今日のハチミツ、あしたの私 (ハルキ文庫 て 2-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442404

感想・レビュー・書評

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  • 内容もさることながら、ハチミツが凄く素敵に思えた。ハチミツは好きだけれど、わざわざ買うほどじゃないし、高いしとか思っていたけど、この作品読んだらハチミツが欲しくなった。

    「もし明日人生が終わるとしたら、きっとわたしは、喜ぶ。」
    そんな書き出してはじまり、早速引き込まれた。
    こんな言葉を言ってしまう状態の碧を救ってくれたのは、一瓶のハチミツ。

    ハチミツが結ぶ、碧の物語。

    彼氏と結婚するために朝埜という町までやってきた碧は、そこで色んな人と出会い、変わっていく。

    よくある話なのかもしれないけれど、凄く雰囲気も良くて好きな作品でした。

  • 冒頭のハチミツとの出会いから全編、甘くてふくよかで何に加えてもまろやかに美味しくなるハチミツが無性に恋しくなってしまう。ただ主人公含め、登場人物はみんな甘くない環境の下、人生を諦めそうになりながらも何とか居場所を求めて前に進んでいく。主人公の女性が、出会う人々を見た目の印象で判断することなく、思いっきり相手の懐に飛び込んでいく姿は自分の過去の辛い体験の裏返し。時には危なっかしく思えるが、決してその後の人生になくてはならない人との出会いにつながる。
    登場人物全員が生き生きとしていて、まるで映画のシーンを見ているように情景が広がる描写。
    楽しかった‼️

  • 自分の居場所を一から作り上げていく碧のお話

    すごくグッとくる文章があって、読書メモもしました!
    絶対読んだらここの文章だ!!って気づいてもらえると思います

    碧は一件人見知りのようだけど、やりたいことを見つけた時の行動力はすごいと思った

    好きなことを見つけられて、一生懸命生きていると、周りには人が集まってきて、孤独じゃなくなるんだな、輪が広がるんだなと教えてくれました

  • 寺地はるなさんにハマりそうな予感。

    (そうか、惑星マスコの人か、そうか)

    主人公の碧が、ドラマチックな面接を経て就いた仕事も辞め、住んでいた場所も引き払い、恋人である安西の地元にやってきて、さあ結婚して……の話なのかと思いきや、違った。驚いた。

    ロクでもない息子についてくるぐらいだから、ロクでもない女だ、という初手レッテル貼りの安西父に憎しみを覚え。
    そんな父の言い草に、何も言い返せないどころか碧に八つ当たりする安西にも、苛立ちを覚え。

    私のむしゃくしゃする感情を代弁して、何か物申して欲しいのに、どこかで碧は線を引いて、諦めているようにも見えた。

    そうして、自分の内に溜めていって、胃を痛めながらも、自分で自分を少し慈しもうとする。

    もっと世界が碧に優しくても良いと思うんだけど!
    というか、この小説って分かりやすく人が繋がっていかないんだよなぁ。

    ポツポツとした点が、点線で繋がっているような、なんか炙り出しでもしないと見えないような。
    なのに、ふとした描写や言葉で、あ、ここに線があったのね!って、すごくしっくりきて、面白い。

    そして、彼女は真面目に歪に自分と向き合って、点線を辿りながら歩を進めていく。

    わ。全然ハチミツのことに触れられなかったけど、ハチミツを使ったご飯もたくさん登場します(笑)
    とりあえず落ち込んで自暴自棄になったら、序章だけでも読んでみて。

  • この作品に出てくる登場人物は皆生きた「人間」だと思った。
    漫画や映画のキャラクターじゃなくて、人間。何度も間違えるし、かっこ悪いし、日々苦しんでる。笑っている他人を見て、「いいよな、気楽で」なんて思ってしまうこともあるだろう。
    聖人君子のような人物はここにはいないが、私はこの作品に出てくる人々が好きだ。愛しい、とさえ思った。己の答えが正しいかなんて一生分からないけれど、そんな正しさなんてものよりも大事なことがある、と思いたい。

  • 前から書店で見かけていて、気になっていた。気になっていた分、期待が大きすぎたかも。ハードルが高いとどうしても評価が低くなる(苦笑)
    学校でいじめにあっていた碧。母は年の離れた弟の世話で手一杯。明日死んでもいいとさえ思っていたところにはちみつをくれた人がいた。それから10数年経って、恋人の安西とともに安西の実家へ。安西父の傲慢な振る舞いに碧と一緒に腹を立てたが、その後の碧の奮起にああっぱれ。安西を腫れ物を触るような扱いをしていたのはよくなかったが、安西が知らない土地でうまくやる碧を妬ましく思うのはわからなくもない。それがやる気につながればよかったのだけれど。
    明日死ぬとしたらどう思う?自分もそれでもいいと思っていたころもあったな。

  • 前半は、落ち込むとこまで落ち込んで、幸せになれるのか、と思ったけど、芯は強いなーと、前向きにいこうとするのが、素敵でした。
    いつでも、食を大事にしてて、美味しそうで、よかった。

  • 「もし明日人生が終わるとしたら、きっとわたしは、喜ぶ」冒頭の一文。碧の生きづらさが伝わってきた。
    そんな碧に、ひと匙の蜂蜜を差し出した母子…人生の転機となる。

    人の体は食べたものでできている、私自身がいつも考えていることが、本書のテーマのひとつと繋がった。
    養蜂の仕事とミツバチが一生をかけて集めたひと匙分の蜂蜜の話にも惹きつけられた。蜂蜜好きの私にはたまらない。

    碧の人への配慮と強さが、自分の居場所を自然と作るのだろう。

    寺地はるな氏2冊目の本書にも、会話を「」で閉じた前後にも会話が存在する文体を、ここでも発見!

  • あなた自身が、あなたを大事にしてないから。
    あなたがあなたを嫌っているから。
    だから、周りの人はみんな、ますますあなたを大事にしないし、嫌いになる。
    こいつはそういうふうに扱ってもいいんだって思われてしまう。

    学校に行ったり、会社に行ったり、そうでなくても何らかの人間関係に放りこまれて生きているのだから、誰しもそれなりの重圧を受けているだろう。

    ずるくないから、正しいからそうするじゃないと思う。
    碧がどうしたいかだと思う。
    碧がどこへ行きたいかが大事。

    笑ってる人はみんな気楽って発想、幼稚すぎるよ。

  • 蜜蜂やハチミツのことをもっと知りたいと思った。
    宮下奈都さんの解説も良かった。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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