シチリアを征服したクマ王国の物語 (福音館文庫 物語)

著者 : ディーノ・ブッツァーティ 天沢退二郎 増山暁子

• 福音館書店 (2008年5月20日発売)

感想・レビュー・書評

[blockさんの感想 · 2015年3月6日]

穴を見つけることができず、冬眠しそこなったクマたちは
寒さと飢えで凶暴化するわけだが
これを「穴もたず」といって
人を襲うこともある、大変おそろしいやつらなのである
ある年の冬、「クマ王国」の国民たちは
全員が穴もたずになってしまった
なにが王国だ
これじゃまるで難民の群れじゃないか、政治はどうなっとるんだ
しかもこれがいっせいに人里に降りてくるという
吉村昭の「羆嵐」どころのさわぎではない
どう考えてもやばいと思うだろう
でも大丈夫だ
地中海のクマたちは、非常に善良で気のいいやつらなんだ
むしろ嫌われ者は人間の王様で
それを撃退したクマはみんなに歓迎される
しかしもちろん話はそう簡単に終わらなくて
ぜいたくを覚えたクマたちは、旧来的な美徳を疎んじるようになり
やがて反乱までくわだてはじめるのだった
カラー挿絵も大量について、とてつもなくおもしろい

[yo-suke0301さんの感想 · 2014年11月6日]

図書館で借りて読んだけど、これはぜひ買わねば！はじめの登場人物紹介から笑えるし、挿し絵もすごくいい。ブッツァーティってこんなのまで書けるんだ、すごい！

[もなかさんの感想 · 2014年9月1日]

最後、誰も反対することなく王さまに従ったことが意外だった。富と権力を得たクマたちは堕落したが、最後は全てを捨てて故郷へ戻った。これからもずっと豊かさを目指し続ける人間の行く先はどうなるのだろう。クマの視点でみると、人間は堕落していることにすら気づいていない。堕落のその先は何処。クマを描きつつ、暗に人間を鋭く風刺する。この手法がエンデに少し似ている。短い物語だがハッとさせられる部分が多かった。挿絵もかわいい。他作品も読もう。
シチリアを征服したクマ王国の物語 (福音館文庫 物語)
ディーノ・ブッツァーティ

[モランさんの感想 · 2013年4月2日]

ディーノさんの絵が魅力的
魔法使いのおじいさんが印象的
物語としては、すんなり入ってきて、読みやすい
今でもシチリアの山の奥高く、クマたちは暮らしているのだろうか

[ジャミラさんの感想 · 2012年9月18日]

童話。

ストーリーはタイトルの通り、クマ王国が人間の住むシチリアを征服し、そこの支配者になるというもの。

この物語では人間はずる賢く、悪辣で、無闇に華美に装うものたちとして描かれ、クマたちはそれとは対照的に素朴で善良な存在として描かれる。
ところが、人間たちとの戦いに勝ち、ついに豊かな生活を手にしたクマたちは、あっという間に人間流に染まっていき・・・。

歯切れのいい文章とリズミカルな詩で、テンポよく展開される物語は、非常に楽しく読めること請け合い。
童話らしい非常に示唆に富んだ話で、読んでいて苦い笑いが思わず漏れることもしばしば。

それにしても、戦いを描くのだが当たり前だが、流血や死、裏切りといった人間の醜さ等を、かなり直截的に描いているのは、なかなか日本の絵本にはない特徴だろう。

[a-ichikawaさんの感想 · 2011年5月12日]

あたたかで豊かな世界を求めて山から下りてきたクマ達が人間の国を治める。その後、徐々に変わっていくクマ達。<br />お話としては教訓めいており絵も細かいところに凝ってたりするので読み聞かせには良い。<br />個人的にはこういった類の教訓・結末は賛成できないけど。

[tanakaemusiさんの感想 · 2011年3月5日]

イラストもかわいくて、ただのおとぎ話ではない、ユーモアのセンスたっぷりなかわいいお話。

[ericanonさんの感想 · 2011年2月11日]

表紙と挿絵が気に入って購入しました。
文庫本より少し横幅が広い本です。
カラーの挿絵がところどころにあって、中身もかわいいです。
自然に生きることが一番の幸せかもしれないです。

[凹さんの感想 · 2008年6月29日]

６月29日

[さかなさんの感想 · 2008年5月27日]

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著者プロフィール

1906年、北イタリアの小都市ベッルーノに生まれる。ミラノ大学卒業後、大手新聞社「コッリエーレ・デッラ・セーラ」に勤め、記者・編集者として活躍するかたわら小説や戯曲を書き、生の不条理な状況や現実世界の背後に潜む神秘や謎を幻想的・寓意的な手法で表現した。現代イタリア文学を代表する作家の一人であると同時に、画才にも恵まれ、絵画作品も数多く残している。長篇『タタール人の砂漠』、『ある愛』、短篇集『七人の使者』、『六十物語』などの小説作品のほか、絵とテクストから成る作品として、『シチリアを征服したクマ王国の物語』、『絵物語』、『劇画詩』、『モレル谷の奇蹟』がある。1972年、ミラノで亡くなる。

「2022年 『ババウ』 で使われていた紹介文から引用しています。」