モリのアサガオ 7―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575833751

感想・レビュー・書評

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  • 評論文読書案内から。内容は、死刑についての真摯な論考で、一読に値するもの。だけど、絵がどうしても…。マンガという表現形式を取っている以上、内容の良し悪しもさることながら、絵の好悪はいかんともしがたい。かといって、作家さん的には類を見ない画風ってのも重要ポイントなのだろうし、なかなか難しいところですね。

  • このかたの漫画の線は震えている?なにかで心を刻まれるようで読んでて苦しい…。最初は主人公男二人の強い結びつきの漫画ということで腐った期待で読み始めました。しかし後悔しました。それ以上の感情が押し寄せてきて、まだこの森の中をさ迷っています。

    今では抑止力にすらなっていないような死刑制度ですけど…やはり死刑は必要だと思う(冤罪は怖いけど)
    犯罪者は本当に反省できているのか?裁判での様子をネットやテレビで伝え聞く限りではそんな理想的な犯人像なんて想像できない。しかもなんで死刑にならないのかと憤りすら感じる。本当に自分のおかした罪を、被害者を思い、心からの謝罪をできるようになるのは、死について(自分の死について)恐怖を覚えるところから始めるしか究極ないんじゃないかと思う。「人を殺めたら死刑」と単純に子供の頃は思っていたけど、実際は案外簡単には死刑にならないものだなぁと愕然としてしまう…。
    でも…、死刑は必要だ!税金の無駄だ!と無関係な人間が無条件に無責任に叫んで済ませられるものでもないと…この物語を読むだけでもその言葉の重みを考えることができると思う。

  • 死刑という問題を題材にした、というよりも、死刑にまつわる群像劇。
    郷田マモラの作品はついつい読んでしまうのだが、いつもの情報量と影の濃さにどっと疲れてしまう。
    決して文字量が多かったり説明が過多だったりするわけではないし、恩着せがましく何かを問うてくるわけでもないのだけれど。
    生々しい主人公の弱さも、泥臭い登場人物の人生も、深く共感できはしないのに読み終えると流れた時間分の疲労が伴う。
    考えるより隙もなく、いつのまにか脳に何かが足されてしまう作品。

  • 第61〜70話(最終話)収録。
    渡瀬満の妹・小春の登場により、渡瀬満の逃亡から出頭までの行動が判明。また、出頭理由の真実が満本人から語られる。それにより、真の意味で通じ合った直樹と満。……もはやBLにしか見えない。直樹に恋人ができても長続きしない理由も含めて。巻末の作者コメントの、三浦しをんさんの帯エピソードといい、二人の関係はそれを意識して描いたのか不安になった。ただ、二人が一日一日を大切に生きてゆく姿、直樹による満への死刑宣告はとても良かった。そして、直樹なりの死刑制度の思いは、8年間仕事を務めた者の考え抜いたものとして良いと思う。死刑囚が冤罪である否か、自身の行いを反省しているか否かを見極める基準は難しいけれども。後半の時間経過は急スピードだったが、死刑制度に真摯に向き合った作者の熱意がよく伝わった良作だった。たまたまですが、7巻読了中に死刑囚の特番を視聴したのは驚いたなあ。また、カバー下に朝顔の代わりに蝶が飛び回っているのも印象的だった。本編で語られなかった、二人のやり取りを番外編で読めるのは嬉しい。じっくりと世界観に浸りながら読もうと思う。

  • 死刑制度について考えさせられます。賛成とも反対とも言い切れなくなります。難しい問題です。

  •  タイトルどおり、死刑制度の是非という"森"の中を彷徨う物語も、遂に終焉を迎える。

     冤罪で死刑が執行された事例が紹介されていますが、これは決して物語の中だけの話ではありません。DNA鑑定が出始めた頃は、鑑定制度が不確かだったのですが、その頃の鑑定結果に基づいて死刑が執行された事件が我が国でもあります(飯塚事件)。現在再審中ですが、もしここで被告人の無実が証明されたら、刑事司法に対する信頼は回復困難なくらいに失墜するでしょう。世論が一気に死刑廃止に傾くか、そうでなくても現在の刑事司法制度に死刑を選択させることはできない、と事実上の死刑廃止状態に陥るかもしれません。

     遂に渡瀬満の事件の真相・全貌が明らかになります。全てをわかり合い、心が通じ合った渡瀬と及川。
     特に印象的だったのは、自らの罪を認め、死刑を受け入れた渡瀬が心を乱すシーンです。死刑囚の心の不安定さ、動揺を描いた名シーンだと思いました。
     及川の逡巡と結論は、この物語を読み進め、一緒に悩んできたからか、自然と腑に落ちるように受け入れられました。先輩刑務官・若林のように考えるのも一つの結論だと思います。どちらにしろ、死刑制度や死刑そのものに向き合うときに一番大切なことは、常にためらいの中にいつづけるということ、及川の台詞を借りれば「今も……そして これからも深い森の中をさまよい続ける」ことなんじゃないか。死刑存続にしろ廃止にしろ、そこに何の逡巡も無い状態というのが一番怖い、そう私は思いました。

     今はkindleでも買って読めるので、是非読んで欲しい作品です。

  • 心の深い深いところからこみ上げてくるものがありました。

    一言“感動”という言葉では終わらせられない重い作品だと思います。

    まだまだ人生経験の浅い私なので、今まで様々な漫画や小説などに触れてきても「考えさせられる作品」という言葉を簡単に使ってはいけないと思ってきました。
    でもこの作品は、読者も一緒に考えなくてはならないと本気で思わせてくれました。
    こんなにも一つのテーマについて自分の意見というものを考えさせられたのは初めてです。

    正直、読み終わった今でも死刑はあるべきなのか否か、解決策は無いものか、色んな事が自分の心の中に残っています。


    覚悟を決めた渡瀬が「生まれ変わったら一緒に野球をしたい」という言葉から手の震えが止まりませんでした。

    郷田さんの絵はとても特徴的で、でも人それぞれの細かい表情作りがとても上手だと思いました。
    郷田さんの作品を読んだのは、これが初めてだったのですが他の作品も読んでみたくなった。

    私はこの作品と出会えて本当に良かったと思った。

  • 3巻くらいからヒートアップします。

    死刑の話。

    これ、読んどいた方がいいよ。すっごい色んなこと考えさせられる。

    なんのためにある?
    いいの?悪いの?そもそも死刑って??

    及川という新人刑務官が8年後、親友を死刑に処するところから始まります。

  • 絵柄が不穏すぎだけどよかった。BL界隈はこの漫画も取り上げるのねw

  • 図書館の本

    及川と渡瀬の物語の最終章。
    人を殺すにも、心理的な動きが必ず伴い、その後悔い改めるまでも気持ちの起伏がある。
    渡瀬の全てを知り、親友となり、最後を見届ける。

    死刑制度についてはいろいろあるとは思いますがいろんな視点から考えさせられた本でした。

    わたしは刑務官の負担をもっと考慮するべきではないかと思うのです。
    仕事とはいえ人を殺す仕事なのに、軽んじられているような気がします。

    薦めてくれた義妹に感謝。

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