家事は大変って気づきましたか?

著者 :
  • 亜紀書房
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本棚登録 : 418
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750517667

作品紹介・あらすじ

《村井理子さん、推薦!》

ずっと苦しかった。泣きたい気分だった。
そんな私の気持ちを受け止めてくれた一冊だ。

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──時代が変わっても、家事はラクになっていない!

なぜ家事は女性の仕事だったのか?
明治から令和まで、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読みとく。

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●メディアが広げた“幸せな”性別役割分担
●「本当は自分でやるべき」に縛られる
●育児をレジャー化する「名ばかりイクメン問題」
●令和の食卓における効率化と趣味化
●一汁一菜ブームが見落とすもの……etc.

家事のモヤモヤをときほぐし、共働き時代の新しいパートナーシップのかたちを考える。

感想・レビュー・書評

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  • 阿古真理 - Blog | birdsinc.jp
    https://birdsinc.jp/ako-blog/

    亜紀書房 - 家事は大変って気づきましたか?
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1078

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      日本人が「一汁三菜」に強いこだわりを持つ事情 令和になっても家事に残る「昭和型の価値観」 | 家庭 | 東洋経済オンライン
      https://...
      日本人が「一汁三菜」に強いこだわりを持つ事情 令和になっても家事に残る「昭和型の価値観」 | 家庭 | 東洋経済オンライン
      https://toyokeizai.net/articles/-/676030
      2023/06/07
  • カジュアルなタイトルと見た目に反して、イラストの一切ない文字だけの300ページ超の大作。

    内容は家事のノウハウやコツを伝えるような、よくある家事本では全くない。
    むしろ「家事の社会学」というようなタイトルの方が適切じゃないかと思える。
    家事の歴史的、社会的、政治的背景を紐解きながら、家事の偏在する大きな負担の理由を説明し、そのよりよい在り方を検討している。

    対象読者は、日々家事に追われている人、その中でも家族があり、ケア(育児や介護)も家事の一つである方と想定している。現在の日本では大多数が女性でしょう。

    女性が会社や社会などの公的エリアから家庭に追いやられ、家事を1人で抱えこまされ、男性が家事に関与しないのはなぜか。それはそれぞれの個人的な要因というよりは、家事がそういうものだとしてきた親、会社、社会、制度の関与がある。それぞれが長い時間の中で複雑に絡み合っているので根が深い。

    具体的に家事負担の軽減として目指す方向は、家事の総量を減らすことと、それをほかの家族とシェアすることだ。シンプルだが重要であり、その具体例もまとまってはいないがいくつも紹介されている。制度や考え方も徐々によい方向に変化してきており、これからもきっと変わっていけるだろうという著者の姿勢も嬉しい。

    女性が日々家事に苦しめられ、悩んでいることに対して、労いたい、共感したい、肩の荷をおろしてあげたい、助けたい、と思う著者の温かいケアの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる本である。

    そんな大変な思いをしている女性はもちろん、家事の大変さに気づいていない男性(夫、会社の管理職の方、官僚、政治家)の皆さんも、読んで頂きたい本です。

  • 読むのに時間を要したが、内容はほぼ毎日妻に聞かされる愚痴に酷似。つまり、これまで愚痴と感じていたことが、心からの訴えであったと理解できた。まずは自分の得意な家事からやっていこうと思う。

  • 多くの家事の悩みが共通していることからわかるように、家事は家庭内の私的なことに見えるが、本当は「あるべき姿」が社会の中で規定されてしまっている。
    「愛情は女性の本能だから」とかいうよくわからん理屈で、ケア労働・家事・育児を女性に押し付けてきた(労働派遣法と第三号被保険者制度)一方で男性は長時間労働ができる労働者として駆り出されてきた。というシステムが資本主義。

    女性が経済的自立を望むとき、「じゃあ男性と同じように長時間労働できるよね、もちろん家事は女性の担当ね」になるのが謎で、ちょっと私たちは聞き分けのいい都合のいい存在でありすぎるよね。そこそこ働けばちゃんと生活できる社会とか、家事育児ケアワークと両立できる持続可能な働き方ができる社会にしたい。順応するのではなく、いまの社会構造を疑っていきたい。
    人に生活を押し付けて担ってもらわないと回らない労働ってなんなんや。生活のための労働なはずなのに、労働に生活が侵食されてるってなんなんや。
    生活も家事もケアも間違いなく面倒なことではあるが、奪われてしまっていることをむしろかわいそうに思う。

    「ケアを引き受けることが弱みになる社会」であることが恥ずかしいし悲しい。長時間労働できること(=労働力になれること)が価値とされる社会なんて虚しい。

    「職場は生活を支えるために働く場所で、政治は人々が暮らしやすいシステムを整えるために行われる」というのを忘れたくない。忘れない。

  • そうだそうだと頷きながら読んだ女性は多かったのではと思う。
    家庭科の授業ではこういったことも取り上げて欲しい。

  • もうひとつ。
    私の興味外だった。

  •  小説家の滝口悠生さんにポッドキャストでおすすめいただいて読んだ。家事について改めて議題設定して、一つ一つ丁寧に議論している1冊でとても勉強になった。女性が家事を担っているケースが大半なので男性が家事をしない問題についてクリティカルなワードでビシバシとエグられるので自分としては一生懸命取り組んでいるつもりでもまだまだ甘いところもあると気付かされた。
     家事に関する書籍では、時短などのHow toやエッセイなどが主流だと思うが、本著は定性的そして定量的に家事を考察している点が一番興味深かった。料理本、片付け本などの歴史や具体的な統計の数値を駆使しながら、家事が大変にも関わらず現在まで軽視され女性に一方的に押し付けられてきたか語られている。性別による役割分担で成長を遂げた時代を忘れられない人が多いし、その姿を見て育った人も刷り込みで当然だと思ってしまう部分もあり抜本的に何かを変えるのは難しく感じた。各当事者が当たり前を更新していくことで社会が変わっていくことを期待したい。(遠い目)
     特に「名前のない家事」という概念が衝撃だった。「風呂掃除」「昼食作り」のように決まったフレームの中で取り進めて完了する家事ではなく、「買ってきた野菜を冷蔵庫に入れる」「肉や米を小分けにして冷凍保存する」「洗剤を詰め替える」といった生活する中でフローのように存在する家事の多くを女性が担当しているケースが多い。結果、分担がイーブンに見えたとしても女性の負担が多いというのはぐうの音も出なかった。気づいたら対応しているけど、気づくかどうかはシステム化されてなくて自分次第なので、これからは意識していきたい。
     また個人的に気になっていた一汁一菜についても取り上げられていた。食事を作るハードルを下げる意味で機能はしているが、土井善晴本人の意図としては手作りかつ母の愛情といった旧来然とした家的な価値観のアプローチらしく、そこでギャップが出た話はオモシロかった。著者も食事の重要性については主張しており、食べたいものを料理をすることで自分の家事に対する主体性を取り戻す話が興味深かった。自分も一汁一菜というより食事を楽しみたい勢なので、そう考える自分が積極的に菜を作らねば…とも思った。
     近年話題のケアについても家事の観点から1章丸ごと使って語られている。フェミニズム、資本主義、家父長制などの社会的背景と家事を踏まえながらケアの必要性を説いており、中でも以下のラインが刺さった。

    *無駄な時間や労力を使わないことは、一般的なビジネスの場では生産性が高いと評価されるが、ケアで時間を惜しめば十分な目的を果たせない。なぜなら、ケアの最大の目的は、相手に関心を払い大切にすることだから。それはつまり、愛である。「生産性の高い愛」なんて要求したら、恋人は怒って去ってしまいそうだ。*

     一事が万事、家事に対する主体性を持つことが何よりも重要だという主張で至極真っ当だと思う。終盤にかけては著者から見た問題点がつるべ打ちされ強い言葉で現状について疑問を呈していた。各人の努力も必要だけど、それには限界がありシステムの変化こそが最大の解決策なのは間違いない。今の政権のままでは社会構造は何も変わらないので選挙に行って自分の意思を示す必要がある。現状維持していても明るい未来は絶対来ないから。

  • 家事やケアが女性に押し付けられてきた歴史や社会構造を紐とき、あるべきパートナーシップのかたちを展望。
    男性の意識改革をはじめ、社会的な状況の改善には前途多難だと思ったが、個人的には、家事をシェアしていく上でのヒントや他山の石となるような話がいろいろあり、参考になった。
    既発表の文章を複数収録しているということもあるかもしれないが、本書の構成としては、同じような話が何回も出てきたり、内容があっちへ行ったりこっちへ行ったりという感じで、ちょっと読みづらかった。

  • 第6章 ケアと資本主義 1 『モモ』が描いたケア、が興味深かった。

  • 「インフラが整った中で、手のかかる家事をふやしていった専業主婦たちにとって、家事の趣味化は自然な流れだったかもしれない」家事の趣味化…言い得て妙だな。

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著者プロフィール

作家・生活史研究家。1968年兵庫県生まれ。食のトレンドと生活史、ジェンダー、写真などのジャンルで執筆。
著書に『日本外食全史』『家事は大変って気づきましたか?』(以上、亜紀書房)、『ラクしておいしい令和のごはん革命』(主婦の友社)、『昭和育ちのおいしい記憶』『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』『「和食」って何?』『昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年』(以上、筑摩書房)、『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』(幻冬舎)、『料理は女の義務ですか』『小林カツ代と栗原はるみ』(以上、新潮社)、『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』(NHK出版)など。

「2023年 『大胆推理! ケンミン食のなぜ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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