幼年期の終り [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • これなんかの映画の元になってるんだっけ?

  • 古典。
    一昔前の「日本人が選ぶベストSF」には、これと「夏への扉」が必ず入っていた。(今はどうだか知らない)
    46年発表の短編を元に53年に長編として出版とあるから、第二次大戦直後の作品。(アイデアはもっと前から暖めていたかもしれないけれど)
    世界がいまよりもまだ単純だった時代に、技術者上がりが空想した物語。
    第一部のカレルレンは、英国人クラーク自身のようで、
    うるさい猿どもは東の果てに閉じ込めた。さあもう一度地球は白人の世界だ。身内の争いばかりで自分たちの世話もろくにできないようなあほな土人ども、俺達白人がやればもっとうまく統治できる。科学も技術も文化も俺達が数段上だし、今までの植民地経営の実績をみろよ、どうだ、まいったか、という具合。
    新人類が生まれることと、動物虐待にどんな関係があるのか理解に苦しむが、まあ、これはただのクラークの主張なんだろう。当然、アリやゴキブリも生き物なので、目障りだと言うだけでゴキブリを殺す俺や、アリを掃除機で吸っている妹は、罰を受けるんだろう。(ゴキブリは不潔だというが、ゴキブリの撒き散らすバイキンで死んだやつなんて、今の日本でいるんだろうか?)
    当然、猫は、食べるわけでもないのに鳥を殺したりするから、カレルレンは地球上から猫を一掃するべき。
    それにしても、英語で演説されたら、俺でも「自由連盟」に加わって抵抗運動始めるね。おいおい、日本語で挨拶しねえのかよ。偉そうに、何様だよ。あ、カレルレン様ね、そりゃごくろうさんです、ってなもんで。
    第二部は「20世紀の人が考えたユートピア」という感じで、今となっては、ちょっと恥ずかしい。
    無人化された工場が生まれ、人間は食べるために働かなくても済むようになったみたいだ。
    マルクスの言う「自由な社会」となり、人間は能力に応じて働き、必要に応じて取る、という共産社会が誕生している。
    でもインプットされる原料資源についてはなにも書いていないので、まあ、どうなんでしょう。
    カレルレンがどこかからか、せっせと運んで来てくれているのかも。
    「明日への航海」でも同じく「自由な社会」が舞台となっていて、SF作家というのは、まあ、なんだかなあ。
    第三部は、スターチャイルドは血も涙もないヤツだった、ということで、第一部でカレルレンが地球人に対しておせっかいにも動物愛護を押し付けたにも拘わらず、地球から生物を根絶やしにしてしまうは、地球そのものをぶっ壊してしまうはで、まあ、虫けら以下の存在はどうなっても良いんですという、クラークは実は残酷な人だった、という感じ。
    ところで、文庫版のカバーには黒人の子供が描かれていたんだけど、あれはジャンだったのか、と数十年の時を経て理解ができました。再読はしてみるもんですね。

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