- Amazon.co.jp ・電子書籍 (318ページ)
感想・レビュー・書評
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エリートには特権があり、特権とともに大きな義務を負う。いわゆる「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」とは何か。組織が窮地に立たされた場合に被害を最小限に抑えるための危機管理について考えることができた。
主人公は原理原則を常に見据え、それに背く行動を取らないことで、国や組織に尽くすという道を歩んでいる。
普通の人にはなかなかできないが、自分がエリートであることを強く意識することで、その原則を曲げない姿は格好良かった。
自分にはそこまでの誇り高さを備えることはできそうにないが、こういう姿もあるんだということを考えられたのはとても収穫だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
警察を舞台にした小説ですが、所轄ではなくキャリア官僚を舞台にした本。こういった本は読んだこと無かったので、色々と斬新さを感じました。また、主人公の考えが共感できるわけではないんですが、一本筋が通っていて好感が持てました。
気になった台詞は、
「無能な上司は、何か問題が起きたときに、それが誰のせいかを追及したがる。有能な上司は、対処法を指示し、また何かのアイディアを部下に求める。」
気をつけなきゃな、と思いました。 -
47円、99円、97円という作品をクリックしていて、その勢いで「あっ、これも読みたかったんだっけ」とクリックしたら600円だった。アマゾンめぇーーーーーーー。凸(ーーメ(ほんとアマゾンの値段の付け方と誘導は憎たらしいですよね。)
しかし、本は評判通り面白かったですねぇ。
主人公の性格表現の導入部は、えらくあからさまなクソガリ勉の超エリート志向でしてねぇ、めちゃくちゃ鼻につくんですけど、その拠となる志とか哲学みたいなものが話が進むにつれ、周りの人物の言動や行動からだんだん推察できていって何とも清廉な志の持ち主であることがわかっていくというパターンではあるんですけど、そこまで本人に自覚のないギャップある表現にしてなくても…、という感じではありましたね。そこにはリアリティはないんですけど、超現実主義の潔さは気持ちいいカタルシスを得ます。
途中、一瞬だけ主人公セリフの「ですます調」に右京さん(「相棒」の水谷豊)の声が被ってきましたね~。
現在、シリーズ5冊出ていて、この次の2作目の評価の方が高いですね。
なんとなくそれがわかるような終わり方です。
楽しみです。
さて…、Kindleでポチっとするか?
図書館にするか? -
警察官僚の変人ぶりがとても面白かった。スピード感もあり一気に読んでしまいました(^-^)/
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13/3/20読了13
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日月恩作品に出てくる他の警察小説をたどって今野敏に行きついた。たまたまセールに出でいたのでKindle版で読んでみた。警察が舞台だから警察小説というのならその通りだけど、主役の警官が事件を解決するいわゆる警察小説と思ったら大違い。これはミステリですらない。ある個性的な警察官僚の生き方小説とでもいうか、まあそんなものだった。
主人公の警察庁キャリヤ課長竜崎伸也が、食えないというか堅物というか冷徹というか際立った個性の持ち主で、性格的には好対照の幼ななじみである刑事部長の伊丹とともに連続殺人事件の後始末に奔走する。そこへ警察庁内の官僚たちの人間関係とか竜崎の家庭内の問題とかがからんでくるという筋書き。まあ何といっても竜崎個人を許容できるか否かが読者の評価に直結するのだろう。ぼくは嫌いではない。共感する部分も反発する部分もあるけど、前者の方がずっと多い。こういう筋の通し方は好みに合う。
客観的に坦々と短文を積み重ねてゆく文体が特徴的で、それが竜崎の内面とうまくマッチして独特の感触を醸し出している。巧んで書いているとしたら大した技巧だ。だけど竜崎のみならず出てくる人間の会話などがすべてその調子なので、乾いたというか冷めたというか、人間的な血の通った感じが全然しない。家庭内の妻子の会話すらだ。いったいこの人たちは笑ったり泣いたりするのだろうかと不思議な気になる。モノトーンの無機質非現実世界を見せられているよう。よくいえば理性的というか。なので感動とか感涙とかにはほど遠い。まあ、熱い福井晴敏なんぞを読んだばかりなのでよけいそう感じるのかな。まったく対極の小説世界だと思う。 -
Kindleセールでまたもや購入。セールの中からなので、今まで読まなかった作品も読めるのでそれもまた良し。
「64」をちょっと前に読んでいたので、ちょっと似たテイストにも思えたが、十分楽しめた。シリーズ物らしいので、機会があったら続編も読んでみたい。