金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫 な 17-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441124

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目。
    今作は家族の再生をテーマにした話が多かった気がする。
    前作で「金曜堂」のメンバーの過去が明らかになり、今作では「金曜堂」に訪れる訳アリの人々の力になっていくメンバーの様子が描かれる。
    個人的には、主人公・史弥の父とその父が経営する書店で働く二茅さんの過去が描かれる「書店の森」が一番好き。
    「ノルウェーの森」がメインで描かれており、学生時代、大好きで、読み返すだけでは物足りなく、ペーパーバック版も読んだ記憶が鮮明に蘇った。
    「カイさん」で描かれる親子の話も心温まる。
    家族の微妙な関係を「ポタージュ」に例えてしまうところが何とも言えず、心が小さく震えるようだった。
    血のつながった親子でさえも、最初は「ポタージュ」。ましてや、他人なんて、簡単に「ポタージュ」の味になんてなれやしない。
    登場する本より、この本自体のメッセージ性が強く印象に残った。
    次作でラストは少し寂しい。

  • 「金曜日の本屋さん」シリーズ、第三弾。
    僕・倉井史弥、20歳。
    小さな駅ナカ書店「金曜堂」でアルバイトをしている。

    長年知っていても人は見かけどおりではなく、長く一緒に働いてきた人や、家族でさえも、心の底には言えない思いを秘めていたり、言えないこと、分ってもらえないことに苦しんでいたりする…
    今回はそんなお話が多かった気がします。



    第1話 誰かが知ってる
    山賀さんみたいに、ガンガン、自分の主張を押してきてはばからない人って苦手だな…
    『女生徒』は読みましたが、その話が入っている短編集ではなかったです。今度読んでみたい。

    第2話 書店の森。
    史弥の父の会社「知海書房」で長年働く、二茅(にがや)さん。
    彼女はかつて個人書店の娘だった。
    因縁か、思い出か…『ノルウェイの森』
    この話が一番好きです。

    第3話 自分の歳月くらい
    わかりやすいオタクぶりの描写がおもしろすぎて。
    誰も、面倒くさい3次元にうんざりしながら…それでも生きているのです。
    良い話。

    第4話 カイさん
    両親の離婚と、娘の将来。
    家族それぞれの行く先。

    他の家族を見て、史弥は何度も母が変わった生い立ちと、自分の家族の姿に思いをはせる。
    「金曜堂」で働くようになる前は、ずっと目を背けてきたことだ。

    倉井くんは「知海書房」を……
    私も気になります。

  • 『金曜日の本屋さん』シリーズ第三弾。
    今回は主人公倉井史弥の父の昔話も出てきて一途で控えめな愛のお話しもありました。
    そして史弥の就活問題も重みを増してきます。
    シリーズも次で終わりなのでこの後が楽しみです。

  • 現在刊行している本屋さんシリーズものは数多いが、その中でも一番好きなシリーズ。今作も( ̄▽ ̄)b グッ!
    あらすじ(背表紙より)
    小さな駅ナカ書店“金曜堂”。名物店長の南、金髪のオーナー・ヤスさん、喫茶担当イケメン栖川、そして年上の南に想いを寄せる学生アルバイト・倉井の四人が働く店には、様々な想いを抱き「いまの自分にぴったりの一冊」を求める客が訪れる。ある日、倉井に大学内で話しかけてきた女子学生たちが、ひょんなことから一日だけ“金曜堂”を手伝うことに。けれども、同じ同好会だというふたりの仲は、どう見てもぎくしゃくしていて…。温かな感動を呼ぶ人と本との出会いの物語、シリーズ第三弾。

  • 大きな事件もなく淡々と進む日常の一コマ。今回は今一つ感情移入できず、なんとなく義務的に読んでしまいました。面白さを感じる部分はありましたが、次に進むべきか悩みます。もうちょっと倉井くんの成長物語になっていれば良いのにと思ってしまう。

  • 体調不良のせいかななめ読み。短編集のゲスト⁇にはほとんど共感出来ず…

  • 人それぞれ異文化コミュニケーションってわかってはいるつもりだけど、学園祭にブックカフェの彼女達にちょっとイラッとしてしまった。
    ハルさん、一度読んだけど、また読み返してみよう。

  • 倉井くんの家族への思い。
    「家族って、そんなにいいものですか?」
    分かる。
    世間一般では、家族は大切にしなさいとか、色々言うし、それを否定もしない。そういう感情をもつことが当然の風潮がある。
    でも、それぞれの在り方でいいんだよ、と言っている今作。
    「ハルさん」の家族もだけど、お手伝い券の家族の方がよりそれを感じたな。
    サブタイトル「秋とポタージュ」うーん、なるほど!

    「ノルウェイの森」は、大人の恋愛…とは少し違うか?深い深い絆。家族になる以外にも繋がることはあるよね。

    次巻で完結!
    二人の恋の行方は?就職は?生みの親との関係は?
    「金曜堂でやっていきます!」も、「離れていても本で繋がっています」も、どちらもありそう。
    ヤスさんの恋路も気になるところ。

  • 【収録作品】第1話 誰かが知ってる/第2話 書店の森/第3話 自分の歳月くらい/第4話 カイさん

  • 小さな駅ナカ書店“金曜堂”。名物店長の南、金髪のオーナー・ヤスさん、喫茶担当イケメン栖川、そして年上の南に想いを寄せる学生アルバイト・倉井の四人が働く店には、様々な想いを抱き「いまの自分にぴったりの一冊」を求める客が訪れる。ある日、倉井に大学内で話しかけてきた女子学生たちが、ひょんなことから一日だけ“金曜堂”を手伝うことに。けれども、同じ同好会だというふたりの仲は、どう見てもぎくしゃくしていて…。温かな感動を呼ぶ人と本との出会いの物語、シリーズ第三弾。

    第4話「カイさん」が良かった。
    親も子どもも、お互いを大事に想っているのに、うまく表現できなくて、ヤキモキする葛藤。

    子どもの頃は、親は完璧な人だと思っていたけど、そんなことはない。苦手なことや不器用なところもある、普通の人だと、自分が親になってから気づく。

    カイさんと未都ちゃんと佐智恵さんが、これから親子としての思い出を、たくさん作れるといいなぁ。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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