それからはス-プのことばかり考えて暮らした

著者 :
  • 暮しの手帖社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766001303

感想・レビュー・書評

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  • すごく読みやすくて、あったかくなる話。
    読んでるだけでおいしさを感じるし、出てくるみんなが優しい。ほっこりする。そしたなんだか懐かしい気持ちになった。

    スープとサンドイッチが食べたい。

  • 優しいお話し。サンドイッチやスープなどありふれたおいしさは、懐かしい記憶とくっついているのか。

    マダムと話していると、せっかくの秘密がほどけて何もかもがお見通しになってしまいそうだった。

    本当においしいものは言葉を探す必要もなく、喉を通過したときにはもう感嘆の声が出て、そして胃に収まる頃には、花が開くみたいに言葉が湧き起こってくる。

  • ここに登場するような人々ばかりなら、争いは起こらないだろうな。
    でも、行き違いは多そうだ。
    都会と田舎のコミュニケーションいいとこ取りってかんじのお話し。

  • 書店員さんからのすすめ。

    スープのことばかり考えるというなんともほっこりしたタイトル。
    サンドイッチやさんだとか、月船シネマとかてできて思いやりのある人々。こういう世界で暮らしたい。
    大人のなかの子供。

  • よかった。まさにスープの後味みたいな読後感。ちょっとふしぎな、でもどこかで起こってそうなお話。映画館の「月舟シネマ」とか、サンドイッチ屋さんの「トロワ」とか、名前のつけかたが洒落てる。
    電話じゃ言えないこと、や、主人公の遠距離恋愛…、言葉どおりだけど、言葉どおりじゃないことの、ちょっとした仕掛けの回収がくせになる感じがします。

    電車やバスのなかで1話ずつすすめていく読み方がおすすめです。

  • 不思議な居心地の良さのある1冊。
    おとぎ話のようななんだかそんな夢見心地な。
    食べること、サンドウィッチを通して日々の暮らしを描く。
    読んでいながら五臓六腑に沁みわたるような。
    こうやって暮らしを丁寧に描く本は心の栄養剤になる。

    H18年 暮らしの手帖社
    イラスト:佃仁美
    装幀:吉田浩美・吉田篤弘
    題字:二井康雄

  • 茶色の紙袋に白いインクで数字の「3」がひとつ刷ってある。
    学生時代に通っていた映画館まで一駅の町に越してきた失業中の僕は、すれ違う人々が持っているその紙袋の中身がサンドイッチと知る。
    やがて、その店「トロゥ」で働くことになり……。
    月舟町シリーズの第2弾。

    2015年12月30日読了。
    吉田さんの著作の中で一番好きな作品がこれ。
    何度目の読み返しになるのかな。自分でも分かりません。
    読んでいるうちに、心の中が静かに凪いでくる感じがとても好き。やっぱり素敵な物語です。
    そして。読んでいるとお腹が空いてきます(^^;;

  • みんな品が良くて、どこか抜けていて、温かい人物描写。この人の書く本のそんなところが好きなんです。慌ただしい毎日でため息をつくことすら忘れちゃってる大人とか、自分の生き方に嫌になってしまった人に読んでほしい。だって、映画の中の脇役に恋をして失業中にも電車に飛び乗ってしまうようなオーリィ君でも決して間違いじゃないって思わせてくれるから。そんな風なら私ももっと自由に生きていいじゃんという気持ちになれるのです。

  • 「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘◆町に引っ越してきた青年は、サンドイッチ屋「トロワ」の常連に。不器用だけど優しいトロワの店主や、おいしそうなサンドイッチ…なんとも言えない旨味のある作品です。早起きした休日のような、ゆったりと心地良い時間が流れています。

  • 『つむじ風食堂の夜』の舞台、月舟町が隣にある町の話。月舟町は作者が実際に住んでいた町をモデルにしているらしいので、この本も、原型となる作者の実際の体験はあるんだろうけど、どうも現実感がない。でもその現実感のない感じがくせになるというか、ちょっと疲れると読みたくなる。現実感はないけど、改めて文字にされるとほっとするようなことに焦点が当たっているみたいな。例えばなくなったお母さんの時計のねじを巻き続ける少年。それを知らなかった父親。図書館で借りたけども、文庫になってるようだし、古本屋で買おうか迷い中。//*引用*「気づく」というのが症状のあらわれで、何かに「気づく」ということは、つまり、それまでぼんやりして気づかなかったということだ。/どんな職種であれ、それが仕事と呼ばれるものであれば、それはいつでも人の笑顔を目指している。そう考えてみれば、サンドイッチやスープを作って手渡すことは、何人もの笑顔を最前列で見られる貴重な仕事のひとつかもしれなかった。もちろんそんな単純なことだけではないし、いつでも返ってくるのが笑顔とは限らず、笑顔がなければ時には不安にもなって、不安もまた最前列で味わうことになる。(略)考えないようにしようと思っても、つい考えてしまうのが不安の厄介なところで、つまり僕は、考えるべきことについてはぼんやりし、考えないようにしようと思ったことばかり考えている。/この「驚く」というのが最近の発見で、何ごとにせよ「素晴らしい」よりも「おいしい」よりも、出来れば「驚いた」と誰かに言わせたかった。/「あのね、恋人なんてものは、いざというとき、ぜんぜん役に立たないことがあるの。これは本当に。でも、おいしいスープのつくり方を知っていると、どんなときでも同じようにおいしかった。これがわたしの見つけた本当の本当のこと。だから、何よりレシピに忠実につくることが大切なんです。」/(「幸運」の使い方。ちびちび使う。)となると、僕はその「ちょっとした不運」を毎日こつこつローンのように支払っているわけで、ということは、いずれ僕にも、どしんと大きな「まいったなあ」が訪れるのかもしれないし、それとも気づかぬうちに「ちょっとした幸運」を、日々、ゆるやかに味わっているのかもしれない。//13.6.30~7.2

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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