- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778310264
感想・レビュー・書評
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読後、自分の祖父母のことを考えずにはいられなかった。今まで(自分も含め)戦後の人間が戦争について批評するとき、どこか他人事のように思っている気がしていた。でも自分たちの祖父母のことは、他人事だと思いたくない。そんな意識を強めてくれた本だった。
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戦争の恐ろしさ、特攻の恐ろしさ、戦争を知らない人間が簡単には口にしてはいけない恐ろしさ。しかし、戦時中を生きた人々の強い想いを感じることができた。宮部さん、この方ほど強い人間がいるのか。どんな時代でも、愛するもの守りたいものの為には命を懸けてでも。本当に強い人間だからこそ口にできる言葉。今の自分がどれだけ恵まれた生活を送っているのか、多少の問題、そこに立ちはだかる壁にいちいち止まってはいられない。時代は変わった、しかし同じ人間として強い心、優しい心だけは絶対に持ち続けて生きたい。
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いい話ですし面白いとは思います、思うんですがそこまで凄い作品かなというところが。言ってはなんですが、「戦時中に生きることの事の方が大切だ」と主張し、異彩を放った凄腕パイロット、ってのは戦闘機乗りとしての実力云々はともかく、感動モノで戦争モノのお話にゃありがちというか。季節になるとよくやる戦争をテーマにした2時間ドラマにはよくありそうというか、うーん。
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知人が絶賛して進めたので読んでみました。予想していた範囲の内容でまあまあでした。
主人公の祖父が終戦を迎える一週間前に戦死した。何故、家族の為に生きて帰ることに執着した祖父が特攻部隊に加わったのか。主人公が祖父はどんな人だったのかを調べる話。
やはり戦争体験者みずからの文章と、体験者からの伝聞の文章との違いを考えてしまう。世に多くの戦争体験者の方々の本が出版されている。体験者達の文章は、どんなに辛く厳しい戦時中でさえも、不思議な強さと明るさ、ユニークさが現れて、人間の人間らしさがにじみ出ている。
ところが、非戦争体験者が描く文章は、ただただ悲惨さを訴えるだけ。人の逞しさ、本当の強さ、国の為に死ぬ覚悟ができていても人としての本能は生きようとする行動をとってしまうこと等がやっぱり表現できない。
そういう意味で、良い小説でしたが、やっぱり戦争を知らない人が描いた文章だということで、表面ごとばかりという印象でした。
ただ、戦争について知らない人達にとっては、興味を持つとっかかりになるという面で、ヒットして良かったなと思う。 -
日本人はよく平和ボケしていると言われるが、
こういう時代があったのだなと考えさせられた。
終戦して60年…決して風化させてはいけないし、
当時の方々の体験談を聞くことができるのは
本当に貴重なことである。
残念ながら先日もアルジェリアで優秀な日本が誇る企業戦士が武力によって尊い命を奪われた。
どうか一日も早く世界が平和になることを願いたい。 -
この作家さん、文章があまりうまくないような…
ホント私的な意見ですけど、モンスター読んだ時もそう思ったんだよなぁ。
作品のテーマは悪くないのに。
語られる回顧話も、どっかの資料の引用っぽいし。
主人公の男子の存在感が薄い。
あと、高山氏の人柄がダメすぎる。
ラストも妙にファンタジーチックで都合よく落ちが付いて…
とはいえ涙しそうになったシーンもあったんですけどね。 -
テーマがテーマだから当然だけど、重い一冊。
祖父に戦争の話を聞きたくなったけれど、遅すぎた。とても残念。
素晴らしかった。人に薦めたい。-
macamiさん、こんにちは。私もこの本をとても素晴らしいと思っています。重すぎて、なかなか二度読みはできませんけれど、いまだに思い出しては...macamiさん、こんにちは。私もこの本をとても素晴らしいと思っています。重すぎて、なかなか二度読みはできませんけれど、いまだに思い出しては涙する作品です。
私の、昔に書いたレビューを発掘して、いいね、を下さってありがとうございます。2013/01/28 -
♪ayacoo80000さん
こんにちは。たしかにこの本はなかなか二度読みはできませんよね。。。
ラストでわかる祖父の過去が、どうして「祖父...♪ayacoo80000さん
こんにちは。たしかにこの本はなかなか二度読みはできませんよね。。。
ラストでわかる祖父の過去が、どうして「祖父」となったのかが衝撃でした。
以前に書かれたレビューも、たのしみに読ませていただいてます。2013/01/30
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感動した!
物語は主人公の祖母には今の夫、つまり祖父と結婚する前に特攻で亡くなった違う夫がいて主人公は前の夫の血を引いてる事がわかり、その本当の祖父に関する事を姉と共に調べる。というところから始まる。
本当の祖父が実は天才的な零戦乗りであり、生きることに執着していたということがわかる。
まず、この小説の面白いところはこの本当の祖父である宮部久蔵の人間像だと思う。上官なのに部下にも敬語を使い、物腰も柔らかい。しかし、ひとたび零戦に乗り込むと抜群の腕前がありどんな過酷な状況でも生還する。
しかし、何よりも熱いのは零戦の搭乗員たちの様々生き様。極限の状況での戦い。そして、なぜ彼らは特攻できたのか?死へと赴く決意とは?彼らはなんのために死んだのか?
個人的に感動したのは井崎という宮部の部下だった男が終戦後、当時実際に戦場で戦ったアメリカ人パイロットと再会し、お互いを称え合っているシーン。それから、特攻隊員が特攻の前日に基地の外を散歩し、目に見えるすべてのものがいとおしく、何もかもが美しいと感じるシーンです。
これいる?と思ってしまう姉の結婚のエピソードや、文章の微妙さをふまえても面白く、感動できる小説であったと思います。