ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス 51)

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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070512

感想・レビュー・書評

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  •  高校生の時に一度読んだが,共感もできなければ面白いとも思えず,何が良いのかサッパリわからいまま読み終わったという記憶だけが残っていた。だが『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『BANANA FISH』など本書からの引用や影響が見られるサブカル作品も多く,読み直してみることにした。少なくとも,高校生の時よりは理解できたし面白いとも思えた。高校生の時の私は経験値が低すぎてこの本に出てくる様々な単語が理解できずつまらなかったのだと思った。まずロバート・バーンズというスコットランドの詩人のことを知らなかったし,お酒を飲んだことがなかったのでハイボールだの1パイントのスコッチだの言われても何のことかわからなかった。ファッションの知識もなかったので,ハンチングとかモカシンと言われても理解できなかったのだと思う。
     1950年代にニューヨークに住む16歳の少年が,背伸びをして大人を装いながらも,豊かな感性によって大人の世界や社会の欺瞞を見つけすぎて苦しむ物語。内容については語り尽くされているであろう本書だと思う。

  • 当たり前のことに疑問もっていく。(僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた、という訳はこちらではないので注意)

    自分が知ったのはTVシリーズの攻殻機動隊から。
    「僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた」
    という言葉がどこでどんな風にでるのか気になって読み始めたが、それは村上春樹が翻訳したものだそうで、こちらでは、
    「僕は唖(おし)でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ」
    となっている。

    本作は主人公であるホールデンが読み手であるきみに対して、自身の17歳の頃の話をする物語。
    その昔話を通じて社会への不満をつづっていく。

    主人公は社会への不満や嘘、当たり前になっている語彙(相手に祈りもしないのに祈っているということ、など)に対して疑問を投げかけるが、それに対して反対することはしない、ただそう思うだけである。そういう性分が上記の最後に言った言葉に現れている。

    この本を読んで最初に思ったことは、これは外国版「坊っちゃん」なのかな?だった。

    解説にも
    ___日本ではさしずめ漱石の「坊っちゃん」あたりに最も卑近な同類を見ることができる
    とあり、自分が感じたものは間違ってはいなかったのだなと思った。

    「坊っちゃん」と異なる点は坊っちゃんはちゃんと行動していたのに対し、こちらはしていないということだろう。

  • 3月頭から読み始めた、詰り丸半月かかった事になる。
    地の語り文が読みづらくて堪らなかった。そのせいで一度半ばで読むのを止めた事もある。今回は意地でどうにか読み切ったけれども、読むペースに乗れた(ある程度本を読み進めると、歯車がはまった様な感覚が訪れる。それを越えるとどんどん読み進める事が出来る)のは最後の50ページくらいからか、ホールデンがファービーを訪ねる場面くらいからだ。本当に疲れた。

    ホールデンが言う事に共感をしつつも、実際に彼に会えば、彼の言う事に聞く耳は持たずだろう。人を小馬鹿にした様な態度、子供っぽい態度で幾らもっともな事を言われても、フィルターで弾いてしまうだろう。

    後なんだろう、世の醜い所ばかりを抽出されるのは辛い。世界が嫌で仕方ないとばかり言われると、こっちも嫌な気持ちになってくる。僕も人や社会の欠点ばかり見つけるのが上手いというか、ケチをつけてるというか、なんか逆らいたくなっちゃう節があって、この本を読んでいるとそんな自分が透けて見えてきて、自己嫌悪した。

    「この世界が大変なのは皆分かっているから黙っててくれ!人の夢心地をいちいち壊すのを止めてくれ!やな趣味じゃないか!」
    「けれども本質を見つめる、問題を考える態度は必要だと思わんかね?」
    「程度の問題さ。お宅は度が過ぎるんだ。」 

  • 2020年 24冊目
    『ライ麦畑でつかまえて』
    ハセベ先生おすすめ
    正直読み終えた時は反抗期少年の何の盛り上がりもないただの放浪記に思えてネットで解説読み漁ってやっと意味を理解、

    でも大人の世界に対する違和感や反撥心はすごい共感できたな。うざったい語り口調も気付けばハマってた

  • 青春だとか思春期だとか、そういった要素が凝縮された世界屈指の名作。何に対しても厭世的な考えを抱く主人公の行動や心情はなかなか新鮮であり、非常に印象深い。大袈裟なデジタル表現には度々笑わされた。ルームメイトとの確執。女性への不器用な接し方。恩師の救済と浮かび上がる疑惑。学校を飛び出し我が道を行こうとする過程であらゆる経験を味わい、一つの答えを導き出す。多感な高校生が紡ぎ出すコミカルでスタイリッシュな物語の全貌を了解し、名作たる所以を噛み締めた。村上春樹の訳も読んでみたい。

  • 世界中で読まれ続ける不朽の名作。ストーリーにはあまり惹かれず残念だったが、機会があれば村上春樹訳の方も読んでみたい。

  • 若者のバイブル

  • 「20歳になる前までに読んでおいた方がいい」と何度も言われたが、数年経ってようやく読めた。

    未熟な人間の特徴は理想の為に高貴な死を選ぼうとする。成熟した人間の特徴は理想の為に卑小な生を選ぼうとする点にある。(抜粋)

    主人公は幼く優しすぎたんだと思う。

  • アメリカ文学、児童文学

  • 本当に久しぶりに洋書を読みました。
    読むに至ったきっかけは
    わたしの尊敬する人の愛読書だというからです。

    きっとそうじゃなかったら
    洋書独特のわたしにはくどい描写を苦手と感じ、
    読み進められなかったかもしれません。
    しかし自分の好きな人の好きな本、となると
    どんな本でも没入して読めるものですね。
    ラストははそれも相まって不覚にも泣きました。
    (恐らく激レア)




    この本はアメリカでは
    「有害図書」
    とされていたというじゃないですか。

    確かに、反抗期真っ盛りの、“青い”若者には
    少し影響を与え過ぎるかもしれませんね。

    例にこの本を愛読する知人は
    コールフィールドからもろ影響を受けたな、という
    思想と言動をするひとでした。



    コールフィールドのような
    「ひねくれ者」
    ともいえる思想が肯定され、
    また、人々に広まることは、
    世界破滅にもなりかねないかもしれません。


    しかし、このような世間への違和感や疑心感は
    この星の革新や発展には少しばかしであれば、
    不可欠でないかなと思います。



    というか、若者は誰しもこの考えになる機会は
    絶対にある!!!
    若いって憎く醜くやるせないもの。

    それがこんなに露骨に人に浮き出て、
    描かれているこの本と彼が好き。

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