- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569763156
作品紹介・あらすじ
伝染病により「唇を合わせること」が禁じられた世界。先輩の死はその病ゆえなのか。少女が辿り着いた甘く残酷な真相を描くミステリー。
感想・レビュー・書評
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ちょうど、コロナで人との接触禁止…みたいな環境下で読んでいて、なかなか入り込みやすく一気に読んだ作品
愛情表現のなかで、確かに「キス」は様々な要因を含んでいて、禁止されるとなんとなく歪な世の中になるようなそんな気がしながら、コロナの現在とリンクさせながら読んだ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キスが国際的に違法とされ禁止されている世界。友情でも愛情でもキスで表現することがない、そんな世界って全く想像できない。親愛の情をキスなしで表すなんて…
でも生まれた時から「キス」が存在しないなら、それはそれでどうってことないのかもしれないなぁ、などと。
けれどその、キスが致死率100%のとある病気をもたらす原因になるところからこの物語の悲劇は始まる。
恋愛が手軽になったように思える今の日本と比べ、「愛」と「死」が隣り合わせな中での彼女たちの「生」がいっそう哀しい。文字通り命を懸けて誰かを愛する。彼女たちの精一杯の「生」からは悲劇しか生まれないのだろうか。 -
キスが禁じられた世界。憧れの先輩はなぜ死んだのか。
読んだ後にもう一度タイトルを見ると、なるほどと思う。
あとがきに共感した。
著者紹介、「鮎川哲也貨」になってるけど、大丈夫? -
恐ろしくてロマンチックで、初読の余韻は凄まじかった。たまたま駅前の本屋で出会った一冊が、生涯手元に置いておきたい一冊になった。
キスで感染して致死率100%の病。だけどだからって、それが禁じられた世界なんて狂おしいほど切なく甘美さを失うだろうな。 -
特異な疾病といくつかの社会的・技術的変化により、変容した社会を舞台とする、ある意味、まっとうな近未来SF。けれども作者の関心は変容した社会ではなく、そうなっても変わらない人の内面を描くことにあって、ここはまったくSF的ではない。迂生はSF好きだから、無い物ねだりは分かっているが、その辺が少し物足りないとも思う。ソムノスフォビアによってモラルが先祖返りをしてしまった故に、「清楚な」女学生たちがくらす全寮制学校というと、昔日の少女小説を思わせて、ニヤついてしまうが、共学なんだよなあ。近藤氏は基本異性愛にしか興味のない人なんだなと、改めて思う。
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キスすることでしか感染しない謎の伝染病。この病には大きな特徴がある。一つは感染したら致死率は100%ということ、そしてもう一つは元々キャリアの人は発症しないことである。しかし、現在の医療では自分がキャリアかどうかは判断できない。
ある全寮制の学園で一人の少女がこの病を発症して死んだ。なぜ彼女は死んでしまったのか、彼女を死に至らしめたのは誰なのか。真相を追っていくとそこには思いもよらない真実が待ち構えていた。
自分がキャリアかもしれないという恐怖、誰かがかかると突然起こる犯人捜し、疑心暗鬼の渦、まるで現在のコロナ禍を彷彿とさせる展開である。 -
唇にキスをすることのみで感染する病のせいで、キスが禁忌となっている世界の話。全体的に暗く、最後も残酷な終わり方だったけど、書き下ろしの短編が未来への希望を感じられるものでよかった。あとがきに作者や本の発行に携わった方の想いを感じられて感動した。
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あとがきが最高にいい。
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キスをすると伝染病にうつる可能性がある、謎の世界。それでも人は愛があるのでやめられない。読んでいくうちに愛の尊さを知ることができる。スラスラと読めました。