愛のむきだし [DVD]

監督 : 園子温 
出演 : 西島隆弘  満島ひかり  安藤サクラ  尾上寛之  清水優  永岡佑  広澤草  玄覺悠子 
  • アミューズソフトエンタテインメント
4.20
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  • (11)
本棚登録 : 2387
感想 : 482
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4527427644182

感想・レビュー・書評

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  • 4時間の超長編映画、そして園子温。観るのにはなかなかの覚悟がいる。

    ステイホームが終わり、ゆるゆるとだけれど取り戻しつつある日常。
    これだけ長い映画なのだから、自粛中に観ようとしていたのに、ついつい先延ばしにしてしまって観れていなかった。が、ついに。時が来たね。

    昨日は久々の仕事で、だから今日はあんまり頭使わない邦画を観ようと思っていたのだけれど、なぜ今日この映画を選んだのか。それは自分に問いたいところだ。
    最近重めの小説が続いたから、本はエッセイに切り替えているのに、いったいなぜ映画でこれを選ぶ?それではエッセイを選んだ意味がないではないか。わたしの心には、重たい作品で蓋をしたい何かが潜んでいるのか、否か。

    愛と、愛に隣接する、性と洗脳のお話。実話に基づいているというから驚き。
    CHAPTER1で流れ続けるボレロと、予想外のコメディ感に戸惑いつつ、けれど、任侠映画風タイトルバックからのCHAPTER2で、ここからが本番だな、と思わせる演出。主要人物の目線がCHAPTERによって変化していく構成になっていて、うん、どおりで長いわけだ。でもさすが園子温。魅せ方が本当に巧い。流れにメリハリがあって、イッちゃってるシーンと泣かせるシーンと日常のシーンが絡み合いながら、ごうんごうんと、やってくる。そしてそれを徹底的にやるものだから、イッちゃってるシーンは本当に恐ろしい。安藤サクラがやばい。ゆら帝の音楽が、さらに煽り立ててくる。すごい。

    正義と正義がぶつかると、自分の正義を相手に伝えてもわかってもらえない。
    自分の正義が間違っていた、と気付いた時にはもう遅かったりする。なんという残酷なすれ違い。
    宗教は正義の最たるもの。
    宗教的なものは人によって自由だし、それを否定するつもりはないけれど、他人を巻き込んで迷惑をかけるのはよくないよなっていうのがわたしの考え方。でもきっと、新興宗教はそうやって大きくなってゆくものなんだろう。

    大人たちよ、はき違えた愛を、子どもに刷り込んではならない。
    大人の都合に、勝手に子どもを巻き込んではならない。
    子どもが大人たちのメッセージをどのように受け取っているか、きちんとそれを見つめなくては。

    • moboyokohamaさん
      園子温監督の作品はもう観たくない。
      怖いんですよ。
      最初に観たのが「恋の罪」それから「冷たい熱帯魚」「希望の国」
      実質「冷たい熱帯魚」で挫折...
      園子温監督の作品はもう観たくない。
      怖いんですよ。
      最初に観たのが「恋の罪」それから「冷たい熱帯魚」「希望の国」
      実質「冷たい熱帯魚」で挫折しました。
      「愛のむきだし」は安藤さくらさんが出演されているのですかぁ。
      園子温+安藤さくら
      わー、怖すぎる。
      2020/06/06
    • naonaonao16gさん
      moboyokohamaかわぞえさん

      ほんと、怖いんですよ…
      以前「冷たい熱帯魚」を途中で挫折したんですが、この作品観たらなぜかまた...
      moboyokohamaかわぞえさん

      ほんと、怖いんですよ…
      以前「冷たい熱帯魚」を途中で挫折したんですが、この作品観たらなぜかまたもう一度チャレンジしようかなという気持ちになりました(笑)強くなったんですかね。

      この作品の安藤サクラは本当にすごいです、狂気がやばい(笑)
      2020/06/06
    • moboyokohamaさん
      実は私も「冷たい熱帯魚」途中挫折です。
      実は私も「冷たい熱帯魚」途中挫折です。
      2020/06/07
  • 満島ひかりさん主演の映画で、4時間超の映画ですが、こんなにハラハラドキドキして、固唾をのんで最後まで見た映画は初めてでした。盗撮写真を撮って勃起するかどうかで自分自身のマリア様を見つけるという変態じみた行為の中に、真実があり、0教団が示す美しい理想の世界がインチキだという構図がとても印象的でした。満島ひかりさんだからこそ演じきれたヨーコだったように感じました。「愛のむきだし」という映画の題名も良かったように思います。

  • 監督、脚本 園子温

    「時計じかけのオレンジ」を見た時以来の衝撃だった。愛に飢えた男女が、それぞれの形で愛憎をむきだしにしていく。そのむきだし方が、人間の本来持っている生の感情が何のベールやモザイクもなくさらけ出されている感じで、まさにキューブリックの世界観に共通するものを感じた。

    満島ひかりの演技がとにかく素晴らしいの一言に尽きる。特に浜辺でコリント書の第13章をユウに対して訴えかけるシーンは鳥肌がたった。
    他の二人の女性が、汚い役柄であることも、彼女の美しさを際立たせている。

    西島隆弘の存在感も強烈だった。父親に罪を求め始められたあたりから、彼の精神状態はかなり蝕まれていたのだろう。同じ笑顔を見せているのに、徐々にそこに狂気の香りを匂わせていく。

    ベートーベンの使い方も最高である。強烈なシーンに響く第7も、オレンジを彷彿とさせる。上述の浜辺のシーン然りである。

    ラストの病室のシーンは、あまりに切ないデジャブ感に涙が止まらなかった。

    人を愛すること、人に愛を求めることは、どこまでも深くなりうる。しかし、美しい愛と狂気の愛は紙一重である。だからこそ、愛によって人は幸せになり、人を憎み、抱擁したり、殺したりするのだろう。結局、愛の呪縛から人は逃れられないのだ。

  • 真面目な人なら目を背けたくなるかもの、エログロの世界。しかしその根底にあるのは
    痛々しいほど真っ直ぐで、1mmのブレもないまさにむきだしの『純愛』。
    ただ一人の女をひたすらに愛し続ける男の不器用で愚直なほどのむきだしの愛に、最後には涙が止まらなくなりました(号泣)(T_T)

    なんといっても
    主要キャストを演じた若手三人が本当に素晴らしい!!
    主人公ユウを演じるのは人気グループAAAのメインVoの西島隆弘。こんな下ネタ全開の役をアイドルが演じていいのか?という不安もぶっ飛びましたね〜(笑)ひたすらに爽やかな笑顔と得意のダンスを活かした、まるで忍者なアクロバティックアクションを見せてくれます。
    そして運命の女ヨーコには、今作で新人賞他映画賞を総なめにした、今後要注目株の元Folder5、満島ひかり。キレのあるアクションは勿論、レズ行為にパンチラ、自慰シーンなど文字通り体を張った見事な女優魂と、状況によって使い分ける目まぐるしく変わる表情、繊細でいて大胆な感情表現を駆使した振りきれた演技に釘付けになります。カルト教団に洗脳された彼女が、海辺で聖書の言葉を絶叫する3分以上に及ぶ長回しのシーンは、とにかくエモーショナルで圧巻!小悪魔的なエロティックさと、意志のチカラを宿した眼力を併せ持った本当に素晴らしい女優の誕生です♪
    そして特筆すべきは
    孤独の中に生きるカルト教団の幹部コイケ役を演じた、奥田瑛二の愛娘・安藤サクラのその強烈な存在感!悪の化身を嬉々として演じる姿は、もうトラウマになるほど(笑)(>_<)彼女が可愛がっていたインコは、彼女が嫌悪すると同時に、どこかですがっていたかった希望や愛の象徴だったのかな…。愛によって救われることなど、もはやないと絶望した彼女の最期は切なくも美しかった…。
    彼女も満島ひかり同様これからの日本映画界を背負って立つ存在になるのは間違いないでしょう♪

    下品で変態でどーしようもないおバカ映画だけど、切実に胸に響く作品です。
    全てが当たり前になって、人々は使い捨ての愛を謳歌して、人の感情までもが鈍化してる時代だからこそ、五感を奮起させるこんな映画が今こそ必要なんじゃないかな(^_^)
    個人的にも、ここ10年の邦画を振り返ってみても、10本の指には入る傑作です♪
    テレビでは絶対に見れない作品なので(笑)
    むきだしの愛に触れてみたい人は是非とも。

  • 父子家庭で育った主人公ユウ。ある日理想の女性にあったユウは、以降、生活が一変していく。

    全編3時間56分。長すぎませんか。なかなか見るのにも覚悟がいりますよね。しかしこれ、物語が面白すぎて3時間56分があっという間に感じます。
    園子温監督といえば「冷たい熱帯魚」を見て、意味不明なラストでそれまでの面白さが一気に冷めてしまった嫌な思い出があります(個人的な感想です)。しかし本作はきちんと最後はよくも悪くもきちんと着地しているので、始終展開はきちんとあります。
    先が見えない流れに、ハラハラしながら楽しめる作品です。

  • 4時間に及ぶ大長編。しかし、あっという間に観てしまった。
    最初はB級とも思えるシーンや下らない演出もあるが、いつの間にかグイグイ引き込まれた。

    テーマは愛。

    「勃起を恥じるな。愛を恥じるな」

    この台詞が映画のハイライト。
    主人公の幸せを切実に願ってしまう。
    また、若手俳優が中心だが、鬼気迫る演技が圧巻。
    特に、満島ひかり、安藤サクラはものすごい。
    こんなすごい邦画があったのかと、
    新しい世界を知る事ができる一本。

  • 最高に面白い!!
    約4時間があっという間に過ぎていく。
    笑い、感動、宗教、エロ、アクションすべてが詰まった最高のエンターテインメント!!

  • 園子温映画はラーメン二郎。

    二本目の園子温。
    私はね、作家のひとりよがりな感じのやつって好きじゃなかった。

    でもね、それをちょっと変えてもいいかなと思ったのですよ、この映画を観て。
    四時間という長い時間、切れないパワーで園子温監督に押し切られた感じです。
    でもね、一言で四時間っていうけどその時間を観客を掴んで離さないって、奇跡としかいえないです。

    きめの細かい映画とはいえません、でもそんなの関係ない。
    そうだ、園子温映画はラーメン二郎だ。

    「観ているのは映画ではない、園子温だ。」

    人には「すすめないよ」っていいながら、すすめそうな気がする

    ★的には満点クラスであることには違いない。

  • とてつもなく面白い。
    全ては最後のあの二人の笑顔に繋がる。
    ヨーコを神聖化するユウ。
    サソリ(ユウ)を神聖化するヨーコ。
    繋がれそうなのに簡単には繋がれない。
    小さい頃からの父からの歪んだ愛情とも取れない感情で壊れてる3人だけど、一人では徹底的に壊れて崩壊してしまう。
    コイケのような結末しか待っていない。
    ユウとヨーコは徹底的に片方が壊れると、
    片方はこっちの世界へと戻ってきて
    必死に相手をこっちの世界へ引き戻そうとする。
    相手が頑張れば頑張るほど完全な崩壊は完成していく。
    だけど相手の名前を必死に呼ぶことで、
    相手を真剣に求めることで、
    こっちの世界に戻ってきてくれて繋がることができる。
    最後に見せた二人の笑顔と繋いだ手が救いだった。
    時間を感じさせない疾走感のある映画。
    DVDが欲しい。

  • 4時間の尺の長さはあまり感じなかったが、とにかく観賞後はぐったり。
    ストーリーの破壊力に毒された感じ。
    強烈な愛。
    ゆらゆら帝国の曲がぴったり。

著者プロフィール

1961年愛知県生まれ。大学中退後に自主制作映画デビュー。『自転車吐息』(90年)はベルリン映画祭に正式招待される。代表作に『冷たい熱帯魚』など。テレ東系列で放映中のドラマ『みんな!エスパーだよ!』も監督。

「2013年 『ナショナリズムの誘惑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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