ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901234719

作品紹介・あらすじ

アマゾン・ドットコムが選んだ2004年全米No.1ビジネス書。インド、南米、中国、アフリカ。動き出す50億人市場!構想10年『コア・コンピタンス経営』のC.K.プラハラードが贈る最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネス上のイノベーションによって多数の貧困層(BOP:Bottom Of the Pyramid)を有望な顧客として捉えることの重要性と、それを実行している企業のケーススタディ集。大前研一がこれは読んでおかないといかん、というので読んでみました。貧困層はビジネスにもなるし、そのことによって貧困層を中間層に引き上げることもできる、という話です。
    『コアコンピタンス経営』のCKプラハードさんの著作ですが、PartIIのケーススタディはプラハード教授の学生か助手が整理したものなのか、それぞれのケースのNOTESに「このレポートは、C.K.プラハード教授の監修のもとで、Xさん、Yさんが作成した。このレポートは、議論の促進を目的としており、取り上げた戦略の有効性は非有効性について解説したものではない。」という注記がされています。嘘は含まれていないけれども、教授としては不満なところもあるっちゅうことなんでしょうか。

    厚い本ですが、PartIIはPartIでも紹介された企業のケーススタディになっていますので、細かいところが不要ならPartIIは飛ばし読みでもよいかもしれません。

    こういう本には珍しくDVDが付いています。確かに低価格義足は映像を見た方が理解が早いですね。

  • ー 民間企業は確かな貢献をすることができる。また、収入分布のパターンが変わりつつあること、BOPの消費者がますます自信を得ていること、彼らが自らの生活を変えるために企業活動を通して運動を起こせることは、我々に希望を与えてくれる。

    しかし、これまでに解説してきた事例は、我々すべてに課題を投げかけている。主たる責務が株主の利益を増やすことであろうと、貧困や社会的不公平を減らすことであろうと、その目標達成を追求するためには、民間企業の資源と能力を活かすことだ。

    貧困撲滅運動での我々の最大の味方は、「貧困者自身」である。彼らが内に秘めている力や忍耐力は、企業活動で問題を解決しながら前進していく勇気を我々に与えてくれるに違いない。民間企業や市民社会組織から、大胆にして責任あるリーダーシップを得られれば、2020年までに貧困や公民権の剥奪を撲滅することは必ずや可能だと思う。我々は、思いやりのある公正な社会を築くことができるのだ。 ー

    2020年は過ぎてしまい、貧困は無くなっていないし、格差は拡大しているけれど、意識レベルでは良くなっている、と信じたい。

    もう17年前の書籍なんだな…。

    ケーススタディとしては古いけど、今読んでも面白い。取り上げられている事例の企業が、いまだに栄えているようで何よりだ。
    そもそも、取り上げられている事例って、まさに、DXそのものなんだよな。データをどう集めて、どう活用し、どうビジネスモデルに活かすのか、っていう話。

  • BOPについて初めて書かれた本。大学時代に読んで衝撃的だった。

  • これから読みたい本です。

  • 大前研一氏「知の衰退」で現代ビジネス必須の書として挙げている。未読。

  • 「知の衰退」で。



    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • 著者いわく、「IT革命前がオールドエコノミー、IT革命によるネット系企業の隆盛期がニューエコノミー、その後(2006年からスタートと予測)がネクストエコノミー」。ネクストエコノミーでは、ほとんどの業界で供給過多が起こり、完全買い手市場になる。このような状況で、差別化に低価格を使用することの危険性とその回避方法を説く。マーケティング担当の人のみならず、一読を進める。

  • 今更ながらBOPという単語を広めたであろう同書を読破。
    読書中に気になって点を幾つか以下に明記。

    *貧困層は物価の高い環境で生活している傾向が非常に強い。(アクセスが限られているが故に中間層が増え、裕福層と比べても多くの追加費用が載っている。インドの例において裕福層の5-25倍ほど水・電話・米・薬・利子等に払われていた)

    *必要なのは入手しやすさ(Availability)
    貧困層はその時手元に幾らあるかで購入を決定する事が多い。

    *使いきりタイプや少量パッケージが貧困層の潜在する消費力を引き出す

    *ユーザビリティへの配慮
    インドでは総人口の30%が文盲である。しかし見て、聞く事は出来る。つまり”映像昨日を搭載した携帯機器”が適しているとなる。

    *インドにあるローカル小売店にPOSシステムの導入

    *BOPのIカーブ(Sカーブより急な発展をする)への対応を考える必要あり

    *Hernando De Soto "The mystery of Capital"

    *貧困層の人は特に、店に足を踏み入れると親しみやすい顔つきの店員を探し、その日あった事を話したいと思っている。

  • 世界のBOPビジネスの事例から、貧困層に対してのアプローチで考えるべきポイントやいかに社会に変革をもたらしたか、またビジネスとして展開するための仕組みについてまとめられた一冊。一冊といっても2段組の500ページくらいになるので読む量は相当になりました。印象に残ったのは「民間企業が市場開発に携わることにより、BOPの消費者と民間企業の双方に利益をもたらし、すべての関係者が学ぶことができる」という部分。社会支援組織だけでは難しい部分に、民間企業だから取り組める価値ってあるのかなとも思いました。

  • 2007-10-07

    ちょっと分厚く,アメリカビジネス本からの訳書ならではの「しつこさ」+「礼賛」があったんですが,核概念は大変シッカリしている.

    貧困国にたいして自立を妨げる援助ではなく,その中で受入れられるビジネスを対等に行っていくことによって,
    貧困層の生活水準を上げていこうという話.

    その為には企業は先進国での商売じゃかんがえられないイノベーションを繰り返さなきゃならない.その強い需要ニーズがあることが,
    企業の成長をも促す.

    日本のODAは殆ど紐付きであることが有名ですが,
    その紐付きという対等関係も実は良い面を認識すべきなのではないかという気もしました.麻生さんも前紹介した本でおっしゃっていましたが.

  • Bottom Of Pyramid (BOP)と呼ばれる社会の貧困層をターゲットにしたビジネスを展開するBOPビジネス。

    どちらかというと、ハウツー本というよりも、
    事例を紹介して、何故必要なのか、何が必要なのか、
    考えさせる本だったので、内容が深かった。
    (故にページ数も多い。)

    大事な考え方は、
    ・貧困層だから…というのは何の理由にもならない。
    ・徹底的に相手が最も望むものは何か?
    ・環境は何を許すのか?
    ・原価積上方式の値決めではなく、確実に売れる、かつ、利益が残るやり方を考える。

    規模を捉えれば、それだけ大きくなる。
    そして、何よりもこういったビジネスを経験すれば、
    確実に製造能力や考え方・対応力が養われるという利点があると思う。

    うん、とてもためになった。

  • BOPがビジネスになってきている。
    つながりが速い。
    いずれ儲かる市場。
    ソーシャルビジネス。

  • 470Pを超える大作。新興市場を対象とするマーケティングを考える上での勘所を、豊富な事例をもとに丁寧に説明してくれる。

    日頃ビジネス誌などを読んでいる中で、小分け販売やマイクロファイナンスの活用など、BOP(Bottom of the pyramid)市場に進出する上でのポイントはある程度知っていたつもりであった。でも、本書はBOP市場についてより概念的に哲学的に説明してくれているので、新興市場相手のビジネスを考える上で多くの気付きを得られた。

  • 2010年に亡くなった
    経営学者C.K.プラハラードの著書。
    1日2ドル以下という低所得で生活する
    世界の40億人以上、ベースオブピラミッドを対象とする
    ビジネスは、
    どういう視点が必要であり、
    そして実際にはどういう事例があるのかを丹念な
    リサーチからまとめたビジネス・ケースブック。

    BOPビジネスに乗り出す企業にとっては必携の書かもしれない。

    とりあえず、思うのは
    先進国で受け入れられた商品やサービスの「廉価版」を
    持ち込む、という発想では
    まずもって成功しないんだな、ということ。

    現地の状況や人々のニーズ、さらにはニーズを超えて
    「なぜこういうものがなかったのだろう?」というような
    イノベーションを成し遂げることが、
    キーだと思う。

    そもそも、1日あたり使える額は相当に限られているのだから、
    「ちょっとシェアをとる」ような、市場の枠の中の優位では
    まるで事業が成り立たないのだろう。
    だから、極端にいえばシェア全部とる、というか、市場自体を
    作り出す、くらいのことをやらないと、先進国企業としては
    「成功」とはいえないだろう。
    で、そこまでいくには、逆算的にいうと
    1企業の利益追求を超えて、本当に人々のためを思い、実現する
    姿勢が欠かせないように思われる。

    たぶん今日的な日本の大企業が一番苦手な分野だと思うので、
    どっちかというと勃興するベンチャーや、中小企業に可能性が
    あるのかもしれないのだが、
    しかし資本の導入力や生産効率という意味では大企業のストロングポイントが
    生きることも多いはずなので、
    そこにシナジーが起こればな、という感じがする。

  • BOP(ボトムオブピラミッド)ピラミッド最貧層を最大の顧客としてビジネスを展開するという考え方。
    大前研一がいう21世紀必読書、ビルゲイツも推薦。
    最近よく出るバングラディッシュのグラミン銀行も元々この本にあるブラジルの会社がモデル。

  • 目からうろこの新市場。世界の貧困層を顧客に変えるヒントが記載されている。インドに代表される最貧層市場の魅力に取り付かれる。人としても何か感じるところあり。

  •  一日、2ドル以下で暮らす貧しい人々が世界には40億人以上存在する。その過酷な現実は日本ではあまりというかほとんど意識されることがない。誤解を恐れずにいえば、こうした認識の浅薄さはこれまではある意味仕方のないことだったろうと思う。しかし、いまや世界はグローバリゼーションに向けて日々大きく変化している。その背景を理解すれば、40億の人々(著者によればBOPすなわちボトムオブピラミッドの人々)が充分に顧客たりえることが容易に導き出せる。とはいえ、それには実際的なそして非常に困難な問題を解決していくことが必要になるのはいうまでもない。そうした問題を明確化し、どのように解決すべきかその方向が示されている点で非常に優れたビジネス書といえるだろう。とはいえ、実際の「ビジネス」というのは机の上で展開されるものではない。参考程度に止め自分の頭で考えていくというプロセスがどうしても必要になるだろう。
    以下BOP市場におけるイノベーション12の原則

    1 コストパフォーマンスを劇的に向上させる
    2 最新の技術を活用して複合型で解決する
    3 規模の拡大を前提にする
    4 環境資源を浪費しない
    5 求められる機能を一から考える
    6 提供するプロセスを革新する
    7 現地で作業を単純化する
    8 顧客の教育を工夫する
    9 劣悪な環境にも適応させる
    10 消費者特性に合うユーザーインターフェースを設計する
    11 貧困層にアプローチする手段を構築する
    12 これまでの常識を捨てる

    ケーススタディとして12具体的な事例があるのでチェック

  • 正直この本を読むまで開発経済とか全く興味はなかったけど、一度この本を読み考えが全く変わった。
    是非創造して欲しい今いる世界の貧困層40億人の市場が拡大した世界。まだまだ世界には大きな市場が眠っているのである。そんな彼らのウォンツを満たしていった者が今後の世界をリードしていくのではないか。

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  • BoPビジネスを仕掛ける(既に他の方が仕掛け済みのものも含め)ために、東南アジア諸国を回遊魚のように巡る旅の途中、バンコクからカンボジアへのFlight45分の間に速読。
    複数の実在の話をベースにしており、机上の空論でない、具体的な助言満載。
    事実と知識が結合すると、あっという間に、次のプランへと繋がる。こういうビジネス本はできれば体感している最中に読むのがベスト、と常日頃思っておりまする。。。。
    とはいうものの、BoPビジネス概論本としてはOne of the bestでしょうなああ〜

    いずれにしても、BoPのキーワードは貧困層にある人々の学びの機会と継続性を維持するためのお金と人、ITはインフラとして常に重要。∴学び場プロデュース業を営むココロウタ(私)としては、さらにここに突っ込んでいきたい気持ちになりました(^。^)

  • 25年前にインドで生活して救いようのない大勢の貧困層を目の当たりにしてきた。根強いカースト制度、経済成長を阻害する文化や政治、植民地時代から公用語になった英語を除けば地方によってバラバラ(50種類)の言語や文化をもつ日本の7倍の人口と広大な国土を持つ国。第三世界を変えることは先進国の力でも到底できない気がしてたけど、BOP層を市場にした経済エコシステムの発達によって貧困層にも自立する術を得ている人々がいることがよくわかった。
    企業とNPO・NGOの共同でさまざまなイノベーションを起こした事例が紹介されていて、それらはBOP市場の経済の仕組みから人々の生活まで変えるから、途中で手を引いたり安易に方針を変えるようなことはできず、最後まで責任を持つ覚悟が必要。そして不正や詐欺に慣れている人民はなかなか他人を信用しないので、信頼感を築くまでに相当力を注ぐ必要もある。一番納得したのは、貧困国は実際資源が豊富にあるのに、国の取引統治力が低いがために透明性のある取引ができず資産を資本に展開できない場合が多いということ。経済開発にはガバナンスの改善も不可欠。
    莫大な市場が得られる代わりに莫大な投資とリスクが必要なこの取り組みは、相当体力があり経営も安定した大手企業でないと難しいと思う。そう考えると、日本の企業も世界に対抗し世界のマーケットに対応できるようM&Aで大きくすることは必然なのかもしれない。

  • 金融日記

  • 「お金の流れが変わった」の中で紹介。
    BOP層のビジネスにおいて必読の書

  • 大きくパラダイムが変わろうとしていることがわかる本。
    今までの常識を忘れて進化しつつある新興国との
    ビジネスを考えさせられる本。

  • ザ・BOPビジネス本。BOPビジネス本をかじるならまずはここから。

  • ■概要
    1日2ドルで生活する、経済ピラミッドの最下層、BOP(Bottom of the Pyramid)。40億人といわれるこの階層を、援助の対象としてではなく、市場と捉えることで、大企業、中小企業、政府、NGOなど、様々な利害関係者にとっては新たな事業の種を生み出し、そのモデルが、富裕層をターゲットとした既存事業の刷新にもつながっている。また、貧困層から起業家を生み出していることも注目に値する。ユニリーバ、マイクロファイナンスなど、豊富な事例から学ぶ。

    ■仕事に活かせる点
    BOPビジネスの背景理解。事業の種の発見。
    (千)

  • 本書では発展途上国の貧困層への偏見があり、それが貧困層へのビジネスを妨げる原因になってきた、ということが書かれています。
    正直なところ、自分も偏見があったのだとはっきりと感じました。
    今までの貧困層への「かわいそうな人たち」というイメージがまったく意味の無いものだった、
    もっと彼らは力をもった存在だったのだということを知ることができました。
    自分の常識を覆してくれる、すばらしい本でした。

  • BOP(Bottom of the pyramid)ビジネスについてのもっとも基礎的な本といってもいい。この本からBOPって最初に言い始めたはず。
    貧困層を抱える国(インドとか中南米のへん)で貧困層の生活を変革しつつ、どのようにビジネスを展開するのか?社会的な協力を得つつ、持続的に事業を継続したのか?どこが成功のポイントだったのか?などをケーススタディ的に紹介してくれている。
    コトラーのソーシャルマーケティングを読んだときにも思ったけど、こういうのをみるとビジネスは本当におもしろいな!って思う。寄付だけじゃなくて、世界をよくしていく動きとして素晴らしい取り組みだと思うし。

  • 世界中の最も貧しい人々に対して,我々は何をしているのだろうか?
    あらゆる人々に恩恵をもたらす包括的な資本主義をなぜ作り出せないのか?

    ・シンプルな提案.
    「貧しい人々は犠牲者であり,重荷である」という先入観を捨て,「彼らは内に力を秘めた創造的な起業家であり,価値を重視する消費者である」と認識を改めれば,ビジネスチャンスにあふれた新しい世界が開かれるということ.

    ・大企業は独自の論理によってBOPを開拓できるチャンスを見落としている.
    仮定
    ①貧困層は資金がなく,われわれのターゲット顧客ではない.
    ②貧困層は,先進国で売られている製品を必要としない.
    ③技術革新を評価し,対価を払うのは先進国だけ.
    ④BOP市場は,多国籍企業が長期にわたって成長するうえで必要ではない.
    ⑤やりがいという面で,BOP市場を担当する管理職を採用するのは難しい.

    ・消費力を作り出す3つの原則.
    ①手ごろな値段.使いきりパックなど.
    ②製品・サービスへのアクセス.販売パターンを貧困層の住地域や労働形態に合わせる.
    ③入手のしやすさ.

    ・BOP市場におけるインベーション12の原則.
    ①コストパフォーマンスを劇的に向上させる.単に価格を下げるだけではいけない.コストパフォーマンスを30~100倍ほど向上させなければならない.もちろん,これが可能になるのは市場が広大で,世界的な展開が見込め,リスクに見合うリターンが大きい場合のみである.
    ③規模の拡大を前提にする.BOP市場の将来性を追及するなら,多国籍企業とNGOの双方が抱いている「相手よりも優位に物事を進めたい」という論理を捨てなければならない.多国籍企業は,NGOや地元の地域社会に拠点を置く組織と連携する必要がある.
    ⑤求められる機能を一から考える.わずかな変更ではダメ.
    ⑥提供するプロセスを革新する.潜在顧客へのアプローチ,販売,アフターサービス,物流体制など.「何を提供するか」と同じくらい「どのように提供するか」が大事.
    ⑧顧客の教育を工夫する.「メディア・ダーク」.BOP市場を開拓するうえで,教育が欠かせない.政府,学校などとの協力.
    ⑨劣悪な環境にも適応させる.たとえば,「浄化された」水も,非衛生的な容器に入れられれば意味がない「ラスト・ステップ問題」.
    ⑫これまでの常識を捨てる.

    ・BOPが従来からある考え方に疑問を投げかけたりするほどの魅力があるのだろうか?
    ②特定地域で起こしたイノベーションの多くは,他のBOP市場にも転用できる.

    ・企業活動
    ①サムスンやLGがインドの携帯電話事業で学んだ教訓は,年2~5%ではなく,年50~100%といった成長率に対して順応しなければならないということ.

    ユニリーバは,ある市場,たとえばインドを,「インドと同じような」市場のための実験市場とみなしている.

    ・国の取引統治力
    ほとんどの発展途上国は,汚職がもたらす真の代償や,民間企業の発展や貧困の緩和に及ぼす影響を十分に認識していない.公正に実施される法制度で商取引を促進する能力が,民間企業の発展に欠かせないのだ.これを,「国の取引統治力」と呼び,向上が欠かせない.

  • http://ameblo.jp/btg4102/entry-10345210166.html

    現在、世界には一日2ドル未満で生活する人々が40~50億人いる。
    今までの常識では、貧困層にはお金がないから、マーケットとして捉えるのは難しく、支援の対象でしかなかった。

    しかしそれを根底から覆した本がこのネクストマーケット。今までとはまったく次元の違うアプローチをすることで貧困層を消費者に買える可能性を示している。実際にどうすればうまくいくかについて細部まで考察している。

    本書は2部構成となっており、第1部に世界的な経済ピラミッドの底辺(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド=BOP)、いわゆる貧困層の巨大市場についての特性、アプローチの仕方、関わることで得られる利益などをあげ、彼らと有益なwin-winの関係を築けるという。第2部にケース・スタディとして、12の事例を述べている。また付属のCDで貧困層の視点から話が聴ける。


    <貧困層という市場に対する認識>
    ・貧困層は搾取された存在ではなく、消費者になりうる。
    →価値に重きを置く消費者であるという認識に改めることが必要である。彼らが所有する喜び、社会から認められる感動を知ったとき、またそうなれることが可能であると確信したとき、ビジネスチャンスにあふれた新しい市場が生まれる。

    ・貧困層には購買力がある。
    →地方での独占状態や、モノや情報が不十分、脆弱な販路、昔ながらの中間搾取業者の存在などにより、物価の高い環境で生活している傾向が強い。これを大企業がもつノウハウを提供すれば、一気に改善でき、可処分所得が増す。

    ・貧困層はブランド志向が強く、新しい技術を貪欲に取り入れている。
    → 貧困層のお金の使い道は、テレビ、冷蔵庫、携帯など「贅沢品」とみなされるものばかりである。彼らの中にはオーディオ、ビデオ、ニュース、株価情報にアクセスして、例えば大豆のニューヨークの先物取引を見ることで自分たちがいつにどの程度の量の大豆を売ればいいかなどを把握している。

    ・眠っている資産に着目すれば、貧困国は豊かである。
    →資本にできな資産が相当な額存在する。例えばメキシコでは資源が約3000億ドル。法的整備さえすれば、彼らの市場はもっとも魅力的な市場のひとつになる。

    ・貧困層の急成長に対応しなければならない。
    先進国の15年の変化が、途上国では3~5年で起こる。


    <貧困層特有の問題・障害>
    ・アイデンティティがない。つまり自分が存在していると証明できるようなものが何もない。
    ・農村部は「メディアダーク」と言われ、販売のアプローチが難しい。
    ・識字率の低さ、間違った知識など、根底から教育しなければならないことが多い。
    ・法的所有権の概念がない、つまり法整備などハード面が不十分。もしくは施行する能力がない。
    ・官僚があらゆるレベルで汚職をする、既得権益者の激しい抵抗


    <貧困層に対するアプローチ>
    ・貧困を解決する鍵は大企業でしかやれない大規模での企業活動
    →イノベーションを成功させるために必要な投資ができる多国籍企業こそまさにうってつけ。

    ・貧困層に対しては革新的なアプローチ・イノベーション・ビジネスモデルが必要。
    →新たなに生まれた取り組みが、他の途上国、先進国にも転用できるため、企業が成長していくうえでBOP市場は重要である。

    ・新たな社会を築く女性、起業家精神にあふれる女性、団結力のある女性に注目する。
    →ICICIの自助グループ、HLLのシャンクティ・アマなど。

    ・新たなイノベーションの事例
    →カサス・バイア。貧困層の夢をかなえた信用販売。情報技術を取り入れ、コストを徹底管理。裁量権を現場に託し、BOPとの信頼関係を作るために、多くの人材を育成した。
    →セメックス。住宅環境を改善する貯蓄プログラム。一貫した期日どおりの配達。リスク管理。まったく新しい販路の形成。BOPの夢であった住宅を手にすることに貢献。
    → ヒンドゥスタン・リーバ・リミテッド(HLL)。ヨード欠乏症については、最新技術により、基準値を満たすヨードを摂取できるカプセル化を施した。シャンクティ・アマの存在で多くのBOPを消費者に。せっけんについてはBOPの生活習慣を変えることからはじめ、健康への願いをかなえた。
    →ジャイプル・フット。わずか30ドルで現存する義足よりも性能のよい貧困層の実情にあった義足を開発した。現地で調達できる材料。数日で義足ができてしまうシステム。
    →アラビンド・アイ・ホスピタル。白内障の手術を、患者の6割は無償、4割は50ドルから300ドルほどの低価格にもかかわらず、高収益をあげているケア・システム。世界有数の眼科治療複合機関。
    →ICICI銀行。貯蓄と融資を融合して、女性自助グループを経済的また社会的に独立させた。最貧層への融資で採算をとれるシステム。現地のNGOなどとの協力。

    などなど。

    そのどれもに共通するのは
    ・企業、行政、NGO、地域社会の協力体制の確立。
    ・女性の社会進出。社会的経済的自立。
    ・驚くほど、きめ細やかなマーケティング
    ・徹底したコスト管理、リスク管理。監視。

    などなど。


    ほとんどの原因はシステム、因習など構造的なものである。BOPにはそれを変える力がなく、外圧でしか変えることができない。僕たちが血の巡りさえよくすれば、たちまち元気になるように、BOPにインフラを構築し、自尊心をもたせ、意思決定できる環境を与えさえすれば、きっと勝手に経済がうまく機能していくんだと思う。

    BOPにとって、最新の技術を利用したり、自分たちのニーズに合わせて設計された優れた製品を手にすることは、生活の質を向上させる大きな一歩となり、貧困層のニーズを中心とした市場を創出することが、貧困緩和につながるという事実を、世界のどれだけの人が知っているのだろうか。

    ネクストマーケットは日本の構造的な欠陥の解決のヒントをも示してくれる。
    アラビンド・アイ・ホスピタルでは、医者は極力手術だけをさせ、生産性をあげるシステムを構築し、医師一人に対して、六人の看護士がサポートし、また病院内の40人のカウンセラーが患者の専門的な相談に乗る。日本の医者を殺すような医療体制を改革させるヒントがここにあると思う。
    国内市場が縮小するのは避けられないことだし、介護や医療などのビジネスは盛んになり、メーカーなどは海外でシェアを確保できるかどうかが死活問題だ。アラビンドの研修制度をもってすれば、移民だって受け入れて、日本人がやりたがらない職につかせることも可能だし、メーカーは技術やものづくりばかり追っかけてないで、HLLのようなマーケティング・戦略をもって、BOP 市場に参入することも考えることが可能だ。いや考えなければならない。

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