データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則
- 草思社 (2014年7月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220684
感想・レビュー・書評
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ラジオでおもしろそうに聞こえたので購入。
発送の着眼点はおもしろい。
ただその理論をどのように証明していくのかと思ったら
すごく浅いところで証明はおわり。
証明しようと自然のアナロジーを出せばだすほどうさんくさくなっていく。
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2014.12.31 イケダハヤトさんのブログより。
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人間の行動量には各々の個体差がある。
各々に定められた行動量を満たして一日が終了する。
活動的な人は動き回るが、デメリットとしてジッとする時間が少なくなってしまうので読書時間が少ない。べき乗とか。
会わない人とは時間が経過するとますます会う確率が減っていく。とか。
ウェアラブル端末で人間行動を計測すると、人間の自由意志を否定するような結果になった。前野隆司、ホモ・デウス系。 -
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とてもエキサイティングな本。ビッグデータがどうしたこうしたを横耳で聞き流している人間にとって、その意味が、最もわかりやすくワクワクする筆致で書いてあると思う。トンデモ本すれすれまで踏み込んで書かれているので誰にでも読みやすい。
[more]<blockquote>P24 起きている間は平均80回程度は腕が動いている。歩いているときには240回程度、逆にPCでWEB等を眺めているときは50回程度に落ちる。【中略】長い間記録を取り続ければ、人生をまるで絵巻物を見るように一望することができる。これを「ライフタペストリ」と呼んでいる。
P26 12人の被験者についてこのような腕の動きのデータを1日分以上を合わせて統計分布を取ると、一定の範囲できれいに直線に乗る。(U分布)
P29 被験者は自分の意思や思いで自由に自分の行動を決めていると考えている。それとこの普遍的なU分布とは相容れないのだ。
P36 一様な乱数によるランダムさ、というのは、実はとても均一な状態で、バラツキの少ない状態なのだ。U分布は偏りを許すもっと自由度の大きい状態なのである。
P39 我々は、一日の活動時間約900分を生きる中で、約7万回の腕の動きを、各1分1分に配分している。もしも我々の各時点での行動の種類がランダムに決まるとしたら、玉の配分は正規分布になるはずだ。その中心値は7万/900という平均値になる。しかし実際には、右肩下がりのまだら模様のU分布になった。この分布の本質はマス目間で玉のやり取りが繰り返されることだった。
P48 実は活動温度の高い人は、高い帯域の活動に嫌でも時間を使わざるをえない。従って原稿執筆のような低い帯域の仕事にあまり時間を使うことができないのだ。つまりこのような人は、長時間机に向かうことが難しくなる。逆に活動温度の低い人(即ち右肩下がりの分布図の傾きが急な人)は高い帯域の仕事をしようとしても、そのための活動予算が足りなくなりやすいのだ。【中略】活動予算を使いつくすと何が起きるのだろう。おそらく、それ以上その活動ができなくなる、やりたくなくなると推測される。
P53 実は、このエントロピーが増えた世界を「でたらめでランダムな世界」「死の世界」とみる見方には大きな誤解がある。【中略】イメージとしては、乱数で作ったような乱れた世界で「沈黙とノイズ」だけの世界、たとえるなら、かつてテレビがアナログ放送だった頃放送が終わった後に映った砂嵐、すなわちホワイトノイズだけの世界だ。しかしエントロピーが増えるとホワイトノイズの世界になるというのは単純に間違っている。 【中略】エントロピーとは、従来言われてきたような「乱雑さ」「でたらめさ」の尺度と理解するべきではなく、むしろ「自由さ」の尺度であると考えたほうがよい。宇宙は、時間が経つにつれてビッグバンで生まれた時のしがらみ(一様さ)から解放されてどんどん自由に偏りが許されるようになっていくわけだ。
P68 幸せは、およそ半分は遺伝的に決まっていることが明らかになった。残り半分は後天的な影響である。この後天的な部分をさらに分けると、驚くべき事が発見された。環境要因をすべて合わせても、幸せに対する影響は全体の10%に過ぎないのだ。【中略】それでは残りの40%は何だろう。それは日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方によるというのだ。特に自分から積極的に行動を起こしたかどうかが重要なのだ。自ら意図を以て何かを行うことで人は幸福感を得る。
P78 幸せは、加速度センサで測れる。「幸せな人の体はよく動く」という単純で共通の事実である。
P91 さらに重要な点は、この身体運動の活発度が、人から人へと伝染することだ。
P106 「多様か、統一か」言葉の上ではどちらか一方が正しく他方は間違っていると聞こえる。しかし300年前に戻れは月とリンゴは全く違うジャンルのものだった。月とリンゴには見かけの違いを超えて同じ運動法則が成り立っていたわけだ。異質でバラバラであることと統一的な法則に従うこととは矛盾しない。
P111 ひとことで言うと、最後に会ってからの時間(期間)が長くなると、ますます会いにくくなる(面会確立が下がる)ことが明らかになった。そしてそれはきれいな反比例の法則に従うのである。
P122 行動を続ければ続けるほどやめられなくなる、というドライブがかかる。これが人の自然な状態なのだ。これは、日常の言葉では、「集中している」「没頭している」という状態にあたるだろう。【中略】人の行動に関しては、制約を受けない自然な状態が「集中」と呼ばれている状態なのだ。(集中するためには「努力したり」「励んだり」することが必要だと思う人がいるかもしれないが)
P129 チャレンジが難しすぎてスキルが発揮しにくい状態を『心配』、チャレンジ度が低くスキルが発揮されている状態を『余裕』
、この両者のバランスが取れて目の前の行為に没頭する状態を『フロー』スキル発揮もチャレンジ度も低い状態を『無関心』と呼ぶ。
P136 我々の人生は、毎日が運との出会いの連続だ。【中略】我々は往々にして「偶然』と「必然』と言う対立する概念で物事を二分したくなる。偶然に左右される現象はコントロールできないこと、必然はコントロールできることと分類してしまう。そして必然をコントロールすることに力を注ぎ、偶然はコントロールできないとあきらめている。だがこの偶然の要素を伴う現象も、確率をコントロールすることは可能だ。偶然が生まれる現象の確立をあげることをはなからあきらめては、みすみす多くのチャンスを捨てているようなものだ。
P143 単純にコミュニケーションを取る知り合いの多い人が仕事がうまくいくかというと、そういう相関があるわけではなかった。単に顔が広いだけでは周りにあるかもしれない情報や能力を生かせないわけだ。実はこの仕事がうまくいく人は、共通して『到達度』が高かったのである。到達度とは、自分の知り合いの知り合いまで含めて何人の人にたどりつけるかであった。自分の持っていない情報や能力にアクセスできる力を提供化したもので『運の良さ』を表す指標になるかもしれない。
P147 リーダーのコミュニケーション相手やコミュニケーション時間を全く増やさずにリーダーの到達度を高める方法-組織のメンバー同士のつながり-メンバー間に「三角形」のつながりがおおいと、その組織の「リーダーの運」がよくなるのだ。
P151 「リーダー力」の高い組織では「現場力」が弱くなる、と心配する人が多い。ところが大量のデータから得られた結論は「リーダー力」の高い組織は「現場力」も高いということだ。
P154 人間に関する科学的・定量的なデータは、二者択一以外の道、即ち両者の統合と協調の道を我々に思い出させてくれる。定量的な計測データは、このような人間の認知の限界を超えて、現実の真実の姿を明らかにする。
P166 「建設」「追従」「懐疑」の中では、常に「建設」が望ましい。「建設」を100%にできるしそれを目指すべきだ、というのがカトーア教授のコミュニケーション理論である。【中略】「懐疑」は組織の力を弱める大きな病気である。一時的には、楽で無駄を避けられそうな気がするからだ。長期的には組織もその人をも蝕む。
P170 会話の双方効率が高まるのに重要なのは、真剣に両者が交わり合うことが必要な挑戦的な目標が設定されていることなのである。
P173 「運も実力のうち」という言葉がある。本章で述べてきたことを振り返ると、むしろ「運こそ実力そのもの」だ。
P179 多様で異質な人々の成果が、購買により互いに結び付いて社会に分配されてい行く。これほど重要な「ものを買う」という行為が、実は科学的にはよくわかっていない、というと意外かもしれない。
P187 顧客単価に影響がある意外な業績要因を人工知能Hは提示した。【中略】人間の専門家の実施した対策は店舗の売り上げにも顧客の行動にもほとんど影響を与えていないことが明らかになった。一方人工知能Hの成果は店全体の顧客単価が15%も向上したのである。【中略】人間には決してたてられない仮説を立てる能力が人工知能Hにはあるのである。
P190 いま、ビッグデータの活用に求められているのはむしろ「帰納」的な能力であり、これは従来コンピュータが不得意だったものだ。【中略】演繹と帰納の両者を備え、大量のデータから常に学ぶ新たなコンピュータは、複雑な問題解決や状況判断、経営判断に威力を発揮する。
P198 多変量解析は、人という統一された粒度でのデータを取り扱えばよかった。このためミクロとマクロのギャップを埋める必要がなかった。ビッグデータの出現で、この10年にミクロとマクロの粒度の異なるデータを扱うことが必要になってきている。そこで自分たちで〇からビッグデータの分析技術自体を開発することにした。それが学習するマシンHである。
P201 ビッグデータで儲けるための三原則 ?向上すべき業績「アウトカム」を明確にする ?向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する ?仮説に頼らずコンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる
P204 データの中に何が潜んでいるのかわからないのに、わかったような仮説や成果の公算を言ってデータをもらうのは無理がある。堂々と「仮説はデータからコンピュータに作らせましょう」と公言できるようにしたい。
P206 学習するマシンの登場は、社会におけるサービスとその中での人間の役割を大きく変えると予想される。【中略】人間にしかできないことが3つ残る ?マシンは問題を設定することができない。人間は解くべき問題を明らかにし、マシンを活用して得られた判断を実行することが求められる ?目的が定量化可能で、これに関わるデータが大量にある問題にしか適用できない。目指すところがあいまいだったり定性的だったり、過去のデータがない状況でも前進することが求められる。このような状況で意思決定するのは人間の仕事である。 ?結果に責任を取らない。この責任を取ることこそ人間に固有の能力である。
P216 共感できたり積極的だったりするとその先に幸せが得られやすい、というのではない。共感できたり積極的に行動できたりすること自体が、人のハピネスの正体なのだ。
P229 多様な構成員の力を発揮させつつ全体の目的へ調和を取る21世紀型の組織システムを実現したい。このために、我々が組織運営のために当たり前だと思ってきたことの見直しも必要だ。「ホウレンソウ」に加え「マツタケ(巻き込み・つながり・助けあい)-個と全体とを統合して共通の視点を持てる組織であろうか</blockquote> -
なんかわからない
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最近、著者の講演を聞く機会があったため、著作も合わせて読んでみた。講演は人工知能に関する話が中心(著者は例のブランコを漕ぐ AI の中の人)だったので、加速度センサーの計測に基づく人間行動の分析と、ハピネスの研究については軽く触れられた程度。逆にこの本で詳細を学ぶことができたので、非常に良かった。日立が実施するというハピネス・プラネット企画にも参加してみたい。
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この本を読んでから自分の1日の時間を管理し把握するようになった。
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【2017年度「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
風間 俊治 先生の推薦図書です。
<推薦理由>
「運」や「幸」も科学できる?!
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