誰かが足りない (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575517170

感想・レビュー・書評

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  • 思っていたよりもずっと重たくてしんどい話だった。曇った朝に読み始めて気持ちがすこし重くなり、だけど帰宅と同時にちょうど読み終えるころには「読んで良かったな」と思ってた。

    レストランに収束していく物語なのに、そのレストラン自体の描写がとても少ないのがちょっと寂しい。

  • 6編収録の連作短編集。「ハライ」という評判のレストランをキーワードにして、タイトル通り足りない「誰か」を巡る物語。別れた恋人、亡き夫、近くて遠い幼馴染、もういない母、いつもの彼女、あの時の従妹。彼らが一歩踏み出す先にあるレストラン、という落とし方がとても素敵で、それぞれにテイストが違うのも味わい深いコースメニューのよう。そして、彼らが予約した10月31日に起きることは・・・えっ、続きが足りない!!(お後がよろしいようで)。

  • 「誰かが足りない。
    そう思えるのは、もしかしたらしあわせなことではないだろうか。足りない誰かを待つことができるから。満たされる日を夢見ることができるのだから。」(184 ページ)

    誰かの、足りなかった誰かが現れるのを今か今かと待つ『ハライ』という名のレストラン。

    足りない誰かを想いに抱えながらも、前を見つめる。
    ハライを訪れるそんな 6 組の客の物語り。

  • 心にすき間を抱えている人たち、
    喪失感や満たされない心を持つ人たちの話。

    短い短編集なのだけど、
    どのお話も丁寧に、味わうように
    読んでしまう作りになっているので
    読んで満たされた気持ちになる。

    少し前向きになる、
    暖かい気持ちになる良さがある。

  • 面白かった。すぐ読めます。

  • ハライでは何が食べられるんだろう。具体的に出てきた料理名はコンソメスープとコーンポタージュだけだったような。レストラン勤務の彼が言ったオムレツはあるのか、お祖母ちゃんの得意料理のサルティンボッカはあるのかと自分も行ってみたい気分になる話でした。
    思えば現実に『一度は行ってみたい』や『もう一度行きたい』と思えるお店が私にはない。一緒に食事を楽しみたい人(家族です)はいるけれど、強く想えるお店が存在しない気がする。
    でも食事をして楽しい思い出はたくさんある。その雰囲気をもう一度味わいたい気持ちが私の『ハライ』なのかな?まだ小学生の息子に楽しい思い出を残したい想いが私の『ハライ』なんだろう。
    文中にハライの意味が書いてあったような・・・なんだっけ?

  • 宮下奈都 著「誰かが足りない」、2014.10発行(文庫)。「ハライ」というレストランを予約する6組の予約客の話。予約に至るまでの二人の物語。凝った構成とは思いますが、宮下奈都さんの作品にしては、今一つ、心のときめきがなかったです。3組目の予約の物語、笠原久美(クミちゃん)と楠木義晴(ヨッちゃん)の話が面白かったです。

  • 美味しいと評判のレストラン「ハライ」に予約をとる人々のお話。それぞれが現状に悩み、諦め、それでも少しだけ前に進もうとする。劇的に何が変わるわけじゃなく、とても小さな一歩を踏み出そうする。モヤモヤが残る人もいた。
    失敗の匂いがわかる女性のお話は特に良かった。

    小さな一歩が小さ過ぎて、ちょっと物足りない気もするけど、温かい本だった。

  • 少しホラー風味を感じる題名でちょっとだけドキドキして読んだけど笑、暖かい作品でした。

    同じ時間に同じレストランを予約する5組のお客さんたちがそれぞれそのレストランを予約するまでの短編集。
    このレストランの描写がとにかくおいしそう!
    あぁ実際にあったらなぁ...
    あまり説明が細かくないのがかえって想像が膨らむ。

  • 優しさに満ち溢れている―という感想を抱いた。それぞれ何かを抱え身動き出来なくなった人達が一歩踏み出す物語。静かに寄り添う様な文章は読み心地良く、登場人物たちの心情には思わず感情移入してしまう。反面、彼らが一歩踏み出すに至るまでのプロセスが弱く感じる。ただ、最終章で描くメッセージの為には個々が突出してしまうと色々難しくも思えた。"過去と現在"にフォーカスした本作、過去に縛られ今を生きれていないのは自分にも思い当たる節はあったりする。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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