茗荷谷の猫

著者 :
  • 平凡社
3.55
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本棚登録 : 428
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582834062

感想・レビュー・書評

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  • 2014.03.09読了。
    今年11冊目。

    江戸末期からのそれぞれ時代の違う東京に住む人々の話。
    短編集だけど少しずつ話が重なる部分があり、一つの物語のように思えた。
    それぞれの物語の中で引っかかっていたことがあとの物語で明らかになるけれど、それは読んでいる私たちにだけわかることで...
    それがなんとも儚く、切ない気持ちになった。

    一番好きなのはてのひら。
    私もあんな風に母に対して思ったことがあったし、みんな経験する気持ちなんじゃないかな。

    そしてこの短編集に共通しているのは
    自分にしても他人にしても、見る人によって見え方は異なるということなのかなと。
    自分にはわからない自分のこと。
    他人にはわからない自分のこと。
    それが時代を越えて、それぞれの人たちが交錯していく中で見えてきて面白かった。

  • 時代設定が異なる九つの作品でありながら、登場人物やエピソードが入れ子細工のように重なる箇所が出てくる。実在の人物や書物を連想させる一編やなんとも言えない幻想的な余韻を残すものなど様々な味わいを楽しめる贅沢な短編集。

  • 江戸時代の終わりから、時代時代の東京に住まいする人の姿。ほんのわずかに、つながりがみえて、あぁ、とため息が出る。ひと匙、不思議が振りかけられていて、煙に巻かれる。どこにでもありそうな平凡も、一皮めくれば、はっとさせられるのかも知れない。

  • 前にも一度読んだことがあった。
    すっかり忘れてまた図書館で借りてきてしまった。
    でもまた読み返してみると忘れていた部分もあって
    楽しめました。

  • この作家さんは魅力的な
    人をたくさん書く。

    胸をぐっと掴まれて、
    一つ一つを読み終えたら
    余韻に浸りたくなる。

    黒焼道話、茗荷谷の猫、庄助さん
    が好きだった。
    内田百閒好きなので、
    仲之町の大入道もたまらん。

  • 初木内昇。物語が時代を経て少しずつ繋がっていくのが凄く素敵だった。1番最初の染井吉野のお話と世間から、向かいの奥さんから隠れて乱歩を読む不惑男の話が好きだった。2011/329

  • 短編はなかなか感情移入しにくくて苦手だから遠ざけていた。
    この本は、開いて1ページ目からぐっと引き込まれた。
    どの話もひどく心をつかまれた。
    木内さんの作品を読むのは5回目だけど、外れがないなー

    御一新の少しあとから、高度経済成長期まで、少しずつ重なりながら連なっている短編集。
    哀れなのや、恐ろしいのや、おかしいのや、あたたかいのや、悲しいのや、愛しいのがたくさん詰まっている。

    図書館で借りたのだけど、これは買って手元に置いておきたい。
    木内さんの作品は装丁がいいのも特徴のひとつです。

  • 内田百間、江戸川乱歩、永井荷風、そして東京へのオマージュ。懐かしさを感じさせつつ、懐古趣味ではない。良書。

  • 少しずつリンクしている短編集。
    自由きままなその日暮らしの中年 関わりたくないと思っているのにどんどん行動が裏目に出て隣人が近づいてくる「隠れる」、年老いた母親とその娘の話「てのひら」が印象に残った。
    どの話も少し暗い印象がある。「てのひら」はなんか悲しくなった。

  • 短編連作集。
    江戸から東京へ、情緒豊かなきれいな本でした。

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著者プロフィール

1967年生まれ。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年『茗荷谷の猫』が話題となり、09年回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、11年『漂砂のうたう』で直木賞、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他の小説作品に『浮世女房洒落日記』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』、エッセイに『みちくさ道中』などがある。

「2019年 『光炎の人 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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