眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794214782

感想・レビュー・書評

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  • 科学ドキュメンタリー。

  • カンブリア紀の大爆発とは種が増えたことではなく、生物の外観が多様化したことを指す。その原因は眼を持つ生物(三葉虫)が誕生したこと。それに食われないように装備や保護色、警告色、敵を認識するための眼を持つように他の生物が進化したため、短期間で進化が進んだ。この時期に眼が誕生した理由は地上が明るくなったから。待機や海水、宇宙空間の組成が変化して海中に光が届くようになったから。

  • 科学者さんの書く一般書を読んでいつも感じるのは其の情熱である。時としてそれは狂気に近くなるのではないか?自然も社会も脳の中にあるので、どこかで脳の中から出る行為が必要だと思った。脳に支配される身体を、如何にして脳の支配から開放するかが俺の課題かな?と…

    それが今はサーフィン

  • カンブリア期の生命の爆発的な多様性の増加を説明する新理論、ということかな?

    それは、「眼の誕生」によって、肉食動物の「食うか、食われるか」によって進化の圧力がかかったということではないかということ。

    言われてみれば、なんか当たり前の話しのような。

    真実って、そんなものかも。。。。

    それにしても、眼という精緻な気管が偶然の変異と自然淘汰の結果として、進化するというのは、ほんとすごいな〜と思う。

    でも、なんか生命には進化するなんらかの本質的な力があるんじゃないかという生気説とか、目的論的な進化論みたいなものを信じたくなる理由はよく分かる。

  • 2021/7/10 読み終わった
    カンブリア爆発が好きなので。カンブリア爆発とは、カンブリア紀という地質時代の一時期の地層から、それより古い時代の地層からは一切発見されていなかった生物の化石が大量に発見されたことから、カンブリア紀に生物の多様性が一斉に花開いたことを指す言葉。
    つまり、カンブリア紀以降の地層からはいくらでも化石が見つかるのに、それよりの時代(先カンブリア時代という)の地層からは化石が出てこない。これはどういうこと?を解明している。

    小説じゃないからネタバレすると、まず
    ①先カンブリア時代にも生物は多様であった。(カンブリア紀に生物の進化が急加速したのではない)
    ②食物連鎖もあった。ただし、捕食者は眼を持っていなかったため、捕食行動は受動的だった。イメージとしては、口を四六時中開けておいて、口の中に入ってきたものを食べる感じ。
    ②そのため、被捕食者は捕食者から身を守る必要性が低く、外骨格を進化させなかった。
    次に、カンブリア紀になって、
    ③捕食者が眼(光受容器とも言っている)を持った、つまり捕食が能動的になった。
    ④捕食から身を守るために、被捕食者が硬い外骨格を備えるようになった。
    ⑤そのため、外骨格が化石として残り、カンブリア紀の生物たちは現代の我々の知るところとなった。

    なるほどこういうカラクリだったのか…と納得したところ、この説は著者が提唱している新説であって、一般に広く認められている説では必ずしもないということも併せて知った。知らない単語とか生物名とか出てきたときに調べても、本書の説と関連する記述が一切なかったり、語彙自体が検索結果に無かったりした。時代の最先端の学説を読むってこういうことなんだなって、思った。

  • 光スイッチ説は納得できておもしろい。ただ、なんで三葉虫だけ?三葉虫がほんとに始まりなのか?みたいな疑問は残った。機会があれば近年の研究も追いたい。

  • カンブリア爆発は生物が視力を獲得したことによって生じた
    強力な淘汰圧によるものであるという「光スイッチ説」を
    論じた本。中で触れられている通り、あまりに単純で誰もが
    思いつきそうなコロンブスの卵的な発想であり、専門家で
    あればあるほど諸手を挙げて賛成するのはためらわれると
    思われる説なのだが、確固たる反証が見つからなければ
    (見つかるとは思えないのだが)受け入れられるべき説だと
    思う。

    それとは別に興味深かったのは視力と光が特別だという話。
    光は常に降り注いでおり、生物はその淘汰から逃れられない
    (音や化学物質を出さなければ聴覚や嗅覚からは容易に逃れ
    ることが可能)というのは新しい視点だった。

  • カンブリア爆発とは
    わずか500万年の間に全ての動物門が複雑な外部形態を持つに至ったこと
    →柔らかい外面が硬くなった

    それは三葉虫が視覚を持ち出したから
    →光スイッチ説
     日光の増大で皮膚の一部が眼になった
     脳とのつながりは他の五感のものを併用して、進化

    なぜ視覚が外部形態を変えるに至ったのか?
    →視覚を獲得したことによって、三葉虫が能動的な捕食を始めたから
     他の動物に食われないために硬くなったり、トゲをもったり、擬態できるようになったり
    また他のものを食べるために武器を持ったりもした

    なんらかの説を唱えたい時
    まずは仮説を立て、それに沿う事実を集めていくことが必要

    今まで興味なかった生物の進化や身体的機能や仕組みに少し興味が湧いた

    つまりAIを眼とした時→
    機能があるだけでは意味ない(それは目があるが視覚がないと一緒)?
    今まであったものがAIにより変化する AIありきになる?
    それまでなかった需要が生まれる 

  • あの大進化が「なぜ」起こったか、について、
    周到にそろえた証拠を連綿と並べた上で、最後に自説を示している。
    まさに、もやもやとした状況が最後に「像を結ぶ」ようで面白い!

    全編にわたって、身近な今昔の証拠からそれの意味するところに
    したがって時を遡り、状況証拠をそろえていく、という順序が
    守られている。
    ただし中には、ある物証に対して、著者のストーリーに都合のよい
    側面だけを用いて論拠に当てているところも2,3箇所あった。
    また、状況証拠という性質上免れないのかもしれないが、この説の
    有力な論拠自身が自己矛盾あるいは反証となりうる、という側面には
    触れていないところが、まだまだ検証の余地のあるところだと思う。
    特に回折格子の捕食-被食関係における効果について。

    こういうまとまった科学読み物は、
    著者がストーリーの主導権を(当然)握っているので、敢えて反証や
    矛盾に敏感になって読んでみましたが、それでも論理における
    致命的な欠陥はないと思える、本当に面白い説だと思います。
    著者も窮した、
    「じゃあ眼はなぜ進化したのか」
    という問いは、
    「謎が謎を呼ぶ」という科学の醍醐味なのかもしれない。


    終盤で明らかにされる説を読むと、
    いくつかの関連する事例が頭をよぎります。
    それは、
    「人工衛星の軍事における意味」
    とか、宗教的な解釈ではないですが、
    「知恵の実がアダムとイヴに与えた影響」
    です。

    あと、個人的には
    「色彩は脳内以外の外界には存在しない」
    というのが、改めて興味深かった。
    これは、まったく意外なところで、ソーシャルワーカーにも役立つのではないか、と思える。

  • 5億4000万年前の進化の爆発がなぜ起こったか。
    光を視覚でとらえる眼の器官が三葉虫に最初に備わり、それまでは海の中をぼんやりと漂っていた生物の世界が視覚を得たことで、食う食われるの忙しい世界に変わり、身を守るため、子孫を残すために一気にいろいろな形や機能が備わり進化の爆発が起こった、とのこと。
    非常に綿密な科学的資料の説明で、正直、飛ばし読みだが、ポイントは分かったように思うし新鮮な内容だった。前文に、科学的専門的な内容を一般読者に読んでもらう文章にするためとても苦労した、とあるが、その工夫の部分はここだな〜とかわかりやすくて面白かった。著者にユーモアのセンスがあるのは確かで微笑ましい。
    内容は多分隙がなく素晴らしいのはわかるが、科学的説明を読み続ける根気と実力不足のため、私にとっての評価は3。

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