脱出記: シベリアからインドまで歩いた男たち

  • フリュー
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789726306

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  • 世界大戦時、謂れのないスパイ容疑でロシア人に捕らえられ、想像を絶する拷問を受けた上に、受刑者としてシベリアの収容所に向かわされたポーランド人の著者が、数名の仲間と共に脱走をし、シベリアからインドまでを歩き通した実話を口述し記録した作品だ。
    拷問の陰惨さは読んでいる方が心がくじけてしまいそうなほどで、シベリアへ強制連行されるくだりの、尊厳を踏み砕かれるような扱われ方は胸が塞がれる。
    逃亡を始めてからも、酷寒のシベリア、灼熱のゴビ砂漠、峻険なるヒマラヤと、次々に苦難は続く。
    それでもささやかな触れ合いに喜びを見出だし、ひたすら前進する姿は、厳しさの中にも心を打つ素晴らしさがあり、はっとさせられる。
    もちろん、実際の道程は私の想像など及ばないほど凄まじく、あえて語られない諍いや辛苦もあったろうと思う。
    自分のアイデンティティが勝手に罪となり否定され虐げられた思いについて、著者はあまり多くを語らないが、その絶望はどれほどだったろう。
    彼らの道のりはまさに山あり川あり砂漠ありで、下手なフィクションよりもずっと起伏に富んでいて、真面目に考えさせられるだけでなく、計り知れない気力と運に支えられた冒険譚としても惹きこまれた。

  • ポーランド兵士のソ連収容所からの脱出逃走記。…おっもいけれども一読の価値ありと思います。

  • 人間の生きようとする力の凄さに圧倒される。極寒のシベリアから灼熱のゴビ砂漠、そしてヒマラヤ越え・・・それを水も食料も持たずに。人は、何があっても必死に前を向き生きようとしていかなければいけないのだなと感じた。

  • 第二次世界大戦時、ポーランド軍中尉だった著者はスパイ容疑でソ連秘密警察に不当逮捕され懲役25年の刑に処され、シベリアの強制収容所に送られることに。
    極寒の上過酷な収容所生活に耐え切れず、6人の仲間で脱獄を決行し見事成功するが、その前途には想像を絶する自然の猛威が待ち受けていた…。
    シベリアからモンゴル、ゴビ砂漠、チベット、ヒマラヤ山脈を経て インドまで6500kmを極限状態の中、一年かけて踏破したというとんでもないノンフィクション。

  • 事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、収容所から脱走した6人が出会う試練は想像も付かないものばかり。
    彼らは謂れのない罪を押し付けられ、拷問や尋問を繰り返されて、収容所に流される。それでもめげずに脱走し、シベリアからインドまで徒歩で歩き続ける様子には絶句する。
    そしてインドに到着後、彼らを待ち受けている後遺症を読んだときには号泣してしまった。
    すごいサバイバルー!!

  • フィクションだとやり過ぎだと思われるぐらい過酷な状況が続きます。ノンフィクションだからこそ出来る展開で非常に面白かったです。

  • 脱出までが長いが、その先は一気.本当なのかとも思ってしまうが.

  • どんなに優れたフィクションも、壮絶なノンフィクションには勝てません。

  • 1941年、無実の罪で捕まった7人の囚人たちが、シベリアの流刑地から徒歩でゴビ砂漠を横断し、ヒマラヤを越えてインドに到達するまでの物語。とにかく、これでもかってくらいに厳しい自然の描写が連続するが、こと人間については、特定の何人かを除いて、不思議なほど悪い人が出てこない。自由を目指して、何ヶ月も歩き続ける逃亡者たちの風貌は想像するだけでも恐ろしいのだが、彼らが道すがら奇跡的にも -ほとんど人が住んでいないところを歩いているので- 出会う人々はみな親切。昔の人はおおらかだったのか、昔の旅人とはそういうものだったからみんななれていたのか、それとも生き延びた筆者が覚えているのは残酷な自然と、これとは対照的な暖かい心だけだったのか。助けてくれたいろいろな人々に対する作者の感謝の気持ちが感じられます。

    原作『The Long Walk』は1956年に出版されていますが、なぜか今まで日本語には翻訳されていなかったようです。不思議。

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