翼がなくても

著者 :
  • 双葉社
3.54
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本棚登録 : 754
感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240146

感想・レビュー・書評

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  • 犬養隼人刑事と御子柴礼司弁護士が出てきて、この二人が対決する部分がありなかなか面白い。御子柴が主人公の沙良の競技会を見に行くのがあって、ちょっぴり彼の内面を垣間見せてくれるのが嬉しい。が、ミステリーの部分は付け足しで、片足を失ったアスリートの沙良が立ち上がり、パラリンピックを目指して奮闘していく姿がメインだ。いつもながら思うが、テーマの事項についてよく調べていて、それを迫真の描写につくり上げていく技量が凄い。

    • shukawabestさん
      今、読み終えました。ムチャクチャおもしろかったです。goya626さんの本棚と感想、見ていてラッキーでした。ありがとうございました。引き続き...
      今、読み終えました。ムチャクチャおもしろかったです。goya626さんの本棚と感想、見ていてラッキーでした。ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。
      2021/12/25
    • goya626さん
      shukawabestさん
      頑張ってレビューを書きます。
      shukawabestさん
      頑張ってレビューを書きます。
      2021/12/25
  • 御子柴弁護士 VS 犬飼刑事
    御子柴弁護士と言えば、やはり、贖罪がテーマとなる。

    陸上200m走で、五輪を目指す、市ノ瀬沙良は、隣家に住む、幼馴染の、相楽泰輔が起こした、自動車事故に巻き込まれ、左足を失った。

    泰輔は、当時、無免許運転で、危険運転致死傷罪には問えない。単なる、人身事故扱いとなるであろう。
    しかも、有能な弁護士を雇うと言う。
    おそらく、さほどの罰も与えられず、まともな賠償金も払おうとしないだろう。
    理不尽さに、やりきれない沙良。

    そんなある日、泰輔が、自室で胸を刺されて、殺害された。

    犬飼刑事は、当然、隣家の市ノ瀬家族を疑う。

    その頃、沙良が義足を注文したと言う情報が入る。
    裕福な家庭でもなく、高額な代金が支払える訳がない。
    捜査を続けるうちに、相楽泰輔の弁護士が、あの悪名高い、御子柴弁護士とわかり、しかも、泰輔の生命保険金の管理も、御子柴がしているとの情報を掴む。

    最後の泰輔から、沙良への手紙で、無謀と言える沙良の挑戦の意味が、わかった。

    ここにも、贖罪があった。

  • 陸上200メートルで実業団に所属する沙良さん。
    引きこもりになった隣家の幼馴染、泰輔が運転する車にはねられ片脚を失う大怪我をしてしまう。
    しかも無免許運転で危険運転致死傷罪が適用されず、和解交渉も弁護士任せでキチンとした対応がされない。
    そして泰輔は殺害され...
    そんな中、ブレードランナーのニュースを見た沙良さんは自分ももう一度アスリートとしての道を模索していきます。
    もの凄いアピールと努力でなんとか道を切り開いていきます。
    走ってる時の描写とかスゴくて惹き込まれました。
    (*≧∀≦*)
    これ以上速く走れるの⁉︎
    パラリンピック選考対象競技会ではドキドキです!

    高価な競技用義足のお金は一体どこから⁉︎
    泰輔を殺した犯人は⁉︎
    捜査にはなんと犬養刑事が‼︎
    泰輔の弁護士は御子柴先生⁉︎

    どちらかと言うと7:3でスポーツメインですが、とても面白かったです。

  • 将来が有望だったはずの女性アスリートの突然の不幸。
    片足を失った境遇に負けず、再び障がい者アスリートの道へと進む。
    その奥で起こった殺人事件との繋がり。
    ミステリーというよりはドキュメンタリーといった要素が強かったかな。
    真相は帯の内容で想像通りで驚きは薄かったですが。
    障がい者アスリートとして頂点を目指すための様々な現実的な問題、困難が知れました。
    意外なキーパーソンとして登場の御子柴弁護士。
    犬養や明日香も出てくるけど今回引き立て役で終わったかな。

  • 陸上200m走でオリンピックを狙うアスリート・市ノ瀬沙良を悲劇が襲った。
    交通事故に巻き込まれ、左足の膝下を切断。
    しかも加害者である相楽泰輔は隣家の幼馴染だった。
    アスリート声明を絶たれた沙良は、憎悪とやりきれなさでもがき苦しむ。
    ところが、泰輔は何者かに殺害された―――。

    御子柴弁護士×犬養刑事…二人の共演できゃ~ってくらい嬉しかった♪
    んー犯人も、支払われた5千万円の生命保険の使い道もすぐにわかっちゃって…。
    ミステリーとしては残念でした(´⌒`。)
    どんでん返しも無かった~(笑)
    二人も余り登場しないし、活躍しなかったなぁ。

    ただ、沙良が一度は選手生命を絶たれながらも、義足のランナーとして
    パラリンピックを目指す過程は、凄く沙良を応援してたし、
    障害者スポーツの現状や実状を如実に語ってた。
    最近でこそ、パラリンピックも少し注目されてきていますが、
    やはり注目度はとっても低く…選手を育てる過程等何とかならないのかって痛感しました。

    日本と言う国は、障害者にマイナスのイメージしか持たない。
    社会的弱者・保護してやらなければならない立場の人間だと思っている。
    四肢が不自由でも、とんでもない才能を持った人は沢山いる。
    そういう人たちが、表面的な欠損だけで社会的弱者にカテゴライズされるのは…。
    四肢を失った人も眼鏡を使用する感覚で日常生活を謳歌出来る様になると良いなぁ。

    パンドラの箱の最後に残ったのは希望だが、希望こそが最悪の厄災かもしれない…。
    とても印象的な言葉でした~(*T^T)

  • コロナ積読本消化月間継続中。御子柴弁護士がこんなところに出てくるなんてだったが、今回は主役ではなく脇役である犬養刑事にしてもそうであり、あくまでも身障者スポーツにかける沙良の物語である。泰輔は自殺であろうという心証は当初からあったが、そのトリックにはかなり苦心した感がある。読後感は素晴らしく、著者のデビュー当時の「さよならドビュッシー」のような感動がある、こうなるといよいよ岬対御子柴の対決が見たいが、多作家であるのでもう出てるのかしら。最近の月一連作中は設定にやや無理があるのである程度余裕をもって創作してもらいたいものだ。

  • 知らずに読んでみたら、まさかの犬養刑事×御子柴弁護士という嬉しい組み合わせ。
    事件の真相は途中で読めるけれど、犬養さんと御子柴弁護士の対決は面白かった。嘘を見抜く(男性に限る)天才・犬養刑事も、御子柴弁護士には一歩及ばず、御子柴弁護士に軍配が上がった感じ。

    障害者への差別や偏見だけでなく、無免許だと危険運転に問えない法律の不条理さも訴える。数年前の亀岡での事故を受けてなんだろうけど、最近中山作品はこういう社会問題を色々盛りこんでくるようになった。

    スポーツは根性論ではなく科学。
    本の中で何度か出てきた表現だけど、コンマ何秒のタイムを縮めるために、あらゆるデータを分析し、管理、調整していく様子は、本当にその通りだと実感する。
    それでも、沙良のどこまでもひたむきで限界まで自分の身体を追い詰める姿は、スポーツに無縁の人間としては十分スポ根に見えてしまうのだけれど…。

  • 障害者スポーツの世界がリアリティ豊かに描かれている。
    勝つためには莫大なお金と科学的なサポートが必要不可欠。パラリンピックは、もはや参加することに意義がある大会ではないことが分かる。

    御子柴弁護士と犬養刑事は、著者の他の作品に登場するキャラクターだったんですね。
    ビギナーの私は、読後、皆さまのレビューを読んで知りました。

    ストーリーは一気読み。
    中山作品は文章が読みやすく引き込まれます。

    次は御子柴弁護士が登場する作品を読んでみたい。

  • 陸上短距離200メートルでオリンピックを目指す沙良は、通勤中に隣に住む幼馴染の居眠り運転の車が暴走、片脚を切断することになってしまう。
    その2ヶ月後、殺人事件が起こる。被害者は居眠り運転で人身時間を起こした幼馴染だった。流れで沙良に疑いがかかり、、、

    片脚になったランナーが再起奮闘するまでを読んでいると、ちょうどオリンピックを見終わったばかりということもあり、苛酷な環境と本人の苦悩の描写に引き込まれます。刑事が来て、ああそうだった被疑者だったと思い出すくらい。

    お馴染みの御子柴弁護士、犬飼刑事、御厨検視官、勢揃いでした。
    御子柴弁護士でなければ、この結末はなかったことでしょう。

  • オリンピックを目指していた主人公が、事故で左足を切断。目標を失った彼女が、見つけた新たな生き方とは。
    さわやかなスポーツ小説。障害者スポーツを目にする機会も増え、競技用義足もイメージしやすい。沙良のがんばりは応援したくなるし、競技のシーンは読みごたえがある。
    最後はジーンときて、読後感もさわやか。
    御子柴礼司や犬養&高千穂刑事は登場するものの、脇役といった感じ。ミステリ要素は薄めで、ミステリメインで期待していると、ちょっと違うかも。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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