企業参謀―戦略的思考とはなにか

著者 :
  • プレジデント社
3.72
  • (109)
  • (130)
  • (184)
  • (20)
  • (3)
本棚登録 : 2609
感想 : 128
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833416948

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 10年以上も前に書かれたとは思えないクオリティの大変素晴らしい本。大前研一氏の完成度と洞察力をもってして生まれた本。名著以外の何物でもないと思う。素晴らしい。

    名言
    ・理想を頭に描くことで、制約条件が理想に向けての障害物に変わる。

    ・ラインの短期利益追求から中期的利益の追求へ。
    ・スタート時点で大切なこと「設問のしかたを解決策志向的に行うこと」そもそも論を問いにしてみる。どうしたらよくなるかではなく、そもそも人は足りてるのか、そもそも仕事の量と質に人材の能力がマッチしているのかなど。
    ・問題点の絞り方を現象追随的に行うこと。ブレストなどで現象摘出→同類項をまとめる。→さらにまとめ共通する問題点をさがす。(「抽象化プロセス」)これを行わないと、Q&Aの短絡した表層的な解決にしかならない。現象の問題点が何に帰属する問題であり、何に深い関わりあいがあるのか。これを理解しないと新の解決策はない。
    本質的問題解決のプロセス 現象→グル―ピング→抽象化→アプローチ設定→解決策と思われる仮説設定→分析により仮説の立証・反証→結論の導出→具象化→実行計画立案→実行
    ・中期経営計画戦略立案プロセス 
    明確な目標値の設定→基本ケースの確立(現状そのままやるとどうなるか)→原価低減改善ケースの算定(コスト改善ケース)→市場・販売改善ケースの算定→戦略的ギャップの算定(オペレーショナルな努力の限界値と目標値の差)→戦略的代替案の摘出→代替案の評価算定→中期経営戦略の実行計画
    ※どんな仮定を置いているかは明確にすることが必要
    →その部分のみを変更して処理できる。
     ・戦略的代替案例①新規事業参入、多角化②新市場への転出、海外市場など③上方、下方へのインテグレーション(垂直統合)石油だと情報は輸送、採掘、下方は有機合成化学、ガソリンスタンド
    ④合併・吸収 ③のためや製品系列の拡充、マネジメント強化など
    ⑤業務提携 販売網共有化、部品共同購入、技術提携など
    ⑥事業分離 別買者設立による専業化による効率経営
    ⑦撤退、縮小、売却 事業の切り売り、退却、全体のために部分を放棄する
    ワクを狭くすると抜本的戦略が出てこない・広げるとリスク現実性が発散する。称事業部からバラバラに出てきた寄せ集めはだめ。
    ・SBU事業戦略ユニットを作る際はKFSを共通項として構成するべき。
    ・多角化は多様化、新市場、地固め以上に必要な時に初めてするべき。
    ・製品、市場戦略策定のためのプロセス
    ①市場性の動的把握(市場のサイズと動態、成長性を知ること)→②内部経済の分析(売上高、前者に占める割合、限界利益、商品別限界利益→傾向とその理由の把握。損益分岐点、付加価値分析→どの工程の付加価値が高いか。)→③競合状態の把握(商品サイズ別のシェア)→④KFSに照らしたわが方の強さ、弱さの客観的理解→⑤改善機会について仮説の抽出評価→⑥改善実施計画作成、実施→⑦モニター、必要な軌道修正
    ・戦略実践時には具体的なタイムスケジュールの作成が大事。
     思考力を極限まで用いて、相手の動きを予測して戦略を立案する。
    ・参謀五戒 ①ifという言葉に対する本能的恐れを捨てよ。
     ②完全主義を捨てよ。相手よりほんの一枚上をいく戦略をタイミングよく実施することが勝利のカギ。③KFSについては徹底的に挑戦せよ。常にKFSが何であるかという認識を忘れない。全面戦争ではなく、KFSに対する限定戦争に徹底的に挑む。④制約条件に制約されるな。理想を描くと制約が障害に変わり、どう取り除けばいいかを考えるようになる。⑤記憶に頼らず分析を。しょうがないことを週1つ取り上げて、自分ならどう「しようがある」ようするかという策(概念)を展開してみる癖をつける。
    玉石混交の問題。
    負け戦をしているのに、ホッケースティックで「善戦している」と通報すると誤った判断に陥ってしまう。⇒妥当性の検証が重要。善戦からの情報に常識のスクリーニングにかける。
    高速道路の鹿
    早く走ると視野がどんどん狭まってしまう。経営者はごめんなさいを言った後の状況の方が、破局に至った後の断頭台よりいいと考えないといけない。
    日常生活における絶え間ない空想力と、論理を組み立てる訓練に裏打ちされたものでなければならない。
    製造の中心が移っているのであれば、そこに資本を投入しておくべき。
    低成長⇒判断ミスの融通性が失われてきた。分析を重視し、個人の情や勘の入る余地を
    少なくして、分析に携わった全員の責任になるようにする。
    財力が強い会社の特徴
    ①安定したプラスのキャッシュフロー②外部資金調達能力が高い③自己資金比率が高い
    市場競争力の強い会社の特徴
    ①市場占有率が高い②コスト管理がうまい③生産体制に柔軟性がある④特殊技術や独自の販売網を有する
    競争相手との相対的力関係を変化させる方法
    ①経営資源配分において、相手より濃淡をつけ、シェア収益性で優位にたつ。
    KFSに基づく企業戦略
    ②競争条件が違うため優位に立つ 技術、販売網、収益、資産内容の相対差
    相対的優位性に基づく企業戦略
    ③新機軸を貫き相手に追従させないことで優位。
    新機軸展開による企業戦略
    新機軸を求める方法
    ①考え方の転換②戦略的自由度③技術的ポートフォリオ
    ①常識を疑い、疑問に結び付ける。
    最も本質的とされている仮定を列挙し、仮定が依然として正しいか、仮定がなければ事業が成り立たなくなるのか考えてみる。
    戦略立案の底流となる思想
    ①戦略的に意味のある計画はひとたび目的地に達した場合、守りぬけるものでなくてはならない
    (プロテクション)
    ②いかなる勇者といえども、市場の構造変化を予知し、対処するために己の強さと弱さを常に知りぬいていなければならない。
    ③真の戦略家はリスクを避けるのではなく、リスクをあえてとる局面がなくてはならない
    ④最後に戦略に魂を吹き込むのは人であり、マネジメントのスタイルである。
    先見性の四つの条件
    ①事業領域の定義が明確 
    ②現状の分析から将来の方向を推察し、因果関係について、きわめて簡潔な論旨の仮説が述べられている
    ③選択肢のうち少数のみが採択されている。
    ④基本仮定を覚え、状況が変化した場合を除き原則から外れない。
    世の中の力の動きを見通し、提供すべきものを考えるヒント
    ①自ら定義した事業領域で対象ユーザのトータルエコノミクスを徹底的に分析する
    ②サービスでは時間、手間、便利さの分析
    既存のものをなるべく活用。規模の経済の閾値以上に一気にもってく
    ③既存システムの存立要因を理解し、これを揺さぶるか活用する。

    先見性のある経営者なら、自分はどのような顧客のためにどのようなサービスを提供し、
    どのようなメカニズムで収益をあげているのかを忘れない。

  • 自分の時間を占有する業であるということ。その業を徹底することが人生の喜びにあることに違いない。
    ん〜。その通りなんだろうな。大前さんすごい!

  • 経営戦略に関する教科書的1冊
    氏のコンサルティング経験を元に戦略的思考方法からPPMの実際にまで多岐に渡り企業経営の基礎を解説。
    経営企画、経営戦略に関わる業務に携わる方は必読。

  • 大前氏の本を後2冊読む、としていた内の1冊。
    企業参謀…すなわち企業の経営戦略、ひいては人生を戦略的に生きようとする人を対象に、「戦略的に考えるってこういうことだよ、特に企業経営においてはこうだよ」とシンプルに解説している本です。「考える技術」と言ってることは変わらない。

    モノを分解して考えることを基本に、市場と自社をポートフォリオにして、そこに目的を加味して経営戦略を立てる。簡単なようだけど、このポートフォリオを組むには自社の資源を隅々まで把握する必要があり、物事をボカす癖の日本人はここが弱い。
    戦略の教科書といった評判のとおり、上記のような基本的なことがシンプルにわかりやすく解説されています。

    といいつつ、まだまだ新米な自分には腹に落ちにくい部分もあり、飛ばし飛ばし読みました。今後、営業・マーケティングを担っていく上で、煮詰まった時に読み返したいと思います。

  • 21世紀に残したいビジネス書にも選ばれている有名な一冊。

    かなりボリュームもありましたが、今や当たり前に使われているフレームワークがここで紹介されております。

    この本が最初に出たのが30年以上前。
    今読んでも全く色褪せません。
    世界中でベストセラーになったのも納得の一冊です。

  • 今の私には難しすぎた。

  • 自分には非常に難解で、読むのにえらい時間かかってしまった。

    これを29歳(だったかな?)で書いたというのだから、大前研一はすごいと言わざるを得ない。

    電車の広告を見てビジネスモデルを考えているというのも分かる。

    経営者だったり、少なくともそういう人になろうとしていたり、経営企画、営業職の人にはいいかもしれないが、そうでないと日々の仕事にどう活かしていいか分からない。

    やっぱり分かっていないから、と言えばそれまでだが。。。

    またそのうちリベンジしよう。

  • もはや古典の名著の風格アリ。
    古い(実際挿絵は古い)が、色あせない。
    勉強会でまた(しつこく?相変わらず?)やります。

  • この本は私が生まれた年に書かれている。しかし全く古さを感じない。
    近年の大前研一の著書よりかなり骨太の内容となっている。
    将来の仕事のことでいろいろ考えた時期がここ最近あり、
    その流れでこの本を購入していた。
    やっと今後の自らのスタンスと方向性が見えてきたので読み進めた。

    昭和50年のときに既に当時の日本経済を、
    「戦後のGNP祭り」は日和見主義と
    権限移譲ではない多頭責任性が原因とズバリ指摘している。
    今日でも「よりかかり的」なものの見方・考えが潜んでいることが
    原因となっていることを多くの方が感じるところだろう。
    それを打破するための思考法が事例を織り込んで紹介されている。

    ■戦略的思考
    対応しつつ考えること。
    作業を分解し本質をまずつかみ、設問を解決策志向的に設ける。
    内部経済の分析・管理会計を実施する。

    ■参謀五戒
    (1)参謀たるもの「if」という言葉に対する本能的恐れを捨てよ
     →手持ちの代替案を持ち続ける。
    (2)参謀たるもの完全主義を捨てよ
    (3)KFS(key factor for success)については徹底的に挑戦せよ
    (4)制約条件に制約されるな
    (5)記憶に頼らず分析を
     →ただの知識ではなく、事実・データに基づく分析力を培い、
      結果的に「概念」を作り出す力をつけること

    ■戦略的計画の核心
    (1)目的地に達した場合、守り抜けるものでなくてはならない protection
    計画の視野planning horizonが狭くてはいけない。
    (2)市場の変化を予知し、己の強さと弱さを常に知り抜いていなければならない
    (3)リスクを避けるのではなく、あえてとる局面がなくてはならない
    (4)戦略に魂を吹き込むのは人でありマネジメントのスタイルである
     謀略であってはならない

    経営者が備えるべき、先見性の必要条件は、
    事業領域の規定と明確なストーリーの作成とである
    自らの経営資源の配分にムダがなく、
    また原則に忠実でかつ世の中の変化に対しては
    原則の変更をも遅滞なくやっていくという十分条件が必要。
    ...........

    来年は落ち着いて行動し、
    飛躍の時機を得て成長したい。

  • 第一部は20年前に書かれているものとは思えない
    時代が変わっても変わらないものがある事が良くわかる

全128件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大前研一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×