すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781670829

感想・レビュー・書評

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  • 非常ぉ~に購入しにくい本だったが、レビューなどを見ていると心惹かれるものがあり、結果、読んでよかった。

    わたしは「モテる」のか、「モテない」のか?
    そこんとこよくわからない。案外、作者に一番やっかいな人と指摘されている分類に入るのかもしれない、とか思いつつ読んでいた。

    なにはともあれ。後から加筆されたという「第5章 モテてみた後で考えたこと。」だけでも、この本を手に取った価値がある。

    <【モテるようになった男が恋する女に「愛するけれど、お前が愛されたいように愛してあげることは、しないよ」とダブルバインドをかける】のは、つまり【自分のほうは、変わる気がない】ということだ。それだと相手だけじゃなく、なにより自分が苦しくなるのだ。>

    胸に刺さる。
    作者の口からエーリッヒ・フロムの名が出てくることからも、この本はレビュー通り至極まじめな哲学を扱った本である、と僕は了解した。

  • 「なぜモテないかというと、それは、あなたがキモチワルイからでしょう。」ズバッと断言するなぁwこれ読んだからモテるって訳では無いけど、「なるほど」と頷ける箇所もある。打ちのめされてから持ち上げられるって感覚かな。さてモテるかどーか。

  • タイトルや見た目以上に深い内容

  • 安易なハウツーもののようなタイトルですが、巻末に収められている著者との対談で國分功一郎が述べているように、本書はまさしくその本質において倫理の書です。

    著者が説いていることをごく簡単にまとめてしまうならば、自分自身の「モテたい」という気持ちをしっかりと見つめ、自分の「キモチワルさ」を謙虚に考えなおし、そのことを通して「自分の居場所」がどこにあるのかを知ることが、「モテる」ためには重要だということになるかと思います。しかも、そうしてモテるようになったところで、著者自身がそうであったように心が苦しくなるというのですから、モテるための手っ取り早いハウツー本を求めている人にとっては、まったく何の役にも立たない本なのかもしれません。けっきょく、それでも自分は「モテたい」のか、そしてもし「モテたい」のであれば、それはなぜなのか、と著者はどこまでも読者に考えることを要求し続けます。

    恋愛において独りよがりに陥ることの愚かさを指摘するような言葉は多く見られますし、ときには哲学的な他者論とリンクさせながらそうした問題に取り組んでいる論者も少なくないのですが、本書はそこからさらに一頭地抜きん出ているように思います。初めて本書を読んだとき、晩年のフーコーが取り組んでいた「自己の技法」という問題系を理解するための手がかりを得たような気になったことを今でもよく覚えています。

  • 面白かった

  • 暇と退屈の倫理学の國分さんとの対談が面白かった
    ★「モテる」というのは敷居の低い人間である。他人から見て簡単に近づきやすい人であるとモテる。相手と同じ土俵に乗れる人。対話できる人。
    ★モテるという事は他人の心にあいた穴を刺激できる人になるという事。
    ★自意識過剰だからモテない。
    ★「暗くなる」という事は考えが堂々巡りしている、という事。ちゃんと考えればとりあえず結論が出る。
    ★あなたにできることであなたが普段やっている事であなたが1番好きな事は何か?自分でも生き生きしていると思える事は?どんな事が好きか=あなたとは何者かという事。
    ★臆病さの原因は頭が悪いせい。頭が悪いとは頭が固い事。自分を守ろうとしているから。
    ★女性的感覚とは「好意を持っている相手から自分に向けられる興奮の信号」を好む。
    ★人がモテたいと思うのは、他人からあなたはそんなに気持ち悪くないよと保証して貰いたいから。

  • 「誰かに気持ち悪くない」と言われたい。誰しもが持っている「他者から承認される」ことをこのように端的に表現していた。how to本ではなく、「あなた自身が考えなさい」という本です。

  • <メモ>
    「なぜあなたは愛してくれない人を好きになるのか」とつながってる。20年前の本なのに、今でも「キモチワルクナイ」本。上野千鶴子の解説も面白い。

    1.どんなふうにモテたいのか?
    ・なぜモテたいのか?

    2.恋愛する前に何とかしておいた方がよいこと
    ・コンプレックスと付き合う
    ・自分が何が好きで、その理由も認識してる方がモテやすい
    →自分で選んだ自分の居場所があるか?逃避じゃなく。
    居場所といいうのは、あなたが一人っきりでいても寂しくない場所。

    3.どこで出会うのか。誰と出会うのか。
    ・女の子のいる店で練習
    ・ソーシャルネットワークのオフ会

    4.どうやって「恋愛」するのか
    ・男は【自分の中の女】と似たところのある女性を好きになる
    ・あなたの中の【女】は必ずお母さんの影響を受けている
    ・あなたと【彼女の中の男】が似ていて、【あなたの中の女】と彼女も似ているということでなければ恋愛は成立しない
    ・【自分の中の女】がどんな女なのか、理解してあげる→自分自身を知るために
    →自分の中の女が素直な性格になってくると、現実の女性のいいところが、顔やスタイルだけじゃなくて、たくさん見えるようになってくる

  • ネタバレ 2012年(底本1997年)刊行。タイトルのような内容を期待すると少々肩透かし。人間関係一般にも妥当するというだけでなく、本書の肝は人間関係構築の上で、自らの行動・思考に向き合うことの重要性を説く点。が、男女関係にあえて即せば、①モテる状況とは、個人的には如何な状況か(多くは自己承認欲求の充足。SEXを受け入れられるのがその典型)を自覚する。②そこに至るまでに、バカを直し、臆病を克服。バカも臆病も自意識過剰が要因であることが多い、過剰な自意識に気付いていないのが前者で、外形的には謙虚でない行動が多い。
    中でも、謙虚さの裏に潜む「上から目線」はタチが悪い。そして、状況如何(例えば男女関係のみで妥当)でバカになってしまう場合を含む。後者は、自分の領域(一人でいても大丈夫な状況)を持つことでかなり解消されるらしい。③キャバクラで女の子を傾聴できる場数を、ボディタッチ許容の風俗にて、キモチワルがられず、痛がられない作法の訓練を。④なお、傾聴は評価を伴うと否定的に見られる(これは実感。逆に傾聴されていないと感じたこともある)。⑤自分の領域に近しいグループと対話に挑戦だが、ここでも謙虚さと相手の話を引き出すなど。
    ⑥自分の中の性格の多面性(戦隊シリーズの各メンバーの性格に準えるのは上手い)を切り取って、女性との関係性を試す。熱血漢・ニヒル/クール・少年・気のおけない・異性が典型。⑦その中で、自分の中の異性の部分(異性親の影響が強いらしいが、好みの異性とも整合性あるよう)から見て、キモチわるくない異性へのアプローチを勧奨。③以降はよく言われるが、それが必要な理由を丁寧に述べた点が、本書の素晴らしいところ。また、⑥⑦も、上手いなぁと感じさせた。少なくとも人間関係論のノウハウ本の中で、確かに、興味深い一書かな、と。

  • 書店気になって手にとってみた本だけど、巷に溢れていそうな恋愛ハウツー本とは違いそうな気配だった。いざ購入して読んでみると、モテない理由について語りかけてくるものだった。なぜあなたはもてないのか、それはあなたがキモチワルイからでしょう。
    相手と同じ土俵に乗ること。自分の居場所を見つけること。それが自信につながるから。自分の居場所を他人にエラソーにひけらかさないこと。
    他人良く思われたい、もてたい、誰もが想うその気持ちに対して、あなたにとってもてたいとはどういうことという風に疑問を投げかけてくれる。
    対話式、考えるきっかけづくりになる。

    こんなことをつらつら書いている自分がまたキモチワルイんだなと。

    最後の対談にあったが『暇と退屈の倫理学』も時間があったら読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

アダルトビデオ監督。女性の欲望・受け身の男性・同性愛や異性装をテーマに「痴女」「レズ」「男の娘(おとこのこ)」などのジャンルで革新的な演出を創案。ソフト・オン・デマンドの若手監督エロ教育顧問も務める。近年は文筆家として活動の場を広げており、著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(共にイースト・プレス)、『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』(KADOKAWA)、共著に『どうすれば愛しあえるの:幸せな性愛のヒント』(ベストセラーズ)、『欲望会議「超」ポリコレ宣言』(KADOKAWA)などがある。

「2019年 『あなたの恋がでてくる映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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