楽園のカンヴァス(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ずーーーーーっと積読してた楽園のカンヴァス。
    やっっっと読めた。そして、なんでもっと早く読まなかったのだろうと後悔した。
    ミステリー要素もあって、ミステリーレベル1の私には全く予想がつかなかったし、(え?!え?!?)って何度も前に戻って確認してしまったけれど。
    アンリ・ルソーについて、史実なのかな?って思えてしまうくらいの創作を書ける原田マハさんは凄い。
    私にとって画家とは、美術館に行って、絵画を見て、こんな絵をかけるなんて凄い人だなぁ。くらいの遠い存在。生い立ちや生き様は事実として分かっても、小説の中で一人の人間として『生きている』姿を見ると、全然違う。
    だからやっぱり小説は好きだし、もっと身近に美術を感じられるようになったらいいな。織絵や、ティムみたいに。

  • Kindle Unlimitedで読了

    原田マハさん、初読了でした。面白くて面白くて、風邪で体調悪くてゆっくりしか読めないのがもどかしいくらい。マハというのはきっと、ゴヤの『裸のマハ』から筆名を取られたのでしょうか。ヒット作が絵画に絡んだタイトルが多いので、おそらく美術の専門家でもあられるのかしら。ご経歴を知らないで、ともかく一度読んでみようとUnlimitedに入っていたのを幸い、読み始めました。

    ニューヨーク近代美術館のアシスタントキュレーター、ティム・ブラウンは、ある日不思議な招待状を受け取ります。アンリ・ルソーの手になるらしい絵を鑑定して欲しい…。上司か、ティム自身か、どちらへの依頼か判然としないまま、ティムはスイスへ赴きます。そこでは大富豪のコレクターとともに、ティムのライバルとして招聘された、新進気鋭のルソー研究家、早川織絵が待っていました。

    ふたりのすぐれたルソー研究家が、火花を散らして作品の真贋を見極めようとする経過や、その手がかりとなる不思議な物語、誰が敵で、何が真実なのか、謎解きの最後までわからない緊張感。そのすべてがぐいぐいと物語に読者を引き込んでゆきます。

    私自身、ルソーの絵は、そんなに好きで仕方ない方ではなかったのです。でも、この本を読んでいると、不思議とルソーやピカソに触れてみたくなる。ゴーギャンとかもいいなあ。美術も幅が広いので、こういう小説に目を開いてもらって、作品に接するのもいいものですね。怪物とあだ名される大富豪の秘めた真実もいいですし、ティムと織絵のほろにがくて、大人の関係も美しいですし、学識と美術への愛が、ずっと作中に流れているのも気持ちが良いです。

    今ほど、自分が美術好きで、詳しくはなくても観るのが好きだったことや、ちょっとでも大学で美学や美術論を勉強しておいて良かったと思うことはありません。多少なりともルソーやピカソに触れていたり、知っていることがあったおかげで、読んでいる間は私自身、事件の当事者の気持ちで読んでいて、目が離せませんでした。問題は、いますぐニューヨーク近代美術館に行ってみたくなっちゃったこと。ああ、たまらない。

    それにしても、原田さんの近作『リボルバー』も、ゴッホ展で『ひまわり』を見た後、Kindleでセールになっていたのを積読していたのですが、この値段なら、と買っておいた自分を褒めてやりたいです。美術シリーズ、片っ端から読んでいきたい。こんなに面白かったなんて。

    小説や文学というものに、意味があるとしたら、新しい世界への興味をひらくということもあると思うのですが、まさにこの本は、私にスリリングな知的興奮をくれました。ルソー、きっと見に行って見ようと思います。芋づる式に、知識や興味が広がっていく時の、この幸福感。どんなにつらいことがあっても、お金がなくても、読書のたのしみは、いろんなことを私に運んできてくれます。ああ、だからまだ、まだ、読書はやめられないのです。楽しかったよう!

  • 凄く良かった。読んでる最中は夢中になって読んで、読み終わったら美術、芸術に触れたくなる小説。知性と情熱がミステリー要素と絶妙な具合で表現されていて、特に後半引き込まれるように読んだ。
    美術、芸術に関心を持つ人を増やす為には、この小説読んで貰えればいいのでは?と思えるような小説だった。幸せな時間と読了感。

  • 父と母の勧めで読みました。全く美術の知識がない私でも、読み進めていくうちに、気がついたらこの物語の世界に入り込んでいました。

  • コレクターが所有するアンリルソーの絵画は本物か偽物か、ピカソが関係した絵なのか?

  • 美術作品の真贋、そしてその作品のストーリーを二人のルソー研究者が追う

    原田マハを読んだのはリーチ先生とこの作品で2作目です。
    とてもおもしろく、集中力が切れて途中で読むのをやめてもすぐに本へと手を伸ばしてまるで文章に引き込まれていくかのような吸引力をもったおもしろさでした。

    あの講評から過ごした織絵の十何年を考えるとチクリと感じるけど、この最後の展開で織絵はきっとアカデミーの場に戻れるという明るい希望が見えてなんだかホッとした
    名作には必ずストーリーがあり、絵そのものの美しさだけでない魅力が人を惹きつけるのだと改めて再確認できた
    ニューヨークに行きたくなった、私もルソーの「夢」が見たい

  • 20世紀初頭から21世紀を迎えるまでのひとりの画家とその画家を評価する人々の情熱をつづったミステリー、そして壮大な大河ドラマに感動した。世の中は複雑で高度になったものの、もしくはそうなってしまったからか、ここまでの熱量を感じさせる人間の営みは、そうそう簡単に出現するものではないと思ってしまう自分が少しさみしい。
    昨年MoMAに行く前に読んでいればよかった。

  • 頑張って最後まで読んだけど、孫が遺産承継というオチ。で、あの物語書いたのはおじいさん?だいたい変な勝負だし、事前に話なく1週間も拘束するなんて監禁じゃないの?そしてその1週間に恋してそれを何十年も忘れられない思い出として取っておくだけでなく、会おうとするかな?原田さんは”純愛”が好きなんだろうなあ。そこが合わない。題材としては悪くないのに。もったいない。

  • アート作品、もっと読んでみたい

  • アートに隠れた背景事情や人の歴史など、美術の新しい楽しみ方を教えてくれた本です。作者や当時の背景事情について知れば、アートがより楽しめるということを感じました。表現や言葉選びが秀逸で、映画を見ているような気持ちでスラスラ読めます。アートと現代はつながっているということをすごく身近に感じた作品です。登場人物がたくさんいますが、それぞれの気持ちが読み取れて、読んでいると何度も心が動かされます。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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