嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 普段から西側の国々に慣れ親しんでいる者にとっては、ロシア(かつてのソビエト)やらチェコ、スロバキア、ルーマニアなどに関する情報は、表面的にしかわからない。地理的にアメリカより近くても、遠い国のイメージ。そこに暮らす子供たちは、日本よりはるかに多くの人種と肩を並べて暮らしていることを知った。最初から最後まで一気に読んでしまった。日本との考え方の違い(身体的な特徴を揶揄する云々)には、考えさせられた。東欧(中欧)に対する見方が、自分の中で変わった気がした。

  • 米原万里。1950年生まれ。ロシア語会議通訳。エッセイスト。2006年没。

    9歳から14歳までをチェコのプラハのソビエト学校で過ごす。
    仲の良かった3人の友達、ギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。
    ソビエト学校時代の彼女達との思い出と、それから30年以上経ってから彼女達を訪ね歩き、再会を果たしたときの出来事を綴ったエッセイ。

    故国から離れて暮らす子どもたちの「愛国心」について次のように彼女は書く。
    <このときのナショナリズム体験は、私に教えてくれた。
    異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てるすべてのものを確認しようと躍起になる。
    自分に連なる祖先、文化を育んだ自然条件、その他諸々のものに突然親近感を抱く。
    これは、食欲、性欲に並ぶような、一種の自己保存本能、自己肯定本能のようなものではないだろうか>

    大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
    「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

    十数年間、米原万里を知らずにいた不明を恥じ、個人的な米原万里特集を組む所存。

  • のちほど

  • 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(米原万里)を読んだ。ズンッ!ときますね、衝撃が。ここ(日本)にいると見えなかったものや、ここ(日本)にいるので見ようともしなかったものを次々に突き付けられる感じです。あの辺りの情勢や事情にあまりにも疎い自分の無知さ加減を思い知らされました。

  • 何気に書き出される日常の学校生活が、実は民族・宗教・階級の坩堝で、ソ連の崩壊と共に、その後のクラスメイトにも大きな変化があります。大人になって、旧友との再会を綴る文章が、醒めた目で、リアルな国際社会が見えてきました。東欧のコンプレックスがここまで切実だったこと、また、有色人種に偏見が強いことは、知らなかったですね。

  • 外国で子供時代を過ごした筆者が大人になった同級生に会いにいくノンフィクション。複雑な国の事情に翻弄されている人たちがいる。
    kobo

  • 著者が少女時代を過ごしたプラハの学校で親友だったルーマニア人のアーニャ。その後の東欧の激動で音信が途絶えたが,何とか再会を果たす。かつて嘘つきと呼ばれたアーニャの真実が明らかになる!ユーモアあふれる筆致でぐいぐい読者を引っ張る珠玉のエッセイ。

    大分大学 経済学部 (分野 経済地理学)
    教員 宮町 良広

  • 掛け値なしに面白い。

  • こういうのどうなんでしょうね。
    構成も練りに練られていて、ノンフィクションとして胃もたれするところもなく、必要な描写は事欠かず、一面的なものの見方もない。
    ノンフィクションとしては面白い。
    しかし、読み物として、もう一度手に取ろうと思うこともなかろう。
    なんとも、出来すぎなぐらいにドラマチックであったが、それが、私に何かを語り掛けることはないように思われます

  • 筆者と同じような年頃にわたしも海外で過ごしたけれど、時代も国も違うこと要素の掛け算だらけで、未知のことを知る興味深さと、そんな中で共通点を発見できたときの嬉しさ感じた時間でした。誰かの話を聞くと世界が一回りも二回りも深く大きくなっていくこの感じが好きです。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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