木曜日にはココアを (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800297129

感想・レビュー・書評

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  • 読書備忘録733号。
    ★★★★。

    「月の立つ林で」で初めて出会った青山さんの作品。その暖かさに一発で"ひとほんぼれ"してしまいました。笑

    12編の短編で構成されますが、すべて綺麗に繋がっています。まるで駅伝とかリレーのように。
    住宅街の端っこ、川のほとりにひっそりとあるマーブル・カフェ。店員であり、雇われオーナーであるワタルは、木曜日の午後3時に決まって訪れるココアさんに“ひとめぼれ”してしまった。
    ココアさんは必ずホットココアを頼み、エアメールを認める。ワタルは、その相手が誰なのか気になり、微かに嫉妬もする。
    ある日、ココアさんが座る席に、ほかの人がいた。だからココアさんは別の席に座った。そして、いつもと違う様子のココアさん。元気がない。
    いつもの席が空いた。急いで席を整え、「いつもの場所です。好きなところにいるだけで、元気になることもあると思います」と伝える。
    東京からシドニーに、時と空間を超えて、人と人とのステキな出会いの物語が紡がれていく・・・。

    良いです。ホントに良い。
    嫌なことを全て忘れてしまうくらい良い。
    最終編がまたまた胸キュンキュンです。
    ネタバレですが。
    ココアさんこと、マコさんは、マーブル・カフェの年下の素敵な青年の名前を知らない。だからココアさんと名付けていた。そして、彼に“ひとこえぼれ”してしまった。笑笑
    今日はエアメールじゃなく恋文を・・・。「熱いのでお気をつけください」と。

    青山作品!次行きま~す!

    • shintak5555さん
      いやいや青山さんのワードセンスです。笑笑
      言われて書き忘れに気づいたので、備忘録修正しました。最終章の部分です。
      マコトくんが“ひとめぼれ”...
      いやいや青山さんのワードセンスです。笑笑
      言われて書き忘れに気づいたので、備忘録修正しました。最終章の部分です。
      マコトくんが“ひとめぼれ”、マコさんが“ひとこえぼれ”、で私は“ひとほんぼれ”を使ってみました!
      2023/05/03
    • shintak5555さん
      ワタルくんでした。間違い。涙
      ワタルくんでした。間違い。涙
      2023/05/03
    • ほくほくあーちゃんさん
      そういう流れでの「ひとほんぼれ」なんですね!!
      青山さんもshintak5555さんも、絶妙な使い方!!
      より、読みたくなりましたー(*´∇...
      そういう流れでの「ひとほんぼれ」なんですね!!
      青山さんもshintak5555さんも、絶妙な使い方!!
      より、読みたくなりましたー(*´∇`)
      2023/05/05
  • ココアさんから始まり、ココアさんで終わる物語の中で、様々な人と色の繋がりや人間模様に触れ、一つ一つのエピソードを読み終えるたびに気持ちが穏やかになっていく。

  • マーブル・カフェの店長が木曜日の午後3時に来て必ずココアを注文する女性に対して、そしてその女性が店長につけたあだ名がお互いに『ココアさん』だというところでほっこり笑えました。
    全部のストーリーの登場人物が必ずどこかでつながっていて、面白かったです。

  • ホットココアを飲んだ時のように、心がじんわり温かくなる連作短編集。12編。
    文体がとても優しくて、読んでいるだけでほっこりしてしまいます。
    一気に青山さんのファンになりました。


    優しいだけでなく、ふんわりと背中を押してくれる言葉やエピソードもありました。

    物事は見る角度によって、ポジティブにもネガティブにも捉えられること。
    「多かれ少なかれ、誰もが誰かにとって光を与えられる存在かもしれない。知らず知らずのうちに、その人の人生に組み込まれている。」

    よく自分に自信を無くしがちな私には、時々思い出した方がいい事かも…
    と思いながら読んでいました。

    ぜひ続編も読もうと思います。

  • そっと心に染み入る短編12編。過去を思い出し、心掻き乱された「聖者の行進」、ほっこりする「半世紀ロマンス」もいいが、ラルフとシンディの話が好み。全編通じて人と人とのつながりの大切さを実感できる。素敵な出会いをありがとう。随所で感涙。そっと背中を押してくれる一冊。

  • マーブル・カフェのマスターといつも木曜の午後にやってくる女性客を描いた第一章を皮切りに、次の章では、前章の登場人物の1人に焦点を当ててその人を巡るストーリーを描く、というリレースタイルで描かれた短編集。
    最後のお話は、最初の章と繋がっていて、人の縁の不思議さと世間の狭さ(?)を感じさせられた。
    どれも心がほっこりするストーリーで、思わず、ココアで心も体も温まりたくなった。

  • 連作短編集。
    誰かの存在や言葉に力をもらうストーリーに、心がじわりと暖かくなりました。
    とは言えもっさりとした感じはなく爽やか。
    各章に付けられた色は、透き通って輝いているような印象を受けました。
    カフェから始まった物語は、海を越えて、またカフェに戻ってくる。自分の言葉も誰かの力になっていたらいいな。6章から後半にかけての物語が好き。オーストラリアに行ってみたくなりました。 

  • とても心がほっこりする作品でした。
    カフェから始まる人との繋がりを書いている作品で、自分も頑張ってみよう、明日も頑張ろう、って思わせてくれるくらい心が温まる作品です。

    「わたしたちは知らないうちに誰かを救っている」とあるように、自分の何気ない行動・言葉が相手の人生に影響を与えるかもしれない、と思いながらこれから生きていきたいと思いました。

    自分の何気ない言動にさえも責任を取れるようになる!

  • 居心地の良いカフェで提供されるココアから物語が始まる。
    そして、繋がっていく人間関係。
    出会いの循環。
    まさに人間ドラマ。当たり前かもしれないが、一人ひとりにドラマがあるということを改めて教えてくれた。
    とはいえ難しいお話は一つもなく、ショートショートの連続で、気軽に読める本になっている。

    そしてやはり田中達也さんの作品世界をミニチュアに模したカバーデザインが素晴らしいく、素敵。
    読み終わった後に、改めて眺めると「あ、ここいるのはあの人かな?」など発見があるかも。

  • 1週間に1回決まった時間にいつものカフェでコーヒーを飲むように、1週間に1章この本を読む事で心が安らかになるような物語でした。登場人物がカフェを中心にどんどん繋がっていく物語で、次の章のタイトルを見て次の章は誰の物語だろうと考えて読むのが楽しかったです。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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