少年は戦場へ旅立った

  • あすなろ書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (115ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751521977

感想・レビュー・書評

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  • 子どもが夏休みに借りた本。
    アメリカの南北戦争の実話に基づいた話。

    それは近代的な戦闘の始まりでもあった。
    アメリカの北西部メネソタ州のある町。集会では、正義を振りかざし、高揚する群衆。
    15歳の少年チャーリーは、父亡き後の家族を支えようとその俸給の額に惹かれて北軍に入隊する、
    戦争の本当の意味など分からないままに。
    最初の戦闘で、運良く命を拾っものの、自分は死ぬ運命にあるとすでに悟ってしまう。幸運なことに彼は負傷しながらもこの戦争を生き抜いた。
    けれど、その若い魂は今で言うPTSDに蝕まれてしまう。

    南北戦争について、アメリカではみっちり学ぶようだが、ほとんどの日本人にとっては、奴隷制をめぐる他国の内戦程度の知識しかないだろう。
    100ページ程度の短い話だが、事実に基づいた生々しい戦闘や宿営地の様子は時代を経てもリアルに伝わる。そして、無知なまま戦争に参加した多くの若者達の辿る道もまた残酷である。
    2019.8.4

  • 南北戦争時代のアメリカ。年を偽ってまで、志願して戦争に行くことにした15歳の少年。愚かだ…と思う反面、こういう少年は、当時、たくさんいただろうと思う。そして、当然、日本にも。
    しかし、実際の戦闘を体験すると、事前に思い描いたものとはまるで違っていて、少年の精神は崩壊していく。家に戻ってからも癒されることはなかった。
    出征した1,000人のうち、たった37人の生き残りの一人がモデルとのことだが、せっかく生きて帰れても、その先を生きていくことは、もう彼にはできなかった。
    悲しいけれど、これが現実、これが戦争なのだ。
    戦争に幻想を抱く若い人たち(だけではないかもしれないけれど)に、届いてくれれば、と願う。

  • 翻訳されたものなので少し読みづらさはありますが、大好きな本です。
    主人公の心理描写が細部まで描かれていて、
    考えさせられるものがあります。

  • 中1の夏休みに読んだ本。
    読書感想文に書いた記憶があります。
    衝撃的でただ悲しくて戦争を考える。
    この本は評価をつけられないです、、。

  • 南北戦争時代。人類が大量殺戮兵器を手にしはじめながらも、まだ肉弾戦の様相も持っていた時代。個人から見た戦争はこのようなものだったのだろう。歴史的背景はほとんど描かれず、無知で素朴な青年がお金目当てに戦争に参加した顛末がシンプルに描かれている。本当に強烈な経験だ。こんな経験を経た後では、後の人生に深い影を落とすのは必然だと思う。
    現代の戦争は、対戦相手も実際の戦闘も、この時代よりはるかに抽象化が進んでいる。はたして、これは人類にとって幸か不幸か、そんな事まで考えが広がる、シンプルながら強い刺激のある本でした。

  •  アメリカ南北戦争にサバを読んで参加した十五歳の少年チャーリー・ゴダードのおはなし。実話を基にして書かれているのだそう。
     わりあい淡々とした文章なのにちょっとした表現に気が利いててぐさぐさ来る……。人間を殺すのはいいけど馬を殺すのがつらい、っていうのがなあ。

  • 「神様、ぼくはこんなものを見るはずではなかった。だれもこんなものを見るはずではなかった。なのに、なぜ、あなたはこんなことが起こるのを止めなかったのですか?」

    1861年4月12日、南軍が連邦のサムター要塞を砲撃(サムター要塞の戦い)。
    そして南北戦争が始まった。

    ミネソタ州ウィノナの町にまれ育った15歳のチャーリー・ゴダードは年齢を18歳と偽り義勇兵として入隊し、7月の北軍のバージニア侵攻、第一次ブル・ランの戦い(マナサスの戦い)に参加。
    以降、1863年ゲティスバーグの戦いを経て1865年4月の南部の首都リッチモンド陥落までを戦い抜いた。

    しかしわずか3年後、戦場で受けた傷と精神的ストレスがまだ20歳の彼の命を奪っていった。

    これは実際に起こったこと。チャーリーか、さもなければチャーリーのまわりにいた兵士に、実際に起こったことなのだ──。

    戦場での動作ひとつひとつが細かく具体的に描写され、チャーリーが生き抜いてゆくリアルな手ごたえと同時に、人間が壊れてゆく感触を読む人へと静かに深く訴える。

  • 南北戦争時に年齢を偽って北軍に入隊した15歳の少年の物語。
    実在の人物でほぼ実話、と言うのが衝撃でした。

    戦争の何たるかも分からない明るい少年が戦闘を重ねるごとに血と死と諦念を見て心に澱が沈んで行く様は読んでいて辛かったです。
    人の壊れ方がリアルで児童文学のジャンルで良いのか?と思ったほどでした。

  • アメリカ大陸至上最大の戦争である、南北戦争に参加した少年のお話。

    100頁ほどの、軽い読み物。
    字もでかいから、さらっと読める。
    そんで、表現がめっちゃ生々しいというか、リアルというか・・・・

    戦争のシーンを描く時、人が撃たれたり刺されたりする場面って、その行為そのものよりも、人が死ぬという事実に焦点が当てられることが多い。
    けど、これは実際に戦争に参加した主人公の男の子の目線で書かれるから、人間の体を弾丸が通過する時の音とか死体の臭いとかの描写が多く、戦争の現場がいかに辛いものであるかということが思い知らされる。

    お涙頂戴のシーンとか全くないのに、これが戦争の現実かと思うと、現実を変えられない人間の弱さが悔しくて、涙出るわ。

  • 子どもたちと機会を得ては戦争に付いてこうした作品も通じて、話していますが、自らも、戦後派として、子どもたちと同じような目線で読んでいます。

  • アメリカ南北戦争に、年齢を偽って従軍した15歳の少年の話。実在の人物らしい。100ページ程度で、一応、児童書、ヤングアダルトという枠組みなのでしょうが、心理描写が真に迫っています。戦闘中、木立の影から相手が今にも撃ってくる、という緊迫、戦闘を経験し、いずれみんな死ぬ、次に死ぬのは自分だ、と思い込む部分などはかなりリアル。自分がもし従軍することになったら・・・・・・などと考えると背筋がぞっとします。

  • すごく、ショッキングだった。戦争なんて、だれがのぞむのでしょうか。

  • チャーリー・ゴダードは、15歳で入隊し、戦争で負った心の傷が原因で、若くして亡くなった。実際にあった本当の話。

  • 兵士になることに憧れ、年齢を偽って入隊した少年チャーリー。彼がそこで目にしたのは驚愕の光景だった。少年が見た戦争を描く衝撃作。

  • とてもリアルな表現が痛々しかった。改めて戦争の恐ろしさを感じる。

  • アメリカの南北戦争・・・いや、もう、ヤバイ。表現がすごくリアル。鳥肌がたってくる。涙を軽く誘いながら、戦争の無意味さと共に反戦を訴える作者の想いが伝わってきた。・・・戦争って、いけないいものだね、やっぱり。たくさんの人が哀しい想いをすることになる。それを改めて心に言ってくれた本だと思う。

  • 06/08/01読了
    日常から非日常に、非日常は日常に、それでも「非」ず、であるかぎりは必ず軋みが生じるものなんだろうなと。

  • ミネソタから南北戦争の前線に義勇兵として出征した15歳の少年の心の変化。実在の人物をモデルにしている。千人の内,生き残った37人の内の一人。課題図書。

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