データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則
- 草思社 (2014年7月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220684
感想・レビュー・書評
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面白いし,納得感のある言説が多い。
人の行動はU分布で決まるのか!
エントロピーは「乱雑さ」「でたらめさ」の尺度ではなく,「自由さ」の尺度だったのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白いなぁ。人間行動におけるエネルギー保存則なんかは、「もうエネルギー残ってないからっ、ムリムリっ」って感じで思い出すようにしよう。
後半に行くほど大言壮語感がある。特に自分の情報を管理されるのは絶対に御免だよね。
妄想1:未来の世界では、「俺達はデータに頼らないよ」っていうアーミッシュみたいな集落ができる。
妄想2:向上すべきアウトカムに環境問題の改善を設定したら、「人類死すべき」的な回答が出てくる。
妄想3:向上すべきアウトカムに、政権の交代とかを設定するテロリスト的な輩が出てくる。 -
休憩時間の充実がチーム全体のパフォーマンス向上につながる、到達度が高いほど運の良さが上がる=チーム全体をつなげるほどチームの運営が良くなる、など参考になるとこもたくさん。
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力のある文章。行動変えそうな力
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請求記号 307/Y 58
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「万物を支配するエネルギー保存則は人間にも効く」
文化系トークラジオで絶賛されていたので購入。
これは科学本では久々に痺れた本でした。スモールワールド現象を紹介した本以来の痺れ具合でした。
日立の研究所が開発したウェアラブルセンサーを人間が身につけて生活し、そこから得られた膨大なデータをもとに本当に様々なことがわかりますよ。って内容で、現在はそのセンサーを用いたコンサルティングで収益を上げているそう。民間研究所はとてもアグレッシブ。
このセンサーは加速度を測ることができるらしく、人間の活動量をトラッキングできるらしい。で、すごいのがこの活動量から「幸せ」を定量化できるらしい、というか本書ではきちっと数値的根拠をだしてます。この本のおかげで、「できる人がやっている20の習慣」的な非科学的はハウツー本が全部行き場を失ってしまうんじゃないかと心配さえしてしまいます。
人間を取り巻いている議論や意見を単純化すると人間を構造的に捉えるか、実存的に捉えるかの対立として整理できますけど、それでもって夢は実現する系は人間を実存的に捉えてますけど、本書は構造的に捉えるスタンスです。
「私は幸せである」ではなく、「私は私によって幸せにさせられている」のです。 -
ウェアラブルセンサをつけて生活して得られたデータを解析することで見えてきたことが紹介されています。例えば、人の1日の時間の使い方には法則があり、その法則を外れて自分の意思で行動を変えることはできないといった刺激的な内容になっています。著者は日立中央研究所の方で、8年以上ウェアラブルセンサをつけて生活しているそうです。
これまで人の行動を研究する場合には、人の行動をアンケートなどを使って大まかに測定していました。それに対し著者の研究では人にウェアラブルセンサをつけてもらうことで24時間すべての行動を記録することで、これまでは測定できなかった詳細な人の行動データを測定しています。このデータを解析することで見えてきた人の行動の法則が紹介されています。1日の時間の使い方の法則、運を向上させる方法、お店の売上を増やす方法など、これまでは自己啓発本が扱っていそうな内容をこの本ではウェアラブルセンサのデータによって説明されているところが新しいです。
今後も人の行動をデータに基づいて調べる研究が進めば、人はもっと幸せになれるのではないかとワクワクします。 -
日立製作所中央研究所の主管研究長である著者は2006年から8年間、ウエアラブルセンサを身に着け、自らの24時間の生活を、1秒間に20回の詳細な加速度計測によって記録した。このデータにより、著者がいつ寝返りを打ち、いつ集中して行動していたかが解析できるのだが、その延長線上で、我々の人生における根源的な問い、例えば、「どうすれば幸運にめぐりあえるのか」というような問いにビッグデータが応えてくれる可能性があると、著者は言う。
ここで問題になるのが、「人の行動に科学的な法則性はあるのか」、ということだ。人はみな1人ひとりが自ら考え、自ら行動しているように見えるため、すべての人に共通する行動原理があるとは直感的に思えない。けれども本書を読み進めるうちに、自分の意思で使っていると思っている時間すら、自分の思い通りにならないことを知る。
ウエアラブルセンサとは、革新的なデジタル技術を使った、ヒト用のバイオロギングだといえる(『ペンギンが教えてくれた物理の話』参照)。ビッグデータによるパラダイムシフトを、肌で感じられる一冊。 -
幸福度や幸運度は数値で計測可能だし、それぞれ高める方法も存在する、といきなり言われても普通は眉つばだが、日立の技術者による本書は実データに裏打ちされていて、納得するしかない。