人がよく引用する。最も知られた”To be, or not to be, that is the question."という独白の言葉だが、これは学生の頃、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と習った記憶がある。小田島訳では、「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」となっている。確かに文脈から読むと、そのほうが自然でわかりやすいと思う。ちなみに以前読んだ彼のエッセイに、この一文の過去の翻訳が記載されていた。過去に遡ると、
    昭和46年 木下順二訳「生き続ける、生き続けない、それが難しいところだ」
    昭和43年 小津次郎訳「やる、やらぬ、それが問題だ」
    昭和35年 三神勲訳 「生きる、死ぬ、それが問題だ」
    昭和24年 市川三喜訳「生きるか、死ぬか、そこが問題なのだ」
    昭和10年 坪内逍遥訳「世に在る、世に在らぬ、それが疑問じゃ」
    明治27年 岩野泡鳴訳「死のか、死のまいか、一思案」
    明治7年  イエロー・ヨコハマ・パンチ 「アリマス、アリマセン、アレハナンデスカ」
    ハムレットの言葉は易しいが、訳すのが難しい。翻訳家の先人達の苦労が偲ばれる。ハムレットを読むと、少し自分が賢くなったような気がする。(気のせい?)

  • 定番。

  • これはすごい。

  • シェイクスピアの4大悲劇の一つであり、多数の名台詞があるとされる『ハムレット』。戯曲ということもあり、非常にすらすらと読めますが、その真意はなかなか掴みづらい印象を受けました。
    ハムレットの復讐は最終場面において成就しますが、それ以前にも殺せる機会があったにも関わらず、何故ずるずると自らの死を迎えるまで実行しなかったのでしょうか。「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。」というように、ハムレットの心には不決断が渦巻いていて殆どの行動は極めて中途半端に終わっているように思えます。また、母である王妃に対する姿勢も曖昧模糊としており、ハムレットの本心が謎というベールに包まれていると感じました。
    だからこそ、ハムレットやその他登場人物の心情を理解したくなるし、理解出来れば人間とは何かというテーゼの答えを知ることができるという点で評価が高く、是非実際に劇を見てみたい作品です。

  • 今まで読んできたシェイクスピア作品で一番人間臭さがあった作品のように感じた。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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