クローヴィス物語 (白水Uブックス)

著者 :
  • 白水社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071991

作品紹介・あらすじ

皮肉屋で悪戯好きの青年クローヴィスが引き起こす騒動の数々。辛辣なユーモアと意外性に満ちた“短篇の名手”サキの代表的作品集を初の完訳。エドワード・ゴーリーの挿絵を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 鴎外の「文語体が読めない」ってことで妻にこれを渡したんだけれど、すぐに「これも読めない!」って返ってきて、じゃあ富山旅行中(もう1週間たったの?)に読んじゃおうと思ったものの、たしかに読みにくくて返却日までかかっちゃった。

    アマゾンのレビューにも読みにくいってあるし、なかには「これほど頭に入ってこない小説って初めて」って人もいたり。なんだろ? ぜんぜん読めない文章とかじゃないんです。すらすら読めるんだけれど、なんとまぁ不思議なことに、途中から今日の夜ご飯はなにをつくろうだとか、映画は何を見ようだとか、まったく関係のないことを考えちゃう。

    で、で、アレ? ってなって、もういちど最初から読み返すと、素晴らしく面白い! 上流階級に暮らす連中の滑稽譚というか風刺物だもん面白いに決まっている。まぁたぶん翻訳の問題なのでしょうね。

    ヒントになるかわからないけれど、庵野さんの『シン・仮面ライダー』の製作ドキュメンタリーを昨日みたところ、「型」にこだわる専門家さんの殺陣のありように腹を立てる庵野さんがいて、大事なのは「殺す気持ちだ!」って無茶苦茶なことを言ってたんだけれど、この翻訳にもソレがないんじゃないかな? その一端をば。

    《「抱えあげてやるから」グロービーがそう持ちかけた。「手をのばして服を取りなさい」承知した少年の腰をがっちりつかみ、さも抱えあげてやるふりで地面から足を浮かせた。それから器用に弾みをつけてイラクサの大きな藪にどさりと投げ入れ、全身を痛痒いイラクサまみれにした。ひどい目に遭わされた方は、感情を抑えるたしなみをしつける学校に通うような生まれ育ちではないので_野生の狐に急所を噛まれでもしたら、すぐさま手近な狩猟委員会へ苦情に駆け込むタイプだ。だからこの場合、痛みと怒りと驚きに任せてとんでもない大声をあげ、気がすむまでわめき続けた。が、その声にもましてはっきり聞こえたのは、樹上の憎たらしい猿が勝ち誇ってはしゃぐ声と、けたけた高笑いするグロービーの声だった》

    他の訳者さんの借りてきます。

  • 一回は皮肉を言わないと気が済まないのか?と思うような会話文だけでも読んでほしい。絶対仲良くないだろうなという妙な気まずさがリアル。
    『運命の猟犬』1番好き。結局何だったのか明かされないのが奇妙な味のいいところ。

  • 常々道端で咲いてる花は大好きだが、花屋で並んでるの花は魅力を感じてこなかったが、理由がわかったぞ。この人新聞記者だったらしいが、新聞にこの短編の1つが紛れてると、それはそれは貴重に輝いて見えるが。こうやって自選短編集です、はいどうぞお!って出されるとお、おう。となるな。この短編集1つ1つ非常に短く、もうちょっと肉付けしたり膨らませたりして欲しい。めまぐるしいので、じっくり毒素を味わいたい。

  • 文学

  • いわゆる奇妙な味と言われている作品です。
    ゴーリーの挿絵が良いですね。
    面白かったのですが、もうちょっと読後にモヤモヤする感じがほしかったです。
    クローヴィスは気に入りました。

  • 帯文:”奇妙な味と残酷なユーモア 人語を話す猫、イタチの神様、運命の猟犬 ’短篇の名手’の代表作を初の完訳”

    目次:エズメ、月下氷人、トバモリー、ミセス・パクルタイドの虎、バスタブル夫人の逃げ足、名画の背景、ハーマン短気王――大涕泣の時代、不静養、アーリントン・ストリンガムの警句、スレドニ・ヴァシュタール、エイドリアン…他

  • ブラックユーモア満載の短編集
    主人公のクローヴィスがあまり出てこないですが
    出てくる作品のほうが好みでした
    彼のトークは軽妙で近くにいたら困る人物
    遠くから見ていたい人だなぁ

  • サキにゴーリーの挿絵、、、カナリ濃そう。

    白水社
    http://www.hakusuisha.co.jp/book/b205645.html

  • “決して見よいもんじゃないけど、人生のあらゆる面を観察したければ見ておくべきだよ。見まいとして顔をそむけたくらいじゃ、俗世の不快が減るわけないんだし。”

  • 再読したらもう一度書き直したいです。
    新潮文庫の「サキ傑作集」に衝撃を受けてからサキ関連の本を読んでいたのでこの本も楽しみにしていました。しかし、読んでみるとさっぱり頭に入ってこないのでこれまた衝撃を受けることになりました。

    アマゾンやツイッターでも高く評価されているのをみかける本なので書きづらいのですが、文章がまったく頭に入ってこなかった、というのが正直な感想です。原文に忠実に翻訳されているのか、一文が非常に長かったり、語り手がどの人物に目線を向けているのかが分かりません。

    もしかしたら、これがサキの筆致なのでしょうか? 

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著者プロフィール

Saki.
1870 - 1916.
作家・ジャーナリスト。
本名はヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)。
インド帝国警察に勤務したのち、ジャーナリストとして活躍。
そのかたわら数多くの短篇小説を執筆し、
短篇の名手と称される。第一次世界大戦時に軍に志願し、
フランスにおいて絶命。
近年の邦訳に
『サキの思い出 評伝と短篇』
(エセル・M・マンロー、ロセイ・レイノルズ、サキ 著、
花輪涼子 訳、彩流社、2017年)、
『四角い卵  白水Uブックス』(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『平和の玩具  白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『けだものと超けだもの 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2016年)、
『クローヴィス物語 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2015年)、
『ウィリアムが来た時』(深町悟訳、国書刊行会、2019年6月)、
『サキ短編 『スキャンダルの行方』 Kindle』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services International,
Inc.、2019年)、
『サキ短編 『ビザンチン風オムレツ』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)、
『サキ短編 『ラプロシュカの魂』『困った雄牛』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)ほか。



「2019年 『鼻持ちならぬバシントン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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