- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622076537
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
30年以上アマゾンの一部族ピダハンとともに暮らして学んだことをまとめた本
数えたり計算したりしない
色もない
遠い過去も未来も空想も話さない
左右もない -
赤ちゃん言葉がなく子供も大人も対等に扱われ、親族が死にかけていてもそれが運命と助けることをせず、自分の目で見たものしか信じず、それでいて先進国の我々よりは精神的に豊かで幸せな民族。
常に進化や物質的な豊かさを追い求めることが本当の幸せかを考えさせられる。
ただし言語学的な考察がしっかりしている分、教養を求めて興味本位で読む一般人には辛い部分も多い。 -
この本をこれだけの人が読んでいるということ自体に驚くけど、その方面では有名なんかな。
言語の研究でありつつも、部族、文化の研究で、やっぱりこういう異文化を知るというのは面白い。全く新しいものを受け入れない頑固さが、キリスト教やらを押し付ける西洋人ならではのアイデンティティとぶつかり合うさまは小気味よく読める。これが200年前に起きてたら、日本もまた違う未来を進んだんだろうか。
ともあれこの強烈な虫どもと共存できる力は分けてほしい。アマゾンで上半身裸ってヤバい。誰か科学者がこの遺伝子を解明して薬作ってプリーズ。 -
未知の世界が語られている本を読むのは、わくわくするものですね。
「ピダハン」のことを知ったのはやはり本でしたが、数字に当たるものがない、色の名前もない、など、私たちとはまったく違った生活をしているピダハンを、言語学の立場から研究している著者ということで興味を持ちました。また、キリスト教の伝道師の立場でピダハンと接触したのに、本書を執筆したときには「無神論者」になってしまったという、著者の変化も非常に気になりました。それだけピダハンという存在は、例えばテクノロジーにかこまれた社会で生きる著者をはじめ、私たちにはない”何か”を持っている、ということだと。
読み始めて、ピダハンの生き方は野生動物みたいだと感じました。著者も動物が教師みたいだと指摘しています。自分が感じたのは”いまを生きる”あり方とか、親族や村の仲間が死にそうでも(その人が助けて、と訴えていても)自分にはどうしようも出来なけれは、手出しはしないところです。
例えば草食動物は、仲間が肉食動物にやられていても、ただじっと見ているだけです。大勢でいけば何とかなる!とか思って肉食動物へ復讐とかしませんね。でも人間だったら普通、たとえなんとも出来なくても倫理的に何とかしようとはします……。慌てたり、右往左往したり。
とはいえ、ピダハンは冷酷ではもちろんありません。助け合うことは強い「規制」となって現れると著者はいいます。また自分の飼い犬が殺されたら、大粒の涙を流しかなしみます。
ちょっと難しかったのは「精霊」の存在。それをぜひ見たいと思っていた著者と仲間がピダハンに頼むと、見れる場所を教えてくれて行ってみると、教えてくれた本人が、死んで間もない女性に扮してジャングルから出てきた。そして自分が今どんな状況か”語る”。周りにはほかのピダハンが「聴衆」となっている。
著者はこれは”演劇”じゃないかといっています(西洋人的な感覚で)。しかし著者自身も指摘するように、精霊とはピダハンにとって、目に見える「現実」で体験されるものなのです。夢も眠っているときに見える「現実」だといいます。
死んだ人(精霊)を演じるというと、能と似ていると思いました。自分は詳しくないのですが、この芸術も人間と霊(精霊)とのやり取りの演目が多いと聞きます。見えないもの(と私たちが勝手に思っている)に重きをおけるのは、ひょっとすると”幸せな人間”の条件なのかな、と感じました。 -
アマゾンに住む少数民族のピダハンの言語と文化について。
聖書をピダハンの言語に翻訳するために彼らの言語を研究し、その中で今まで普遍だと思われてた人間の言語に関する常識が覆されていく。
彼らは実際に見た事しか信じず、自分たちの生活が豊かだと感じているから、他の文化や言語を取り入れる事なく暮らしている。言語として抽象化が極端に少ないため、色や数、左右を表す単語がないことは驚いた。
伝道師としてピダハンの言語を元気してた著者が、ピダハンと関わることで信仰を捨ててしまうのも驚きだった。未来や過去なんかの抽象的な事を考えるから不安を抱くのであって、現在しか考えなければ信仰に頼る必要もないんだな。 -
とても面白く読んだ。
ピダハンの強固な世界観に驚く。
進取の気性というのが全くなく、自分たちの生活を良いものとして続けるというのは、なかなか稀な事だと思う。ひょっとしたら老子の言うユートピアかもしれない。
毎日を楽しく、肯定的に生きるということが幸せなのかも。うまく行くならそれは正しい、、というフレーズを思い出した。
言語学者としての考察も面白い。
文字に関しては余り記述が無かったが、おそらく使わないのだろう。
その事は世界観に強い影響があるのではないかとと思った。 -
少数民族となると儀式や装飾に興味が惹かれるが、ピダハンには基本存在しない。ネックレスはしているが、「実際に見る」悪霊を避けるために急いでつくられるもので、装飾的な意味合いは一切なく、つくりも雑。
ひとりぐらい変わり者がいて凝らないの? という謎に思う自分について考えたり。
言語学について学んでから再挑戦したい本。 -
左右の概念、数字の概念がない民族に興味を持ち読んでいたが、想像以上に興味深かった。ピダハンが重んじるのは現在の直接体験のみであり、見えないものやわからないものについてあれこれと心配をしない。その結果なのか鬱や自殺といった精神的な疾患が見られない、というのは興味深い。
過去や未来に捉われず、今見えているものに集中する、という考え方は仏教にも通じる考え方だと感じた。 -
前半は作者のエッセイのような冒険記。後半は言語についてだった。
言語学者なのもすごいけど宣教師もすごいな…。作者の熱意とタフさにずっと感心していた。
面白い。ドキュメンタリーの方も見てみたいな。長期的な視野はなく今この瞬間を大事にしていて無理に人を助けない。死ぬべき人は死ぬべきという受け入れ方は世界的には珍しい。作者が異なる文化や価値観を下に見たりうけつけないからと拒否するような姿勢がなくてよかった。
ゆる言語ラジオから気になって読んでみたけど前から有名な本らしく最近の本でもないのに平積みされていたりメルカリでも価格が落ちていなかった。