猫町

著者 :
  • エフ企画
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (86ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894191679

感想・レビュー・書評

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  • もともと猫町は好きやったんですが、これは金井田さんの素敵な挿絵がみどころです!なのでカテゴリは美術で。猫町そのものについては、またこんど!

  • 猫写真のねこまちを借りていたので、一緒に借りてみた。
    比べて読むのが楽しかった。

  • 青空文庫】より落として再読。この小編を初めて読んだ時、ブラックウッドの「Ancient Surerise(古の魔術)」と雰囲気がそっくりなのに驚いた。 調べてみると朔太郎が江戸川乱歩から「古の魔術」を見せられ参考にしたとの説があるようだ。 真相がどうであれ「猫町」の作品価値が損なわれることは決してあるまい。 むしろ詩的幻想性では「猫町」の方が優れているのではないだろうか。 今回読み直してみるとラヴクラフトの「インスマスを覆う影」を思わせる場面もあった。 まあ、あちらは猫町ならず魚町だが^^; 「古の魔術」も非常に印象的な作品で『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 (創元推理文庫)』で読めます。 また、私は未読ですが雰囲気の似た『猫の泉(日影丈吉)』という作品もあるようです。

  • 不思議。
    非現実的だけど、ありそうな話。

    すごく短い小説です。
    詩人である萩原朔太郎の言葉、一つ一つを大切に考えながら読むといいかもしれません。

  • なんかやばい。でもわかる。素敵。

  • 図書館から借りました

     短編。

     この作品を読んでの一言は・・・「荻原さんと友達でいるのしんどそう」ということにつきるなー。
     モルヒネ中毒で、唐突に「鉄筋コンクリート」に潜む真の意味を教えろと迫り、「鉄の柱とコンクリートで~」という真っ当な説明は受け付けず、知っているくせに自分に意地悪して教えてくれないのだと怒り出す。で、唐突に自分で答えを見つける。「虫」だったらしい。
     ・・・マジもんで、この人薬中では???
     表題の「猫町」も、もうLSD決めてたところだったんです、とか言ったら信じそうな描写だし。
     知った町が怖いぐらい完璧に美しい町に見えて、不安になるといきなり大量の「猫」があちこちからあふれ出してくるという。

     冷静な作品かなーと思うのは「ウォーソン夫人の黒猫」。
     でもね、言わせてくれ。
     猫一匹で、そんなに目くじらたてんなよ、奥さん(←神経質な人だった)。
     無夜のうちじゃ、黒猫一匹ぐらい増えても、きっと気がつかないなー。(猫10匹。うち、二匹が黒だからなー)彼女の不幸は「戸締まりをちゃんとして」「動物を飼わない」ところにあったんだろう。窓が開いていたら、ここまで破滅的な思考(猫が死ぬか自分が死ぬかしか道はない、といって拳銃で猫を撃ったけれど、夫人は死んでしまった)に陥らなかったんじゃないかなー。

     まあとにかく。
     昔の文学って奔放ですね、良くも悪くも♪

  • どこか知らない街へ行きたい時に。
    このレトロ感が好き〜。
    図書館で借りてましたが、自分用に購入したい。

  • 不気味な雰囲気が美しいとおもった。
    確かに、夢や幻覚が実在しない世界だ,
    といいきれることができないくらい、私たちは無知である。

    金井田さんの版画もすてき。

  • 作品はとても好きな散文詩。

    絵の金井田英津子さんもわりと好きな方なので。

  • 昨晩は少々深酒したせいか終日、頭が重い。目が覚めてだいぶ経ちくらくらしてさえ居た様で千倉の海岸を目指している途中、褐色の猫と遭遇した。ぼおっとした視線を送りつつ手招きしてみると、その褐色猫君はおいらの足元に擦り寄ってきたのだ。とても友好的な態度であったので、その毛並みの良い背中や頭をさすってあげたりしていたのである。そうこうすると褐色猫君はゴロンと体を回転しお腹を見せ、小さな猫の手を回して手招きすではないか。人間に対してお腹を見せて手を回すという行為は友好のしるしなのだという。かまって欲しい、可愛がって欲しいという合図である。可愛い猫にこうされると人間誰しもか弱く軟弱な生き物になってしまう。

    ところで、萩原朔太郎が散文形式で著した「猫町」という作品があるが、なかなかユニークである。猫に支配された世界に彷徨い込むという白日夢のような主人公の体験を描いているのだが、このシチュエーションは村上春樹さんの作中作品「猫の町」に似ていなくもない。可愛くて親しみ深くて友好的であったはずの猫が、ある日豹変してしまう。何か知らなかった別種の怖ろしさを有した猫たち。そんな猫の姿を登場させた文学作品は少なくないが、中でも萩原朔太郎の「猫町」は出色である。

    パロル舎から出版されている「猫町」を数ヶ月前に購入したのだが、同書は版画家の金井田英津子氏がイラスト、デザインを担当しており、独特の解釈で猫町の世界へと誘っている。文字組みなどの装飾が、まるで関西風のコテコテの味付けでやり過ぎの感もあるのだが、多少の誇張として許容の範囲だ。

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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