9の扉 リレー短編集

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838720040

感想・レビュー・書評

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  • 有名人気作家によるリレー短編集

  • 北村さん、辻村さん目当てで読みました。
    どれも面白かった!
    リレー短編集を味わったのは初めてでしたが、面白いですね。
    辻村さんがさりげに北村さんに繋げるラストあたりがゾクゾクしました!

  •  結婚式の日はよく晴れてて、あれが十一月の今頃で、結婚記念日がこの間、過ぎたんだから、もう一年とちょっと経つわけだよね。朝なんか、すっかり冷え込むようになったけど、でも、ほら、今年の夏は、やけに暑くてさ、おまけにクーラーの具合が悪くなったりしたから、いらいらしたわよ。もう、そこら中開けて、換気扇点けて、ぐるんぐるん回しても、お日様が出てる間はどうしようもなくってね。普段なら、うちの中にずっといるのが落ち着くのに、あの時はさ、買い物に行って、スーパーに入ると、もう帰りたくなくなったよ。
    (「くしゅん」北村薫 p.9)

  • ◆「くしゅん」北村薫
    ◆「まよい猫」法月綸太郎
    ◆「キラキラコウモリ」殊能将之
    ◆「ブラックジョーク」鳥飼否宇
    ◆「バッド・テイスト」麻耶雄嵩
    ◆「依存のお茶会」竹本健治
    ◆「帳尻」貫井徳郎
    ◆「母ちゃん、おれだよ、おれおれ」歌野晶午・・・妻と娘に無理心中され、保険金として7000万円が手に入ってしまった男。2人の命の重さを感じるため、全て現金でおろしてみた。大きめのブリーフケース1つとセカンドバック1つ。たったこれだけに入ってしまうくらいなのだ。しばらくそのまま家に置いていたのだが、家に世話をしにきてくれていた母親が、外から帰ってきた自分に向かって妙に喜んで変なことを言う。「間に合ってよかった、本当によかった。死んだ淑子さんがあなたを助けてくれた、そうでなかったらあなたは指を詰められて東京湾の海に沈んでいたわ」。
    ◆「さくら日和」辻村深月
    以上、9人の作家が順番に作品を書き、そして次を担当する作家にお題を1つ出し、出された作家はそれをテーマに作品を書いてつなげていく。それぞれは個々に短編として成立しているので、ただのアンソロジーのようにも思えるが、中には完全に続編となっているものもある。登場人物や、名前だけがちらっと出てくるようなものもある。9人全員が、次の作家へメッセージも残している。

     こういう作品は初めて読んだ。私はてっきり1つの物語を導入、展開、解決・・・と、部分部分でわけて書いていくのかと思っていたが、そういうわけではないらしい。初読みは鳥飼否宇氏のみで、作家陣は今回わりと知っている顔ぶれ。北村薫氏はやっぱり自分には合わないらしく、何が良いのか全然わからず出足でくじかれそうになったが、以前ドロップアウトした法月綸太郎氏の作品は今回は読めた。アンソロジーは以前ダメだった作家さんに再チャレンジするにもいい機会。竹本健治氏の話は趣味の問題もあるのだろうが、完全なる茶道の世界の話でほぼついていけず。この作家陣の中では一番若手、そして最近初めて触れた辻村深月女史の作品は、幼い女の子の甘酸っぱい切ない恋心いっぱいで、そして先頭の作品にもきっちりつないでいて、良かったな。やっぱり他の作品も読んでみたい。

    ◆母ちゃん、おれだよ、おれおれ・・・リレーで前を書いていた貫井徳郎氏の作品の登場人物や設定をそのまま引き継ぎ見事に続編を作り上げ、「ハッピーエンドにさよならを」の短編たちのように、ブラックに締めている。作家さん独自のワールド全開で、これこそが期待していたリレー小説。貫井氏の、

      この種の企画に参加したことは何度かあるのですが、
      今回ほど驚いたことはありませんでした。
      何しろ、自分が書いた作品の続きが知らぬ間にできていたのですから!

    の言葉に、自分も思わずニンマリ。

  • <table style=\"width:75%;border:0;\" border=\"0\"><tr><td style=\"border:none;\" valign=\"top\" align=\"center\"><a href=\"http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838720041/yorimichikan-22/ref=nosim/\" target=\"_blank\"><img src=\"http://ecx.images-amazon.com/images/I/410uL8Fcx7L._SL160_.jpg\" alt=\"9の扉 リレー短編集\" border=\"0\"></a></td><td style=\"padding:0 0.4em;border:0;\" valign=\"top\"><a href=\"http://blog.fc2.com/goods/4838720041/yorimichikan-22\" target=\"_blank\">9の扉 リレー短編集</a><br />(2009/07/23)<br />北村 薫法月 綸太郎<br /><br /><a href=\"http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838720041/yorimichikan-22/ref=nosim/\" target=\"_blank\">商品詳細を見る</a></td></tr></table>
    <blockquote><p><strong>「猫」が「コウモリ」を呼び、「コウモリ」が「芸人」を呼ぶ!? たった一言のキーワードが次の物語へと引き継がれ、思いがけない展開を呼ぶこのリレー短編集には、冒険心と遊び心がいっぱい。個性豊かな凄腕ミステリ作家たちが勢ぞろいしたこの本には、最高に愉快な体験がつまっています。豪華執筆人によるチーム力もまた絶妙。「あとがき」までリレー形式にこだわった欲張りな一冊が出来上がりました。収録:『くしゅん』北村薫→『まよい猫』法月綸太郎→『キラキラコウモリ』殊能将之→『ブラックジョーク』鳥飼否宇→『バッド・テイスト』麻耶雄嵩→『依存のお茶会』竹本健治→『帳尻』貫井徳郎→『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』歌野晶午→『さくら日和』辻村深月。
    </strong></p></blockquote>
    本書の趣向の発案者である北村薫氏からはじまり、上記内容紹介のようにひとことのお題と共に次の書き手にバトンタッチされていき、バトンを渡された者は、そのお題に沿った物語を書く。だが、この九人の作家たちはただそれだけでは終わらせなかった。それぞれに遊び心満載で、作家自身が心から愉しんでこのアイディアに参加しているのが読み手にもよくわかる。お題をバトンタッチされるだけではなく、絶妙に前作にリンクさせていたり、キャラクターごと引き継いでいたり、絡まりあいながら次々に渡されていくバトンは、アンカーの辻村深月氏に渡るのだが、これがまた見事にスターターの北村薫氏の物語につながっているのである。そしてさらにあとがきまでが愉しめる。本編とは逆の順番でリレーされるのである。それぞれのささやかな種明かしと愉しさの余韻が感じ取れる。
    いろんな意味で愉しい一冊だった。

  • リレー短編集って読んだ記憶があんまりなくて、

    ほぼ初体験で読みました。

    なかなか面白い化学反応ですね



    次の作家さんにお題を伝えて、それを小説にする。

    こんなことが出来る作家さんたちはすごいです。



    4人目鳥飼否宇「ブラックジョーク」に

    2人目法月綸太郎「まよい猫」の登場人物がちらりと出てきたり、



    その「ブラックジョーク」と

    5人目麻耶雄嵩「バッド・テイスト」は

    完全に続きのお話ですし、

    しかも続きの話だと最後のほうまで気づかなかった。

    脱帽でした。



    7人目貫井徳郎「帳尻」と

    8人目歌野晶午「母ちゃん、おれだよ、おれおれ」も

    完全に続いてます。

    こんなんアリなんだぁ!とニコニコしてた。



    1人目北村薫「くしゅん」だけちょっと話が違うかなぁと感じつつ読んでると、

    最後辻村深月「さくら日和」でものの見事に繋がっており、

    満足度が増しました。



    あとがきは今度は最後の辻村深月から戻るやり方で

    それはそれでどういう趣向で書いたかがわかり

    さらに満足です。



    リレー短編集なので、

    どれが良かったとはなかなか言いがたいのですが、

    まあ見事にバトンを繋いだ麻耶雄嵩と歌野晶午とが良かったかな。

    最後の辻村深月の小学生の気持ちの表現の仕方には

    いちいち納得できて脱帽でした。

    本当に小学生が書いているのでは?と思うほどです。

    そして題名にふさわしく少しお母さんの行動がサクラ日和でした。




    ★★★★(8点)

  • 前の作家が次の作家にお題を出す、というリレー形式で続くちょっと変わった趣向のアンソロジーだ。
    隔月で雑誌に掲載されていた、というのがおもしろい。
    前の作家の登場人物をそのまま使ってしまう作家がいれば、お題をひねる作家もいる。どれだけアソビを効かせるか、というのがキモの趣向なので、後の作家は前の作家がどういう技を読者に見せたのかを目にした上で、どんな小技を効かせるか考えることになる。
    そうやって積み重なって出来上がった一冊は、作風も文体もフォントすら各短編によって異なっているのに、どこか似た部分がある。

  • 面白く読めました。(#^.^#)9人のミステリー作家が、次の人に題名だけを指定して連作にしていく、という趣向がとても効いていたと思います。皆さん、ありきたりな展開にはしないぞ、というプロ精神+遊び心がムクムクと出たようで、そうくるか?の連続。別につなげなくてもいいですよ、ということだったと思うのですけど、前の作家さんのテイストや小物をどうにか活かしたい、って思われちゃうんでしょうね。TV「ビフォア アフター」で以前の建築物の中から何か思いでの品を新しいおうちに取り込みたい、と奮闘する「〜〜の達人」が浮かび、なんか可笑しくなりました。最後の辻村美月さんは、見事に最初の北村薫作品につなげて、ぐるりと一周。正直、短編としての凸凹は若干あったと思うけど、気になるほどでもないし、何より流れを楽しめたので嬉しい短編集だったと思います。

  • 積み上げていく面白さ。貫井徳郎さんのお名前があるのを見て、おっと思って買った本ですが、どのお話もよかった。リレー短編、面白い!最後の辻村さんのまとめ方がまた秀逸。いろんな作者の方を知れて、あとがきまで面白く読めちゃう、なんともお得な一冊。間違いなく楽しめます。

  • 北村薫
    法月綸太郎
    殊能将之
    鳥飼否宇
    麻耶雄嵩
    竹本健治
    貫井徳郎
    歌野晶午
    辻村深月
    という豪華な9名によるリレー方式の短編アンソロジー。
    言いだしっぺは絶好調の北村氏のようですが、これは
    成功した良い例の作品集だと思います。

    リレー方式とは言え作家さんによって様々は展開を見せつつも
    ラストの辻村氏で、凄く上手く全体が纏まったように思います。
    いいアンカーでしたねー。
    こういった内容だと書く側や作り手サイドの満足感や企画した
    という面白さのみが浮き彫りになって内容自体は微妙だったりそうですが
    さすが一線級のプロ作家さんたちですね。読者も充分に楽しめました。

    個人的なベストは貫井〜歌野の繋ぎがピカイチでしたー。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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