- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766001716
作品紹介・あらすじ
NHK教育テレビ「ピタゴラスイッチ」や「2355/0655」を世に送り出し、東京藝術大学で教鞭をとる筆者が、日々の暮らしの中で、心の網にかかった物事を独自の学殖と考察で紐解いてゆく。
感想・レビュー・書評
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こういうモノの見方ができるアタマの柔らかさと、常識にとらわれない感性を持っていたいなあ、と強く思います。
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現代人は忙しい、といいます。本当に忙しい人もいるけど、"考えてる暇はない"ほど、そうなんでしょうか?
著者の佐藤さんだって忙しいはずですが、彼は考えています。考える楽しさを教えてくれます。
文体は、"硬派"な学術的な感じと"軟派"な(?)エンタメ的な感じがあって変化に富んでいます。くすり、と微笑みながら読めるところもある。「シラク・ド・ウチョテ」のような童話みたいなものもあります。
また、佐藤さんのバックグラウンドに故郷の伊豆半島があることも分かります。最終篇に、東日本大震災に遭われた時の事が書かれていますが、その時思い出されたのが故郷の歴史だったのが、佐藤さん自身、巡り合わせみたいなものを感じたのでしょうか。 -
天才。学ぶことが面白いということをこれ以上上手く伝えられる人を他に知らない。文章までセンスが良くて惚れ惚れする。ピタゴラスイッチのようなちゃんと仕組みのある文章の構成が大好きです。
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ピタゴラスイッチでおなじみの佐藤雅彦氏の「暮らしの手帖」掲載の連載を単行本化した一冊。
氏の書く文章はいつも新鮮な視点を与えてくれるだけに期待して手に取りました。ただ個人的には普段感じている氏の文章の魅力がちょっと薄れているように思う部分がありました。連載している雑誌のターゲットとなる読者層によるものか、自分自身が十分感じ取れていないだけなのか…。 -
考えたことを自分なりに整頓して、そこからルールを見つけたり、新しい気付きを得たりする楽しさを、読みながら体感できた。自分の周りにも、気づいていないだけでたくさん面白い要素が転がっているのではないか…?「これはなんだろう?どうしてだろう?」と疑問を持つ、その答えを自分なりに考え、(なんとなく、ではなく)言語化し、整頓する。今すぐにでも習慣化していきたい。簡潔な言葉で綴られた文章には、ところどころ佐藤雅彦さんの人柄、大切にしていることが垣間見られて、暖かく、綺麗だと感じた。自分も、体温のある文章を書きたいなぁ。
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「混沌とした日々の中できらめく、気づきと思索」
―― 帯に書かれたこの言葉が、まさにぴったりな佐藤雅彦の考察集。
雑誌「暮らしの手帖」に連載されていた記事をまとめて1冊にしています。毎号、連載を追っかける必要がないのは助かるのだけど、佐藤雅彦のエッセイの面白さって、雑誌や新聞のページをめくって「あった!」と見つけて読む行為そのものに、醍醐味があるのかも!と改めて発見。
昔、毎日新聞で連載していた「毎月新聞」しかり、今はなき「オリーブ」の「プチ哲学」しかり。
それはふと散歩に来た川の流れの中に、キラっと光る小石を見つけるみたいな、本来の目的とは違う寄り道みたいな、不意打ちで、はっと意表をつかれる真理に出会う楽しみみたいな。新聞や雑誌の1ページに載る短いワンテーマのコラムは、膨大な情報量の中に打たれた、一本のくさびのようだった。それは佐藤雅彦が繰り返し書いている「気づき、発見のオドロキ、ヨロコビ」にすごく合っていたのだと思う。 -
ピタゴラスイッチでおなじみ、佐藤雅彦先生が暮しの手帖で連載していたエッセイを1冊にまとめたのが本書。
こんな風に考える方だからピタゴラ装置みたいなおもしろいものが生まれるんだな、と納得させられました。
特に興味深く読んだのは下記のエッセイです。
「敵か味方か」
人は本能的に相手が敵か味方かを見極めようとする、というのは自分の経験と照らし合わせて納得。
意識的に敵と味方に分けているわけではありませんが、後から振り返ると結果的にそうなってるのですよね。
「~と、オルゴールは思い込み」
開閉式のオルゴールは蓋の突起で聴く人の有無を判断する。
佐藤先生が幼いころにその仕組みを発見したエピソードは、身近なおもちゃで似たようなことをしたなぁと思いました。
本当はちがうのに「そうだと思い込んで」動く機械は、いたずら心をくすぐられつつ愛着も感じたものです。
「中田のスルーパスと芦雪」
なにもしないこと・なにもないことが眩しい。
「ふるいの実験」
佐藤先生の遊び心がつまった1編。
ルールに従えば途中で読むことを止めなければならなかったのですが、こっそりルールを破って最後まで読んでしまいました。
ちょっとの罪悪感もありつつ、いたずらをしている最中のどきどきを感じながら、楽しく読みました。