意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論

  • 亜紀書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514505

感想・レビュー・書評

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  • 意識がいつ生まれるのか。その謎にいどむ統合情報理論。それを推理小説のように、これを調べたらこうだった、次にこれを調べたらこうなっている、だから今度はこうなるのでは、と興味を途切れさせないような語り口で意識の存在への探求へ導いてくれる。脳から小脳を取り除いても意識は存在するという。しかし視床ー皮質系がやられると意識はなくなる。そこに意識が存在するのか?小脳との違いは何か?ニューロン間の接続の仕方によるらしい。左脳と右脳間を結んでいる連絡橋が大脳皮質にはあるが、小脳には存在しない。小脳は各モジュールが単独で存在するらしい。大脳皮質では縦横無尽にニューロン間に接続存在するという。

  • ☆基本命題:ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある。

  • なかなか難しい本

  • ■『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』★4つ(5点満点)
    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4750514500/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4750514500&linkCode=as2&tag=hitoshiebih0a-22&linkId=10cc084922d7f26d2cdddb67bc5e9e57

    最近、読書量の3,4割を占めるサイエンス本。

    AI進化の文脈で、「意識とは何か?どうなったら意識を持ったと言えるのか?」といった議論が、またに聞かれる。
    このとき、脳の科学的解明が難し過ぎることになり、哲学論争になってしまうことが多い。哲学者、脳科学者、AI研究者、などなどが、複数の意識の定義を主張している。

    しかし、「サイエンス的な議論」は、これまで見たことがなかった。サイエンスの世界で当たり前の、科学的仮説を検証・証明する行為がない。

    「意識はいつ生まれるのか」は、私の知見の中では、初めて「意識」について、科学的アプローチで正面から、「意識は、どこにあるか?」「意識のある/ないの境界はどこか?」などを、10年の歳月を掛けて検証考察した本。

    「意識って何?」と思った人は、このアプローチは視点として知っておいてよいだろう。
    ちなみに、かなり一般向けにかみ砕き、専門的な説明は極力省いているので、普通の人でも読めます(注:私は、普通の人ではありませんw)

  • とても難解。意識とは何だろうという疑問が更に深まる。

  • ここ10年でのマイベスト3に入る内容の本。
    多様な解を同時演算できる人間の脳、そして、直線解しか出ない脳ならばそもそも意識など必要無い、などの新たな視覚を、直感的に気付かせてくれる添付図版が、とても秀逸でした。

  • 文章量が膨大で王尭な言い回しが多いのですが、難しいデータはほぼ省略されているので読みやすい本です。
    脳の働きや、睡眠と覚醒に興味のある高学年向け。
    測定法が提示されない研究に挑む試行錯誤の姿勢も、将来の研究者を目指専攻科生には是非読んでほしい本です。
    本科低学年でも、文章量に挑む気があれば十分に読み取れる内容です。

  •  やはり意識は「自分の行動・考えを眺めること」だと思う。例えば、他者とコミュニケーションできるだけじゃ足りない。一応犬でも、猫でも、こっちが働きかければ向こうは反応する。犬だったら主人が撫でれば、嬉しいって思うだろうけど、犬が嬉しいって思うのを自分で認知してこそ「意識」だと思う。そうじゃないと、コンピュータが嬉しいって言ってるのと変わらないと思う。それらの違いは「リアルかリアルじゃないか」だけ。
     例えば、人間がチャリンコ漕ぐのは無意識っていうし、これと同じ。右ペダル踏んだら左ペダル踏む。犬とのコミュニケーションはこれと一緒だと思う。
     もう一個例。映画でありがちな、主人公が目覚めて「ここはどこだ、俺は一体・・・」ってなるシーン。意識を回復しているが、文字通りこれこそ「意識」だと思う。自分の置かれている状況を理解し、それが不自然だと思う、つまり自分のこれまでの一般的な状況と今の不自然な状況をどちらも眺めており、その差異が分かるからこそ不自然だと感じる。これが「意識」。意識がない犬とかは「ここはどこだ?」ってなっても、自分の置かれている状況を理解できなさそう。
     って書こうとしたが、普通に犬も「ここはどこ?ご主人様は?」ってなってオロオロしそうで、あれ、これって自分が置かれている状況理解してるよなって思ったから、犬にも意識あるのかも。
     よく分からんくなった。

     ただ、何となく動物・植物には一般的に意識があるような気がする。それは進化してきたから。進化は周りの環境に適応する、ということ。もし全ての進化が突然変異ではなく、動物の主体的な適応によってなされてきたのなら、動物は自分の現状を理解しているということ。(例えば、もっと舌が長ければ、このアリ塚からアリたくさん食べられるのに、みたいな)
     
     もうひとつ夢を見ているときに、著者は「意識がある」って自明のように説いてるが、本当にそうか?夢を見ているとき、人は往々にして「夢をみているか否か」分かってないはず。それは自分の現状を分かっているとは言えないと思う。それか、「夢の中で登場する自分を夢の中で認識している自分がいて、それが夢だとは分かってないだけで、『夢の中で意識がある』」とも言えるような気がする。
     一応、矛盾はしないっぽい。

     ただ、著者の言うようにあらゆるレパートリーに下支えされた統合された情報っていうのは、単純に納得できる。知的に刺激的な良著でした。
     「広い繋がり(分解できない)がないと、単純なリアクションしかできない。広い繋がりがあっても、一様なリアクションしかできない場合もある。広い繋がりが複雑に絡みあって、はじめて単純なリアクションの裏に、多種多様なレパートリーが含まれるからそれが意識となる。」

     「統合された1なるもの」か否かが、ここでは大事だと言われている。それは納得できる。しかし、もし超知的生命体が現れて、情報を統合しつつ、それを複数行い、同時多発的にアウトプットできるとしたら??それは我々にはもちろん理解できないし、どのように彼らがコミュニケーションしているのか、それを意識と呼ぶのか、謎となるのでは??いや、結局それは、「統合された1なるもの」を複数持っているってだけで、意識の定義を否定するものではないか。

     伊藤けいかくの小説(タイトルは忘れた)で、脳移植を繰り返されて、完ぺきな暗殺を行えるようになった人が、ある暗殺を行ったことを忘れていた、という一説を思い出した。なぜなら脳が完全に暗殺の手順を覚えていて、それが「無意識に」行われたから。その主人公は衝撃を受けていたが、同じ刺激を繰り返すと脳はそのリアクションを小脳に送っていってしまうのだなと痛感した。

  • とてもとても面白かった!!

  • 意識の源泉を解明しようとする理論はいくつも提唱されているが、統合情報理論は最も合理性の高い理論の一つだと考えられている。本書では、意識の宿る物体と、意識の宿らない物体の物性的な違いに着目し、情報統合可能な結合を有するシステムこそ意識の源泉だと考える。しかし、意識の解明には技術的困難さが伴うため、未解決の問題がいくつも残されているのも事実である。

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著者プロフィール

精神科医、神経科学者。ウィスコンシン大学精神医学科教授。睡眠と意識についての世界的権威。著書に、Phi: A Voyage from the Brain to the Soul.(Random House LLC, 2012)、A Universe of Consciousness: How Matter Becomes Imagination.(ジェラルド・エーデルマンとの共著、Basic Books,2000)などがある。

「2015年 『意識はいつ生まれるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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