経済は、人類を幸せにできるのか?――〈ホモ・エコノミクス〉と21世紀世界

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  • / ISBN・EAN: 9784861825392

感想・レビュー・書評

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  • 170326読了

  • 2冊、似たようなテーマの本を並行して読んだ。

    経済は、人類を幸せにできるのか?――〈ホモ・エコノミクス〉と21世紀世界
    資本主義に希望はある―――私たちが直視すべき14の課題

    1冊目は、経済学者の名もたくさん出てきて、解説も注釈として書かれ、一見詳しく見えるが、その内容は淡白。幸福論としても、それぞれの事象こう言われている、と言った紹介で、結局どうなの?ていう感じが残る。
    2冊目、格差や環境破壊、自動化による失業、諸々の問題、資本主義でも解決できる。資本主義以外に良い社会システムもない。よって資本主義のなかで、成熟した地域では、消費偏重を減速して、新しい能力をつけ、、、これも結局どうすればというところで、幸福度の話が出て、わかりづらい。


    経済は人類を幸せにできるのか?
    目次

    【まえがき] "経済"と"幸せ"の関係を見直すために
    先進国は豊かになったのに、なぜ幸せが実感できないのか?
    "善意"と"ホモ土コノミクス"の逆説
    〈ホモ・エコノミクス〉と21世紀
    第1章 経済にとって人間の幸せとは?
    1幸福の指標ー国民総幸福量、内在的な財/外在的な財、ピークエンドの法則
    2自律と競争原理-老い、失業、離婚
    3幸福のパラドクスーいかなる幸福のための「効用最大化」か?
    4人類学上の怪物の誕生1〈ホモ土コノミクス〉
    5幸福のための一〇の条件

    第2章 失われる"労働"の魅力
    1ストレスを原動力にする経営管理
    2資本主義の「新たな精神」
    3格差拡大と中流的幸福の没落
    4超富裕層の夢崎

    第3章
    アメリカン・ウェイ・オブ・ライフの崩壊 「平等モデル」の瓦解と帝国の衰退
    1ローマ帝国は「平等モデル」の瓦解によって衰退した
    2財政危機、傭兵、そして帝国の滅亡
    3退廃した市民意識への精神的革命だったキリスト教
    4アメリカとローマ帝国の類似性
    5アメリカ人の市民意識の衰退
    6技術革新は、アメリカ帝国を救えるか?

    第4章 台頭する新興国は幸福になったのか?
    1二世紀を経て、世界の中心は再びアジアへ
    2貧困の原因は、貧者の合理性の欠如か?
    3アジアの伝統や文化を打ち破った〈ホモ・エコノミクス〉
    4「中国の奇跡」と国民生活鵬
    5所得急増によって中国人の幸福度は増したのか?
    6経済発展にとって民主主義は必要条件か?
    7経済と政治の遠くて近い(近くて遠い)関係

    第5章グローバリゼーションは幸福をもたらしたか?
    1なぜグローバリゼーションは、われわれの期待を裏切ったのか?
    2なぜヨーロッパは危機に瀕してしまったか?
    3工場なき経済成長の明暗
    4異常気象、パンデミック、システミック・リスク

    第6章 技術革新は人間を進化させるか?ーデジタル社会とダーウィニズム
    1インターネットによって人々は幸せになったか?
    2デジタル社会における生存競争ーダーウィンと〈ホモエコノミクス>
    3「利己的な遺伝子」と「共感力」
    4人工知能と遺伝子革命

    第7章 21世紀世界の幸福とは?
    1ポスト近代世界-近代主義の夢と希望の終焉
    2世界は、ポスト(脱)物質主義に突入したのか?
    3再び世界を俳徊しはじめマルクスの亡霊
    4ポスト産業社会における教育と医療
    5 21世紀世界における幸福を考える
    [おわりに]
    〈ホモ・エコノミクス〉による人類の未来は?
    21世紀には、経済は「情念の代償」にはならない
    〈ホモエコノミクス〉が拓く未来は?
    訳者あとがき
    著者紹介
    訳者紹介

  • 331.1||Co

  • 経済学の本かと思いきや、幸福論の本だった!
    しかし現代経済の動向を踏まえた上での幸福論はストンと腑に落ちる。
    訳者あとがきにある個所が特に。

    トクヴィルが観察したように、新しい国民(アメリカ人)の幸福感は、せつな的な事象に左右されるため、移ろいやすい。本書が問題提起するように、そうした幸福感を支えてきた経済成長が途絶えた日本やヨーロッパでは、人々は本物の幸福に向き合わざるをえない。したがって、成熟国家における真の幸福は、「地道に自己鍛錬する過程で期待を抱き続けられる状態」と定義できるかもしれない。戦後の高度経済成長を謳歌した終身雇用制度の日本社会には、こうした側面があったように思う。ところが「幸福ははるかなところにあるかぎり、将来にある限り、すばらしいものにみえるが、幸福をつかんだ時、それは何らいいものではない」(幸福論)のだ。夢見る存在であり続けられるのが、幸福なのだろう。そうだとすれば、いろいろと理屈を並べたところで、長い検討や多様な概念にささげる時間も手段もないわれわれにとって、幸福を実感できるのは、やはり経済成長なのかもしれない。しかしながら、「今以上に時代の支配的な経済的価値に結び付く物理的環境が提供されることで自覚できる「(経済的に)豊かである」ことを求めることが、現実的かつ必要かを考えるべき」(2050老人大国の現実)時代であるのも明らかだ。

  • ■書名

    書名:経済は、人類を幸せにできるのか?――〈ホモ・エコノミクス〉と21世紀世界
    著者:ダニエル・コーエン

    ■概要

    経済と私たちの関係は、歴史的な転換期を迎えている―欧州を代表
    する経済学者が経済と人類の歴史と未来を問い直す、世界的ベスト
    セラー第2弾!
    (From amazon)

    ■気になった点

    なし

  • 日本経済新聞社


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    経済は、人類を幸せにできるのか? ダニエル・コーエン著 競争と協力のバランス説く
    2015/11/22付日本経済新聞 朝刊

     フランスを代表する経済学者が幸福について考察している。幸福は感情の問題であり、定量化や測定にはなじまない。しかし、金融危機後の世界において、経済学が有用な学問であり続けるためには、幸福の問題を避けて通るわけにはいかない。そんな危機感が本書を貫く。







     金融危機の前に幅をきかせていた経済学は、合理性に基づいて、個人主義的に行動する人間像を前提に組み立てられることが多かった。すなわち「ホモ・エコノミクス」(経済人)である。


     彼らは「ホモ・エシックス」(道徳・倫理的人間)や「ホモ・エンパシス」(共感的人間)との競争に勝ち抜いたと思い込んでいる。だが、幸福や人間性の問題を封じ込めたがゆえに最終的に自らも非効率となり、衰退の道を歩むことになる。


     衰えゆく経済人に対して、著者は必ずしも具体的な解決を示しているわけではない。まずは「競争だけで未来を築けると考えるのは、人類学上の幻想」と気づくことが大切なのだろう。そのうえで「競争と協力とのバランス」を考え、「無償と有償の境界を整理」する必要がある、と論が運ばれていく。


     文化的多様性の問題に直面する欧州知識人の苦悩は、グローバル化の波にあらわれる日本人も共有できる。林昌宏訳。(作品社・2200円)


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著者プロフィール

1953年、チュニジア生まれ。フランスの経済学者・思想家。パリ高等師範学校経済学部長。『ル・モンド』論説委員。2006年にトマ・ピケティらとパリ経済学校(EEP)設立。著書にフランスで『銃・病原菌・鉄』を越えるベストセラーとなった『経済と人類の1万年史から、21 世紀世界を考える』など。

「2019年 『ホモ・デジタリスの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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